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第55回全国JA青年大会特集

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輝く農業の未来をつかみとれ!

第55回JA全国青年大会
1500人が結集

日本の食と子どもたちの未来を守り、安全安心な農畜産物を提供し続けるため、青年農業者が力を結集しようと2月17〜18日の2日間、東京・日比谷公会堂で第55回JA全国青年大会が開かれた。『つかみとれ「輝く農業の未来」』のスローガンのもと、全国のJAなどから1500人の青年部盟友や役職員などが集結。JA全青協活動報告、JA青年の主張、青年組織活動実績発表会などが開かれ、大会終了後にはJA青年部と主要政党の代表と計1200人が参加した「農業基盤拡大・自給率向上、青年農業者全国集会」を行い、今後の農業・農村政策の方向性などを討論する熱気にあふれた大会となった。

◆青年農業者の力発揮を

竹村英久氏 全青協会長
竹村英久氏
全青協会長
近藤基彦氏 農水副大臣
近藤基彦氏
農水副大臣
田代武満氏 全中副会長
田代武満氏
全中副会長


 今年の大会スローガンは『つかみとれ「輝く農業の未来」』(応募:北海道農協青年協議会・越後功さん)、サブスローガンは『〜No farm No life〜』(同:JAみな穂青壮年部・田中吉春さん)。
 原油・穀物価格の高騰や農畜産物の価格低迷など青年農業者の生産基盤が揺らいでいるなか、日本の食卓を守り、輝く農業の未来をつかもうという願いがこめられた。
 JA全青協の竹村英久会長は「全盟友が1つの輪になり、日本農業を変えるきっかけにしたい」と大会目標を述べ、「青年農業者自らが消費者や国に向けて、働きかけをしていかなくてはならない」と青年部の1人ひとりがより活発に活動するようにと呼びかけた。
 来賓としてJA全中の田代武満副会長は「厳しい経済状況だが、青年農業者の育成はJAの大きな課題。今秋の第25回JA大会でも青年農業者の育成を大会決議に入れたい」と、JAグループ全体として青年農業者を支援していくことを表明した。近藤基彦農水副大臣は「力強い日本農業の確立を目指してほしい」とエールを送った。

 

◆次期会長に神奈川の山本氏が立候補

山本毅氏 神奈川県農協青壮年部協議会委員長
山本毅氏
神奈川県
農協青壮年部
協議会委員長
岩崎隆氏 岩手県農協青年組織協議会会長
岩崎隆氏
岩手県農協青年組織
協議会会長

 次期全青協会長には全青協理事で神奈川県農協青壮年部協議会委員長の山本毅氏が、副会長には同じく全青協理事で岩手県農協青年組織協議会会長の岩崎隆氏が立候補した。
 山本氏は「農業を心から愛しています」と宣言。「WTO交渉や生産調整の問題など、農業を取り巻く環境は日々悪化している。しかし昨年、盟友たちが力をあわせて働きかけたことで、ほぼ決定していた相続税法の改正を止めることができた。盟友みんなが知恵を出し合い、一緒に行動することで将来の明るい農業の確立を目指したい」と抱負を述べた。
 岩崎氏は盟友とともに自転車で東北・北海道を行脚した体験から「一緒に行動を起こすことで見えてくることがある。盟友1人ひとりの力を結集しよう」と呼びかけた。
 次期正副会長の選任は3月17日のJA全青協臨時総会で行われる。


◆JAみっかび、JA粕屋が最優秀賞

 JA青年の主張全国大会では、JAみっかび青年連盟(静岡県)の山本真さんがJA全中会長賞を受賞した。また、JA青年組織活動実績発表全国大会では、JA粕屋青年部(福岡県)が最優秀賞の千石興太郎記念賞に輝いた。
 山本真さんは「みかんやろうぜ!」と題し、自身の交通事故で「心身ともボロボロだった」時に、先輩農家から「みかん、やりなよ」と勧められ両親を説得、兼業農家だった実家を継ぎ、農青連の仲間やJAみっかびの助力もあって、知識と技術を習得、JAの農地銀行を利用で規模拡大にめどをつけるなど、専業農家として歩み出した経験を発表した。
 「産地の維持、発展には担い手確保が不可欠。私のような農業者を増やすことが大事。産地の維持こそが日本の食の維持だ。日本一のみかん産地を築き上げるのが私の夢」と話した。
 審査委員長の野村一正氏(農林中金総研顧問)は今回の「JA青年の主張」全体について「みな農業への情熱を持っていた。それを各青年部が受け止め、盟友一人ひとりの行動指針となって跳ね返っていくという好循環が生まれていることが感じられた」と講評。山本さんの発表については「青年部との出会いが直面していた問題を解決したことがよく伝わった。人と人とのつながりの大切さ、地域を守ろうという意気込みが感じられた」と評価した。
 JA粕屋青年部は長澤基之さんが代表として発表。JA粕屋青年部が新ブランド米プロジェクトを立ち上げ、農協の役職員などに直接かけあい新ブランド「かすやそだち」を作り上げた経緯などを紹介した。
 野村委員長は「独自ブランドを立ち上げるという活動の具体性が明確に出ていた。他の組織にも参考になる取り組み」と講評した。
 また、2日めにはJA青年の歌「君と」の全国コンクールが開かれた。この歌はJA全青協創立40周年記念事業として制作したもので青年農業者のイメージソングとして定着することをめざしている。
 全国コンクールにはギターや沖縄の三線で独自に編曲した演奏を披露する出場者もいた。審査の結果、JA新いわて青年部葛巻中央支部の橘和徳さんが最優秀賞に選ばれた。

山本真さん(JAみっかび青年連盟) 長澤基之さん「(JA粕屋青年部) 橘和徳さん(JA新いわて青年部葛巻中央支部)
山本真さん
(JAみっかび青年連盟)
長澤基之さん
(JA粕屋青年部)
橘和徳さん
(JA新いわて青年部
葛巻中央支部)
「君と」全国コンクール
最優秀賞

◆日本農業を牽引する決意
 大会では最後に大会宣言を採択

 世界同時不況の様相を強めているなかで、農村経済への打撃も懸念されるなか、一方で食品偽装事件の多発で「国民の日本農業への期待は高まっている」とし、「苦しい現状であっても、確固たる農業経営を築くことにより、日本の食と農を守らなければならない」。そのための行動として宣言では「青年農業者への支援や対策を図るように国へ訴え、同時に農業と国産農畜産物の大切さを国民に対し伝え広めていくことが、課せられた大きな使命である」とし、「それを実現するのがJA青年部だ」と強調した。


【JA青年の主張・全国大会出場者】
JAみやぎ登米南方町青年部・佐野和宏
JAえちご上越頸城地区青年部・草間和幸
JA京都やましろ青壮年部南山城村支部・北本勝実
JA土佐れいほく青壮年部・澤田直樹
JAくるめ青年部・馬場俊充
【JA青年組織活動実績発表】
JA秋田ふるさと青年部◎JA東京むさし国分寺地区青壮年部
JA静岡市青壮年部
JAならけん青壮年部
JA高知市青壮年部
【「君と」全国コンクール】
JA東京あおば青壮年組織協議会・渡戸秀行、宮本和彦
JA若狭小浜青壮年部遠敷支部・中積俊彦
JA京都青壮年農業経営者クラブ大宮支部・井上邦夫
JA島根おおち青年連盟・横宮隆幸、森岡友昭、上田秀太郎
JAおきなわ八重山支店青壮年部・島仲信八
(すべて最優秀賞以外、敬称略)

(2009.02.25)