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「食は医力」

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第17回 毛髪とストレスの密接な関係

・副交感神経を活発に
・男性ホルモンは頭髪の敵
・ゴマが髪の毛を守ってくれる

 過日、ラジオをつけていたらたまたま「川柳教室」の時間になり、こんな句が紹介されていました。「子育てと毛育てどちらも難しい」。育毛剤を大事に、大事に、振りかけている40前後のお父さんが目に浮かびます。身につまされる人も多いでしょう。
 頭髪は内臓や骨や歯と違い、健康にはあまり関係なさそうですが、深く食事にかかわっている点、ストレスが因となり果となっている点で、やはり健康談義のひとつではあります。

◆副交感神経を活発に

 過日、ラジオをつけていたらたまたま「川柳教室」の時間になり、こんな句が紹介されていました。「子育てと毛育てどちらも難しい」。育毛剤を大事に、大事に、振りかけている40前後のお父さんが目に浮かびます。身につまされる人も多いでしょう。
 頭髪は内臓や骨や歯と違い、健康にはあまり関係なさそうですが、深く食事にかかわっている点、ストレスが因となり果となっている点で、やはり健康談義のひとつではあります。
 特に円形脱毛症は多くがストレスによるものだし、恐怖や心労のおかげで白髪になるという話は少なくありません。
 ともあれ、はげという言葉はあまり使わないほうが無難でしょう。本人が言う分にはよくても、人から言われれば面白くないのが人の常。「禿山」「ハゲチョロ」であっても連発は避けたいものです。
 で、どうすれば毛髪は維持できるのか。洗髪で毛根をきれいにするよう心掛けるのが大事、というのは一理はあっても絶対ではないかもしれない。なぜなら頭など何年も洗ったことのないようなホームレスの人が例外なく黒髪ふさふさというのが現実だからです(とはいえ私も洗髪を怠りませんが)。
 やはりストレスが多すぎるのはよくないのでしょう。ホームレスの人は概してストレスからは無縁であるようですが、ストレスの少ない生活を送るには体をゆったりさせる副交感神経を活発にすることが大事です。

◆男性ホルモンは頭髪の敵

 毎度申し上げて恐縮ですが、バランスの取れた食事(特に良質の蛋白質、ビタミン、微少ミネラル)をとる、体を冷やさない、ぬるいお風呂を楽しむ、家族のだんらんを心掛ける、などが副交感神経を活発化させ、ストレスを減らすうえで重要です。
 男性ホルモンは頭髪の敵といってもいいくらいで、抜け毛が始まったら要するに自分は男性的なんだと割り切って、ほどほどの洗髪とマッサージはするにしても、あまり気にしないことが大切かもしれません。逆に女性ホルモンが多いと毛髪は抜けにくく、だから女性にはげは少ないのです。
 とはいえ女性でも毛髪が薄くなる人はいます。私事で恐縮ですが妻の母は晩年、うんと薄くなり始めました。外出時にはカツラを使ったりしていましたが、75歳頃からなんと白髪がぐんぐん増えだしたのにはびっくりさせられたものです。
 女房が勧めたショウガ油(ひねショウガをおろしてゴマ油に混ぜたもの)によるマッサージを一生懸命続けたためでしょう。匂いが気にならないよう気を配ってお試しください。

◆ゴマが髪の毛を守ってくれる

 髪に良い食物といえば、昔から海草と相場が決まっていました。髪に必要不可欠なヨードはじめ微少ミネラルが豊富に含まれているからです。モズクやヒジキ、めかぶ、海苔、トロロ昆布のどれかを忘れずに食卓に乗せたいものです。
 大豆や豆腐、味噌などの大豆製品も豊かな毛髪のための良質な蛋白源として欠かせません。特に大豆に含まれるレシチンは髪の毛には強い援軍となります。
 ただ注意したいのは、蛋白質が髪にいいからといって肉や卵を食べすぎると、毛細血管での血流を妨げてしまいます。そのため毛根への栄養が行き渡らなくなるので、摂取はほどほどにしたほうがよいでしょう。
 あとは地味ですがゴマでしょうか。ゴマには不飽和脂肪酸と必須アミノ酸が豊富にあって髪の毛を守ってくれます。
 ところで三井記念美術館で「徳川家康の遺愛品」展を先日見たのですが、家康を支える武将20人の絵(狩野永納筆)が興味を引きました。というのは20人全員が見事に禿げ上がっていたのです。男性ホルモン溢れる武将たちだからか、食べ物に問題があったのか、それともストレスが多すぎたのか、知りたいものですがどうでしょうか。

【著者】浅野純次
           経済倶楽部理事長

(2010.06.16)