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「食は医力」

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第36回 花粉症の季節がまたやってきた

・発症率が3割超えるスギ花粉症
・自己免疫力を高めることが大事
・肉類の取り過ぎは避けよう

 そういえば2月から3月にかけては日本全国をスギ花粉前線が北上していくのだなあ、それなら今回は花粉症でも取り上げようかと、日曜の昼下がり、書斎の机に座ったとたん、くしゃみが止まらなくなりました。

◆発症率が3割超えるスギ花粉症

 そういえば2月から3月にかけては日本全国をスギ花粉前線が北上していくのだなあ、それなら今回は花粉症でも取り上げようかと、日曜の昼下がり、書斎の机に座ったとたん、くしゃみが止まらなくなりました。
 嘘のような偶然の一致に、隣室にいた女房は別のテーマにしたほうがいいというお告げかも、などもっともらしいことを申しております。
 とはいえ、しばらくすると収まってくれたので、取り掛かることにしたのですが、ふと思い出したのがブタクサ。
 もう50年も前ですが、ブタクサの花粉症が話題になり、さらに毒々しいほど黄色い花のセイタカアワダチソウが日本古来の草を駆逐して秋の花粉を撒き散らしました。あれが「日本花粉症事始」だったのでしょうか。
 ただし雑草の花粉が飛ぶ距離は限られていて、昨今、スギの花粉が、都会も農漁村も無差別に襲い掛かってくるような広範囲の被害はありませんでした。
 今は圧倒的にスギ花粉症で、全国平均で発症率は3割にも達しています。中でも栃木、埼玉、山梨、静岡、奈良、高知県は40%を超えているとか。首都・中部・近畿圏が高いのは都会という条件が良くないのでしょう。


◆自己免疫力を高めることが大事

 くしゃみ、鼻水に鼻詰まり、目では涙に充血にかゆみといった症状に、耳鼻咽喉科では抗ヒスタミン薬、ステロイド薬を投与します。ただし強い薬ほど副作用も多いので用心しないといけません。
 花粉症は、目や鼻の粘膜に花粉が入り込むと、そこからアレルゲンという物質(アレルギー反応の原因となる「抗原」)が溶け出し、迷惑な免疫反応を引き起こして発症します。
 そこでアレルゲン免疫療法といって、花粉エキスを少しずつ注射していき、花粉症に対する免疫反応をなくそうという方法が登場してきました。ただし2年以上続けなければならないという難点があります。
 私が思うのは、アレルギーを起こさないような体質に変えていく「急がば回れ」作戦です。自己免疫力を高めることが何より大事だと。
 わが家は子供たちが幼少の頃から緩やかな玄米菜食をしてきたためかどうか、全国第2位の花粉症有病率である埼玉に40年住んでいますけれども、幸い、花粉症からはみな無縁でいます。
 まず大事なことは環境因子を改善することです。アレルギーを引き起こさないためには、できる限りきれいな空気を吸うようにすること。車の排ガス、土ぼこり、家の中のホコリ(じゅうたんや布団のダニ類など)に気をつけましょう。


◆肉類の取り過ぎは避けよう

 ところで花粉症の涙や鼻水やくしゃみは、体が排毒作用をしようとしているのではないでしょうか。
 だとすれば負けずに、というか一足先に、食事によって利尿や発汗などで水分や有害物を体外に出せばいい。免疫力を強め、排毒が進むような食事にするということです。
 そのためには野菜、果物、海草、発酵食品を多くとるのがよく、体を温めれば免疫力が高まります。
 長ネギ、玉ねぎ、ニラ、ニンニクの硫化アリルという物質は血行を良くし体を温め発汗作用があるので、排毒も促進されます。ショウガも体を温めます。
 花粉症を防ぐには粘膜を強くする必要があります。そのためには粘膜の血行を良くしなければならず、漢方では葛根湯や川?(せんきゅう)が用いられます。
 食品ではセリ、セロリ、アシタバ、パセリもよく、日頃から折々、いただきましょう。
 反対に高蛋白、高脂質の食事をしている人に花粉症が多いので、花粉症対策としては肉類の取りすぎや大食は避けること。休日の朝とか昼とかにはショウガ紅茶や野菜ジュースだけにするとかするのは、花粉症対策に限らず体調管理にも効果があるはずです。ぜひお試しあれ。

【著者】浅野 純次
           経済倶楽部理事長

(2012.02.28)