シリーズ

信用・共済分離論を排す

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「JA綱領」を読み解く その7

・メンバー綱領としての「JA組合員心得」
・「JA組合員心得(仮称)」の内容

 「JA組合員心得(仮称)」提案の趣旨については、前回述べた通りですが、一言でいえば、合併により巨大化したJAで組合員主体の運営を取り戻す一つの方法として考えられるものです。組織の綱領としては、すでに「JA綱領」があります。これに対して、「JA組合員心得」は組織綱領ではなくメンバーの綱領であり、「JA綱領」を補完するものです。「心得」は、「JA綱領」とは区別し、JA事務所の窓口での掲示や総代会資料などへの掲載など、日常的に組合員の目につく場での活用が考えられます。

◆メンバー綱領としての「JA組合員心得」

 「JA組合員心得(仮称)」提案の趣旨については、前回述べた通りですが、一言でいえば、合併により巨大化したJAで組合員主体の運営を取り戻す一つの方法として考えられるものです。組織の綱領としては、すでに「JA綱領」があります。これに対して、「JA組合員心得」は組織綱領ではなくメンバーの綱領であり、「JA綱領」を補完するものです。「心得」は、「JA綱領」とは区別し、JA事務所の窓口での掲示や総代会資料などへの掲載など、日常的に組合員の目につく場での活用が考えられます。
 なお、ここではとりあえず「JA組合員心得」としましたが、JA運営の主役は組合員なので「JA組合員憲章」などの名称も考えられます。ちなみに、行政については組織についての綱領のようなものは見当たらず、例えば、「市民憲章」といったものがつくられています。一般企業については、日本経団連がつくった組織規範としての「企業行動憲章」があります。
 「JA組合員心得」を単なるお題目に終わらせないためには、「心得」の検討・制定に合わせ、?支店運営委員会の公式組織化(支店運営委員の役割の明確化や待遇など)、?営農センター・支店単位での各種組合員組織の運営、?組合員組織の職員担当制、?組合員教育の実施など、組合員主体の分権的な方策を検討・実行に移して行くことが重要です。

◆「JA組合員心得(仮称)」の内容

 「JA組合員心得(仮称)」については、次の通りです。

「JA組合員心得(仮称)」の制定について(例示)

1.ねらい
 今の「JA綱領」は、合併JAのために従来の「農業協同組合員綱領」に代って制定されたものである。合併によるJAの大規模化で組合員離れが加速するなか、組合員の立場を明確にした運動展開の観点から、別途「JA組合員心得」を制定する。

2.内容
組合員の権利・義務(権利と義務は裏腹の関係にある)を謳い、組合員としての自覚を促すもの。

【JA組合員憲章―例】
 JAは、わたしたち組合員が組合員の協同の力によって、わたしたち組合員のニーズや願いを実現していくために、わたしたちがつくっている自主的な組織です。
 わたしたち組合員は、「JA綱領」に基づいてJAに結集し、組合員として以下の権利を行使し、また義務を果たすことによって、JAの社会的使命を実現します。
 わたしたち組合員は、

●JAの組織・事業・学習活動などを通じて協同組合の助けあいの精神を学びます(協同組合運動は教育活動そのものである)。

●力を合わせて地域農業の振興と健全な地域社会の建設に取り組みます(組合員は、自己のため、また地域社会のために存在する)。

●健康で豊かな営農と生活を実現するため、JAが行う経済・信用・共済事業など各種事業を積極的に利用し、また自らコストの削減に努めます(組合員の事業利用による自らの願いの実現と自らによるコストの削減)。

●進んで経営に参画し、組合員の意思をJA運営に反映します。また、男女共同参画社会実現のため、女性の積極的運営参加を進めます(組合員の参画と女性の参加・参画)。

●JAが行う諸行事・部会活動などに積極的に参加し、ともに生活の向上と生きがいを追求します(組合員の参加)。

●出資金などを通じJA財政の確立をはかります(運営の元手の確保)。

3.活用方法(組合員意識の喚起)
(1)組合員手帳・ポイントカードなどに印刷
(2)JAの窓口・事務所・掲示板などでの活用
(3)集落座談会・組合員組織の会合などでの学習・趣旨の徹底
(4)総代会資料での活用

【著者】福間莞爾
           総合JA研究会主宰

(2012.06.05)