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戸別所得補償制度への期待と不安―現場からの声(4)

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戸別所得補償制度への期待と不安―現場からの声(4)  麦・大豆対策 充実を期待〜岩永敏雄さん(佐賀県)

朝日みつば営農組合長(JAさが理事 ) 
岩永敏雄氏

 JAグループには地域農業振興策を地域それぞれの実態に合わせて作成することが求められている。そこには米依存から脱却し地域特産品を振興しようという計画も多く、生産者、組合員の話し合いと協同の力で取り組みが進んでいる。戸別所得補償制度はそうした取り組みを促進できるか。
 第4回めは、佐賀県の声を聞いた。佐賀県武雄市にある朝日みつば営農組合の岩永敏雄さんだ。「米の生産も考えなくてはいけないが、やはり佐賀県は麦・大豆で水稲の分を稼がなければと一生懸命取り組み、他県の分まで生産調整を引き受けてきた。米だけの施策を考えたのではこうして取り組んできた地域は困る・・・」

toku091125web2088-P301.jpg 佐賀県では大豆・麦の作付け強化に取り組んでいるが、これまで産地づくり交付金では10aあたり5万円近くの支援があった。
 来年度は米について戸別所得補償をモデル的に始めるというが、われわれ生産者にとっては基本的に今までどおりの支援がなければ農業振興はできないのではないかと感じている。まだ詳細は明らかにされていないが麦・大豆の支援が10aあたり3万5000円では途方に暮れてしまう。
 地域の会議では米の生産調整については来年度も今年度と同じような取り組みが必要だという話になった。みんな米づくりに戻れば価格が暴落、その価格差を補てんするということになれば3万5000円水準でもこれが妥当かという話にもならないかとの懸念も出た。今の案では不安だらけだ。
 米の生産も考えなくてはいけないが、やはり佐賀県は麦・大豆で水稲の分を稼がなければと一生懸命取り組み、他県の分まで生産調整を引き受けてきた。米だけの施策を考えたのではこうして取り組んできた地域は困る。
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 後継者不足のなかで今後、どうしていくかを考えたとき、国の考えに即して18年度から集落営農組合を立ち上げた。36haを集積している。武雄市が特産品にしようとしているハーブの一種、レモングラスの栽培にも取り組んでいる。
 4年目を迎えるにあたって地権者とわれわれ集落営農組織がきちんと契約をしなければ地権者も安心できないし、われわれも法人化に向かえないと、農地の出し手にも支援がある農地利用集積事業に期待していた。しかしこれも白紙に戻ってしまい、先が見えなくなった。
 政権が交代したのだから農業がいい方向に向かうことを期待している。とくに若い人たちが農業に意欲を持てるようにしてほしい。食料自給率は上げなくてはいけないとみんな思っていても、しかし、現場で作る人がいない、では困る。
 新政権が今どういう考えで論議をしているのか。私たちの地域のような取り組みが進むように具体策が検討されていることを期待している。

(2009.11.25)