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6次産業化が消費者直売を促進  農業法人白書

 日本農業法人協会は9月1日、農業法人実態調査をまとめた「2010年版農業法人白書」を発表した。
 2000年に始まったこの調査は08年から毎年同協会会員を対象に行っている。今回の調査は2010年7月から11年2月に実施。回答数は901会員、回答率は51.7%となっている。

◆売上高は前年比16.3%減

 回答法人の10年度の平均売上高は2億4289万円で、前年より16.3%減少した。これには口蹄疫の影響で畜産の売り上げが低下したことや、景気の悪化による食品の売り上げ低下、販売価格の下振れが要因と分析している。従業員1人当たりの平均売上高は1000万円で、1200万円台だった過去3回の調査から低下した。
 売上高の規模を経営多角化(6次産業化)への取り組み具合から分析したところ、生産だけでなく販売や加工に「観光」部門が入った経営体の売上高は3億円以上が25%以上と他の経営体に比べて高くなっている。
 しかし、平均額でみると、「生産」だけの経営体がもっとも高く2億7900万円で、続いて「生産・販売・加工・観光」2億7000万円、「生産・販売・加工」2億5200万円となった。

多角化段階と売上規模の構成、平均売上高


◆「生産のみ」は農協出荷が38%

 販売先別での売上高は、多角化が進むにつれ消費者への販売割合は高くなっている。「生産」だけの場合、販売先は農協がもっとも高い38.0%で消費者への割合はわずか1.3%だが、「生産・販売・加工・観光」では消費者割合が31.0%となっている。
 販売先売上高を業種別にみると、消費者直売がもっとも高いのが果樹の47.6%、次いで稲作の29.3%。農協出荷が高いのは穀類・芋豆・工芸の49.4%、きのこ38.7%、稲作36.4%。畜産では酪農が51.0%で半数を超え、肉牛も40.5%と高い。

多角化段階と販売先売上高の割合


◆企業参入「歓迎する」38.5%

 経営者の平均年齢は57.1歳で50代と60代で約6割を占めている。後継者が「あり」の回答法人は66.8%で、後継予定者は「親族」48.0%、従業員「15.6%」、「外部」3.9%。外部からの経営後継者は「自らの知人」が32.4%でもっとも高く、次に「知人からの紹介」、「農協」が16.2%で並んだ。
 経営強化の取り組みとして商標登録を取得している法人は150社で全体の16.8%にのぼる。作物別にすると「その他耕種」が23.5%でもっとも高く、次いで「野菜」16.2%、「稲作」14.3%となっている。
 企業の農業参入について「歓迎する」は38.5%で「歓迎しない」の23.1%を上回った。その理由としてもっとも多かったのが「地域農業の活性化」で29.0%だった。歓迎しない理由には「早期撤退による懸念」、「地域協働ルールの崩壊」などがあがった。

企業参入「歓迎する」38.5%

(2011.09.02)