統計

統計

一覧に戻る

前年比34人増の408件 高齢者、女性の事故率高まる  平成21年の農作業死亡事故

 平成21年の農作業死亡事故件数は408件で、前年より34人増え、16年以来5年ぶりに400件を超えた。農水省が5月2日に調査結果を公表した。なお、この調査に東京は含まれていない。

 事故区分別では、農機の転落・転倒、道路上での自動車との衝突、挟まれ、巻き込まれなど農機にかかわる作業中の事故が270件で最多。屋根や高所からの転落など農業用施設での作業中の事故が18件。それ以外の事故120件には、稲ワラ焼却中の火傷、ほ場からの転落などが含まれる。
 年齢別では、65歳以上が324件で全体の8割にのぼった。一方、49歳以下は13人で全体の3%。
 男女別では、男性337件、女性71件。女性の比率は17%となり、過去5年間で最も高かった。
 県別では、最も多かったのが兵庫県で20件。次いで福島、愛媛、鹿児島が19件、北海道、新潟が18件となっている。3件以下(0件も含む)は石川、福井、滋賀、京都、大阪、和歌山、鳥取の7県だった。

 

stat1104091201.gif



◆就農者の高齢化すすみ事故増加


 3月末に発表された「2010年世界農林業センサス」によると、22年の日本の農業就業人口は260万6000人で5年前に比べて74万7000人減ったが、一方、農作業死亡事故件数は過去10年間ほぼ横ばいで380〜410件ほどで推移している。
 これについて農水省では、「農業人口の減少によって事故機会が減る一方、事故発生率の高い高齢者の割合が年々高まっているため、全体として事故の発生が減らないのではないか」(生産局農業生産支援課)と分析している。
 就農者全体に対する死亡事故発生率については、「自給的農家の家族労働者や、普段農作業をしない人(就農者として統計に入っていない人)の事故も含まれているため、統計を出すのは難しい。(他産業との比較は)建設業や製造業に65歳以上従事者がほとんどいないので、農業の事故率が高いかどうかは判別しにくい」(同)としている。
 農水省では、3月1日から5月31日までを「春の農作業安全確認運動」実施期間として、特に死亡事故の多い「乗用型トラクター」でシートベルト着用の徹底などを呼びかけている。

(2011.05.09)