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農業参入増える だが採算性が壁  帝国データバンクのアグリビジネス調査

 農業に新しく参入する企業が増えているとの調査結果を帝国データバンクが6月24日発表した。

農業参入の目的・きっかけ
 調査結果では、農業関連ビジネスに「すでに参入している」と回答した企業は733社(全体の6・8%)にのぼった。また「今後、参入予定がある」は2・8%となった。
 参入増加によって農業にどのような変化が想定できるかという設問に対しては(複数回答)、「農業資材やインフラなど周辺ビジネスが拡大する」66%強「食料自給率が上がる」65%「農業ビジネスの効率化が進む」65%弱「雇用の受け皿が増加」同となった。 しかし「農業ビジネスの収益構造が改善する」との回答は47%弱となり、5割弱にとどまった。
 「すでに参入」したと答えた企業が多い地方は(1)北関東(2)四国(3)東北(4)中国の順。また「参入の予定がある」企業は九州が2・5%で突出して多い。

◆農業は注目産業だが…

  この調査は「農業ビジネス(関連ビジネスも含む)に対する企業の意識」を探る目的で今年4月に全業種の約2万1400社を対象に実施した。回収率50%強。
 一方、2007年4月〜2010年4月の間に農業を目的に設立された企業に対しては「農業参入企業(新設企業)へのアンケート調査」も実施した。対象は1680社。
  これによると参入の目的・きっかけは「農業への興味・関心」が60社で51%弱。「地域貢献」が48%強。
  今後の課題は「販路の開拓」約53%、「収益性の向上」約52%、「資金の確保」約47%となった。
  これを参入目的と照らし合わせると、農業に将来性を感じ、興味を持って参入したものの、採算性の壁にぶつかるという現状が浮き彫りとなった。

◆参入は小売業からが多い…

 新設企業のうち61社は「親会社を持つ」と回答。その業種は、流通業が(小売・卸・商社)28%で最も多く、次いで建設業、食品製造業と続く。
 「意識調査」結果でも「今後、参入予定がある」と答えた業種は農林水産業を除くと小売業が最も多く、次いで建設業となり、3番目は金融業 。
 参入企業の都道府県別分布では、最も多いのが北海道で197社。公共事業が削減される中で雇用対策の一環として建設業や運輸業からの参入が散見される。 次いで東京都が多いが、登記上の本社所在地であるため事業の進捗につれて本社を事業地に移転させるケースもあると考えられる。 また茨城・千葉・兵庫県など大都市近郊でも設立が多く、物流コストを考慮した「地の利」が重視されていることもわかる。

(2010.07.07)