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農業倉庫火災盗難予防月間スタート(20年12月15日〜21年2月15日)
農業倉庫火災盗難予防月間スタート(20年12月15日〜21年2月15日)

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点検は災害防止の出発点

よりいっそうの保管管理体制の強化を

 火災盗難の予防を万全に全農米穀部  全国の農業倉庫は、財団法人農業倉庫受寄物...

 火災盗難の予防を万全に
全農米穀部

 全国の農業倉庫は、財団法人農業倉庫受寄物損害補償基金(農倉基金)に登録されているものだけで、約7300棟が設置され、収容力約630万トン(農倉基金確認中)を有しています。生産者にとっての出荷先および販売先への出荷元という役割を担う、まさにJAグループ米穀事業の物流中核拠点と言えます。
 政府米についても、平成15年に国の保管管理要領が廃止されて以降、倉庫業者が自らの責任と判断で保管管理を行うことになっています。また、国は平成21年度から政府米の寄託契約手続きや保管料の請求事務等について、直接倉庫業者と行う意向を示しています。このため、農業倉庫業者であるJAの役割はさらに大きくなることが予想されます。
 また、国は事故米不正規流通問題を受けて、国が保有する食品衛生法上問題がある事故米の廃棄を開始しており、民間流通米についても事故米の適正な処置を徹底することが求められ、農業倉庫業者が一層強い責任を負うことになると考えられます。
 全農では、農倉基金とともに全国4会場にて農業倉庫保管管理技術研修会を開催し、保管管理担当者の技術向上を図るとともに、火災や盗難が多発する冬季に「農業倉庫火災盗難予防月間」(12月15日〜翌年2月15日)を設定し、全国一斉運動を展開します。
 農業倉庫は、JA合併に伴い大型化・低温化(断熱構造化)が進みつつあり、万が一、火災事故が発生すると甚大な被害となることが予想されます。
また、近年、倉庫において保管している農作物の盗難事故が多発しており、米穀についても流通の多様化により換金が容易となっていることから、盗難の対象として普段は無人の農業倉庫が狙われる恐れがあります。
さらに、要員削減等により、現場の体制が弱体化する傾向の中で、少人数で保管管理を徹底できる業務体制を再構築することが、急務となっています。
 農業倉庫関係者の皆様におかれましては、研修会・会議および巡回指導等を通じて防災意識の高揚を図っていただくとともに、改めて緊急時の連絡体制の確認と施設・設備の点検整備を行っていただき、あらゆる事故の発生防止に向けて保管管理に万全を期していただきますようお願いします。

 「農業倉庫火災盗難予防月間にあたって」
(財)農業倉庫受寄物損害補償基金 理事長 久寝 正則

久寝正則理事長
久寝正則
理事長


  日ごろより米麦の適正な保管管理について、ご努力をいただき感謝申し上げます。
 今年も、「平成20年岩手・宮城内陸地震」の地震災害が発生し、農業倉庫等に保管していた米のはい崩れなどの事故が発生しました。被害を受けられた地域の皆様には心からお見舞いを申し上げます。
 さて、平成20年も師走を迎え、今年も全農と連携し「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、防災・防犯の徹底と併せて適切な保管管理を図る運動を展開します。
 農業倉庫における火災事故は、ここ数年不審火による事故が発生しています。倉庫の軒下に仮置きしていたパレットや倉庫下屋からの出火など、放火と判断されたものであり、少なくとも倉庫周辺には燃えやすいものを放置しないこと、不在時は倉庫や事務所敷地出入口には必ず施錠することなどの対策が必要です。また、ライスセンターでの火災事故も発生しており、機械設備の日ごろからの点検が不可欠となっています
 このような農業倉庫等の火災盗難事故を未然に防止し、保管管理に万全を期すためにも、特に事故の多いこの月間において、役職員の行動基準の設定など防災体制を確立したうえで、農業倉庫等における火災および盗難事故防止に重点を置いた倉庫見回り、施設・設備の整備・点検を行い、保管管理に万全を期す必要があります。このような取り組みは、皆さんが日常的に実施していることだろうと思います。しかし、当基金で補償した多くの事故が、「慣れ」「ちょっとした気の緩み」から生じていることを考えれば、時に立ち止まって、実施すべき事項を改めて確認することが重要だと思います。
 最後になりますが、当基金としては、現在、平成21年用の「農業倉庫手帳」の作成に向けて準備をしています。この手帳は、担当者の皆さんの毎日のスケジュール管理に利用していただくとともに、保管管理の基礎知識を掲載したことや、毎日の穀温管理等の野帳としても利用できるように工夫したものです。是非ご活用いただき、保管管理に万全を期していただきたいと思います。

(特集:農業倉庫火災盗難予防 月間スタート 現地ルポ JAなすの)へ

(2008.12.16)