特集

「安心」と「信頼」で地域をつなぐJA共済

一覧に戻る

JA共済・地域貢献活動―交通事故の未然防止で安全な生活環境をつくる

・幼児から高齢者までを対象に「交通安全教室」を開催
・交通安全運動も積極的に展開
・5万人にものぼる未成年者の自転車乗用中死傷者数
・スタントマンが生徒の目の前で事故を再現
・いま話題のラッピング・バスで交通安全を啓発
・交通事故被害者の支援も

 JA共済は「ひと・いえ・くるま」の万が一の保障をするだけではなく、交通事故対策活動、健康管理・増進活動、高齢者・身障者福祉活動、災害救援活動、文化支援活動、環境保全活動など、さまざまな地域貢献活動を実施してきている。それは全国レベルで実施されるものから、県単位・JAや地域単位で実施されるものまで、多岐にわたっている。
 そうしたなかから今回は、交通事故対策活動について紹介する。

相互扶助のJA共済だから
できる地域貢献


◆幼児から高齢者までを対象に「交通安全教室」を開催


 交通事故対策活動には、交通事故を未然に防止するための活動と、不幸にして交通事故に遭われた人の社会復帰を支援する活動がある。
 交通事故を未然に防止する活動の一つとして、特に交通事故弱者である幼児向けと高齢者向けの「交通安全教室」に力を入れている。
 幼児向けは、16年度から全国各地で上演され、子どもたちと保護者がひとつになって、楽しみながら交通ルールを学べる「親と子の交通安全ミュージカル『魔法園児 マモルワタル』」がある。21年度までに全国で210回上演され、参加した幼稚園の数は2897園、参加人数は約13万人におよんでいる。22年度も48回上演する予定となっている。
 増加する高齢者の交通事故をなくすために17年度から実施している高齢者向け「交通安全教室」では、JA共済オリジナルの「交通安全落語」や「交通安全レインボー体操」を組み合わせ、笑いながら楽しく交通ルールを学んでいる。21年度までの5年間で約10万人が参加した。
 また、最近増加傾向にある高齢者ドライバーの交通事故を防止するために、20年度からドライビングシュミレーター搭載車両「きずな号」を全国8カ所に配置し、巡回型の安全運転診断を行っている。
 ここでは、過去の事例を参考に、事故を起こしやすい場面を再現したドライビングシュミレーターを使い、約5分間講習し、交通安全のアドバイスを行っている。

 

◆交通安全運動も積極的に展開


 また、春と秋に実施されている全国一斉交通安全運動へ参加するとともに、毎年7月から9月にかけて「JA共済全国一斉交通安全運動」を実施。そのなかで、自治体・警察などと連携し、各都道府県が独自の交通安全教室を開催したり、反射リストバンドの配布、園児や児童へ交通安全手帳や帽子を寄贈するなど、地域における交通安全への取り組みも行っている。
 図画工作・美術教育の発展と、交通安全の大切さを幅広く社会に訴えることを目的に毎年開催されている「交通安全ポスターコンクール」も忘れてはいけない活動の一つだ。昨年度38回目を迎えたこのポスターコンクールには、全国から約16万点を超える作品が寄せられている。
 このポスターコンクールでは最近、「自転車の交通マナー」を訴える作品が増えており、身近な乗り物である自転車の交通マナーに対する関心が高まってきている。

 

◆5万人にものぼる未成年者の自転車乗用中死傷者数

 

 警察庁統計局がまとめた「平成21年中の交通事故発生状況」によると、21年中に発生した自転車乗用中の死傷者数は約16万人。そのうちの3分の2が自転車側に違反があると指摘している。そして19歳以下の自転車乗用中の死傷者数は約5万人もあり、全体の約3割を占めている。
 また、自転車事故の発生は、8時台と16時台に集中しており、まさに通学・下校時が要注意時間帯となっているという。
 自転車の交通マナーは自動車のそれに比べて「10年遅れている」といわれるように、交通ルールに対する認識が甘く、自動車事故が減少しているにもかかわらず、依然として多発しているのが現状だ。

 

◆スタントマンが生徒の目の前で事故を再現


 こうした自転車事故の増大を受けて、20年6月に改正された道路交通法では、自転車の交通ルールが大幅に見直されたが、これを周知し、安全運転への意識を高めることが求められている。とくに前記のように、未成年者の事故が多いことから学校現場での指導が求められている。
 こうしたなかJA共済連では、昨年6月に「被害者になったときの痛み」と「加害者としての責任」という2つの視点から、交通ルールの大切さを考える「自転車交通安全教育DVD」を制作。全国の中学・高校約1万6100校(中学約1万900校、高校約5200校)へ配布した。
 また、「自転車交通安全ブック」も130万部制作し、通学に自転車を使い始める全国の中学1年生に配布した。
 このDVDでは、自転車事故のリアルな再現映像や、実際に未成年者が自転車事故の加害者となり高額な損害賠償が発生した事例をドラマ仕立てで紹介。学校のホームルームで活用され、「事故を起こしたら被害者の人生をめちゃくちゃにしてしまうだけでなく、自分と家族にも大変な迷惑をかけてしまうと改めて思った」など、自転車交通安全に対する意識を高めている。
 そして昨年夏からは、このDVDに加えて、スタントマンが生徒たちの目の前で、危険な自転車走行に伴う交通事故場面を再現し、生徒が事故の危険性を疑似体験する(スケアード・ストレイト教育技法)「自転車交通安全教室」を全国で開催している。
 目の前で再現される事故の迫力は相当なもので、交通安全意識を高める効果は大きい。しかし、スタントマンが学校を訪ねて実演するため、数多くは実施できないが、今年4月5か所で実施され、5月には予定も含めて10か所で実施されるが、その後も全国各地の要望を聞きながら、できるだけ多くの地域で実現したいとJA共済連では考えている。

         スタントマンによる自転車安全教室   スタントマンによる自転車安全教室

(写真)スタントマンによる自転車安全教室

◆小学1年生にはアンパンマンの携帯できる横断旗が


交通安全横断旗 さらに昨年夏から、小学校への新入児童を対象に、持ち運びに便利な「交通安全横断旗」の配布も始めた。昨年は年度途中からの試行実施だったため55万本程度の配布だったが、今年度は全国の新入児童全員に配布できる120万本を作成し、配布を開始している。
 道路横断用の「横断旗」は、ドライバーへの視認性を高めるため各地で利用されているが、特定の横断道路脇にのみ設置されていて、利用できる機会が限られている。JA共済が作成したオリジナルの横断旗は、児童が常に携帯でき、持ち手の部分には柔らかい素材を使い安全にも配慮した使用となっている。また、反射シートが貼られているので、夜間の横断時にもドライバーの注意を喚起するようになっている。
交通安全横断旗を授与 しかもこの横断旗には、子どもたちに大人気で、JA共済のキャラクターでもある「アンパンマン」が描かれており、子どもたちが「絶対に欲しい」というものになっている。

(写真)交通安全横断旗(上)・交通安全横断旗を授与(下)

 

◆いま話題のラッピング・バスで交通安全を啓発

 

 もう一つ、昨年夏以降全国で実施されているのが「飲酒運転防止」や「シートベルト着用」あるいは「自転車の交通ルール啓発」などを訴える「ラッピング・バス(路面電車を含む)」を活用した交通安全啓発活動だ。
交通安全ラッピングバス ラッピング・バスとは、バスの車体全体に訴求内容を掲出する手法で、多くの人の目に留まり、非常に高い訴求効果が期待できることから、最近新たな広告媒体として注目されている。
 昨年7月から今年3月までに38県で実施された。今年度に入ってからも現在まで14県で実施されており、5月以降さらに拡大していく予定となっている。

(写真)交通安全ラッピングバス

 

◆交通事故被害者の支援も


 このように、JA共済では、幼稚園児、小学1年生、中学1年生、そして中学・高校生を対象にした交通安全教育に積極的に取り組むと同時に、地域の人たちへの交通安全の働きかけを行い、さらに高齢者を対象にしたものまで、全世代を対象に交通事故の未然防止と安全な環境づくりに取り組んでいる。
 さらに交通事故被害者の社会復帰を支援する活動としては、「介助犬」の育成・普及支援にも積極的に取り組んでいる。
 また中伊豆(静岡県)と別府(大分県)には、病院・福祉施設・介護施設の3つの機能を持つ全国でも数少ない総合型リハビリテーションセンターを開設し、交通事故などによる障がい者の社会復帰を支援している。
 こうしたことは、相互扶助精神に基づいた協同組合であるJA共済ならではの取り組みだといえる。

(2010.06.02)