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信用・共済分離論を排す

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コンプライアンスとは

・明るい職場づくりを

 コンプライアンスは、狭い意味では法令を守ること、広い意味では企業の道徳規範を守ることを言います。JAでも一般企業でも、コンプライアンスの確立は重要関心事になっており、各種研修会などでも盛んにこの課題が取り上げられています。

 コンプライアンスは、狭い意味では法令を守ること、広い意味では企業の道徳規範を守ることを言います。JAでも一般企業でも、コンプライアンスの確立は重要関心事になっており、各種研修会などでも盛んにこの課題が取り上げられています。
 日本では1990年代初めのバブル崩壊以降、強く意識されるようになりました。その主な原因は、バブル経済崩壊後の企業経営の困難性と企業理念の欠如にありました。とくに、2000年に入って、会社では三菱自動車のリコール隠しや耐震強度偽装マンション販売事件、雪印・日本ハムの牛肉偽装事件など様々な不祥事が発生しました。
 JAでもBSE(牛海綿状脳症)問題を端緒として、食に関する不祥事が発生しました。
 さらに、中国製冷凍食品による農薬中毒事件なども記憶に新しいところです。海外でのサブプライムローン(借り手の信用度の低い住宅貸付)債権を組み込んだ証券の販売を原因とするリーマン・ショックの発生や、ギリシャ政府のユーロ加盟のための財政赤字を少なく見せる粉飾決算などもコンプライアンスの欠如によるもので、その影響は計りしれないものがあります。
 また、2006年4月から公益通報者保護法の施行により、企業における自浄作用強化のため、内部告発が保護・奨励されるようになったのもコンプライアンスの確立意識に拍車をかけました。企業における不祥事の発覚は、そのほとんどが内部告発によるものです。JAでも各種不祥事発生への対策として、コンプライアンス確立のための研修や手引書の作成などが行われています。現行のICA(国際協同組合同盟)の協同組合原則「95年原則」では、「協同組合の組合員は、正直、公開、社会的責任、他人への配慮という倫理的価値を信条とする」と述べ、コンプライアンスの確立を謳っていますが、この内容は2000年以降に本格化した、コンプライアンス違背(いはい)という時代の変化を先取りするものでした。

◆明るい職場づくりを

 コンプライアンスの確立とは、要は、悪いことをしないこと、世の中で尊敬される企業になることです。コンプライアンス確立には、大きく二つのことが求められます。一つは、法令、定款、関連通達、諸規定さらには社会的規範についてのきめ細かい対応です。法令などの違反を知りながら罪を犯すことは当然許されませんが、法令などの内容を知らなかったという、うっかりミスも許されません。このため、関連書類には必ず目を通し、その内容のポイントを知る心がけが大切です。
 もう一つは、企業の道徳規範の確立です。協同組合の組織の道徳規範は、「95年原則」の、協同組合の「価値」(自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯)として述べられていますが、この課題は企業理念と密接に関係します。
 JAにとっての道徳規範の確立は、JA理念を考えることでもあります。したがって、コンプライアンス確立のためには、JA理念とは何か、JAとはどのような社会的存在であるのか、そのためにはどのようなことに取り組むべきかを考えることが重要です。
 コンプライアンスの確立は、このように前向きに考えて、初めてその効果が発揮できます。JAにおいても、仕事についてつべこべ言うな、黙って上の言うことを聞け、逆らうなといった、組織の秩序維持の方便のためにコプライアンスの確立が謳われるようでは問題です。これでは、上の方ばかりに気を使う「ヒラメ型人間」ばかりが増え、職場の活性化には繋がりません。いたずらに委縮しない攻めのコンプライアンスの確立姿勢が重要で、そのためには、人間尊重に基づく、明るく風通しの良い職場風土をつくって行くことが求められます。

【著者】福間莞爾 総合JA研究会主宰

(2012.10.23)