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食への「安全性」重視強まる  日本政策金融公庫

 日本政策金融公庫の農林水産事業は平成23年度上半期の食品産業動向と消費者動向の調査結果を9月1日、発表した。
 東日本大震災後最初となる今回の調査では、企業、消費者ともに食品に対する安全性の高まりが表れる結果となった。

◆企業の安全志向、大幅に増加

 食品産業に現在の主力商品の志向について聞いたところ、「安全」との答えが52.1%でこれまでと同様もっとも高い結果となったが、今回は前回から6.1ポイントと大きく上昇した。
 次に高かった「低価格」志向は調査するたびに低下しており、今回も前回より5.3ポイント減少して34.0%となった。また「地元産」、「国産」志向も前回から減少。その一方で「味」は前回から4ポイント高い32.3%、「簡便」は0.7ポイント高い12.9%に上昇した。
 今後伸びる商品の志向についても「安全」が56.1%と突出して高く、前回から11.3%増加。その一方で「低価格」は34.3%で前回から4.3ポイント減った。
 これらの結果から、福島第一原発事故による消費者の安全志向の高まりで、企業は価格より質を重視する傾向が強まっているとみている。

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◆消費者の安全志向も急上昇

 全国の20〜70歳代の男女2000人に行ったアンケート結果から消費者の食に関する意識も安全志向が強まっていることがわかった。
 「安全志向」は前回からもっとも大きく上昇し、11.2ポイント増の28.5%となった。次に高かったのは5.7ポイント増の「健康志向」(43.8%)。
 同公庫は牛肉の食中毒事故や原発事故による放射能汚染などの影響から、食生活を見直し、健康や安全を重視する消費者が増えたためだと分析している。
 今後の志向についても「安全志向」は37.7%で前回から14.3%上昇している。

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◆国産食品のイメージ落ち込む

 国産食品について聞いたところ、食料品を購入する際や外食する際の国産品へのこだわりは前回よりやや増えたが、大きな変化はなかった。しかし国産を原料とする食品の安全性のイメージは前回から低下。「安全である」とした人は60.7%で前回から7ポイント減、「安全面に問題がある」という人は過去3回4.0%だった割合が5.3%に上昇した。
 一方で輸入食品に対する安全面への懸念は前回の48.6%から41.9%と低下した。

(2011.09.02)