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「食は医力」

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第2回 食べ方も何を食べたかと同様に大事

工夫し・学び・努力することで食が大きな存在に
個食・孤食の早食いが過食を生みだす

今、世界が大不況で苦しんでいるキッカケはアメリカ金融資本主義の暴走でした。このため「経済への介入や規制をなくして市場しじょうにまかせればうまく行く」と言っていた人たちへの批判が強まっています。そして、その人たちは「市場至上主義」という点で「市場しじょう原理主義者」と呼ばれています。
 ブッシュ前アメリカ大統領が「悪いのはイスラムだ」と言うたびに「イスラム原理主義者」という言葉が使われました。そこには、イスラムの原理こそすべてに優先し、行動の根本原則になる、と信じているテロリストたちという批判的意味合いが込められています。

◆工夫し・学び・努力することで食が大きな存在に

 今、世界が大不況で苦しんでいるキッカケはアメリカ金融資本主義の暴走でした。このため「経済への介入や規制をなくして市場しじょうにまかせればうまく行く」と言っていた人たちへの批判が強まっています。そして、その人たちは「市場至上主義」という点で「市場しじょう原理主義者」と呼ばれています。
 ブッシュ前アメリカ大統領が「悪いのはイスラムだ」と言うたびに「イスラム原理主義者」という言葉が使われました。そこには、イスラムの原理こそすべてに優先し、行動の根本原則になる、と信じているテロリストたちという批判的意味合いが込められています。
 このように、1つの原理ですべてを主張したり、あるいは批判したりする場合、「○○原理主義」というのは便利な(しかし単純すぎて危険でもある)言葉です。何でも天候のせいにするような「天候・原理主義者」はちょっと都合が悪いですね。私は、食によって人間の行動や性格もある程度、規定される、と考えているので、「食・原理主義者」的傾向が少しあるかもしれません。あるいは「食・本位主義者」でしょうか。
 教育の現場も、家庭や社会も、そして日本全体が崩れかかっていて、他人のことなどお構いなし、自分さえよければいい、それも今のことだけ、という世の中になっているのは、食の混乱と深くかかわっているのではないか。そんな気持ちが日々強まってきます。
 とはいえ理想的な食というのはなかなか大変です。寝そべってテレビを見たり、指先だけでケータイを操作するのとは違って、動いたり、考えたりしないと理想的な食を手繰り寄せることはできません。
 工夫し、学び、努力していくことで、食は生き生きと、大きな意味をもって存在し始めます。手を抜き、気を抜けば、食は単に喉や胃腸を通過するだけのものでしかありませんが、向き合い方ひとつで食は、知恵と喜びと健康をもたらす、奥の深い「何者か」になるのです。
 「あなたの食べているもの、食べてきたものを説明しなさい。さすれば、あなたという人を説明してみよう」という文言があります。私なら「あなたがどんなふうに食べてきたかも併せて説明しなさい」と付け加えたいところです。食べ方(how)も、何を食べたか(what)同様に大事だと考えるからです。

◆個食・孤食の早食いが過食を生みだす

 ともあれ、英語にもYou are what you eat. (あなたとは、あなたが食べているものである)という表現があります。食べ物および食べ方によって、人は健康にも不健康にもなりますが、それは単に肉体的なものだけを意味するのでなく、精神、あるいは気分、性格、行動などを左右するものであると言ってよいでしょう。
 こんな症状あるいは病状の人にはこの食べ物が良い、などと言いますが、それについてはおいおい言及していくことにして、それ以前に食べる速さ、食べる量もとても大事です。
 以前、世界的大企業の社長が「わが社では、しばしば昼休みに役員が一同に会してフリートーキングをするのだが、食事は12時から10分以内で終わり、あと1時までたっぷり議論している」と自慢そうに言うので、「10分なんて世界の恥ですよ」と皮肉ったのですが、「5分でもいいくらいだ」などと馬耳東風でした。
 これでは食欲と胃袋を満たすだけの食事であって、食への感謝もなく、そしゃく(そしゃく欲)の重要性もまるでありません。頭だって食べたという信号がなかなか伝わってこないので、つい食べすぎてしまいます。若者などに過食の害が言われますが、これを防ぐ最高の方法はゆっくりと会話を楽しみながら何十回も噛んで食べることです。逆にいうと個食、孤食の早食いが若者の過食を生んでいるともいえます。
 江戸時代の観相家である水野南北は、食事の量によって寿命が左右され、貧富の差が生じ、運命も決まると主張しました。こんな具合です。
「食事量が少ない者は人相学上、不吉な相であっても、運勢は吉であり、それなりに恵まれた人生を送り、若死にしない。特に晩年が吉である」
「上品な人は食事の量は多くなく、器量の小さい人はえてして大食である」
「常に大食をなす者は必ず不幸者である。常に大食や暴食をする者は、ついに病を生じて父母からの賜物である自分の肉体をそこなう」
 余白がなく残念ですが、この続きはまた次回に。

【著者】浅野純次
           経済倶楽部理事長

(2009.02.19)