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農協運動の仲間達が贈る 第32回 農協人文化賞

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15氏の功績讃えて――農協運動の仲間達が贈る 第32回 農協人文化賞表彰式開く

キーワードは「運動」そして「教育」受賞者や来賓の発言から

 「農協運動の仲間達が贈る第32回農協人文化賞」の表彰式は6月24日、都内の東京會舘(アーバンネット大手町ビル21階)で開かれ、多年にわたり農協運動の発展に献身的に寄与した功績者15氏に(社)農協協会の中川敞行会長と選考委員会の今村奈良臣委員長(東京大学名誉教授)から賞状と賞牌が贈られ、その栄誉を讃えた。
 引き続いて記念シンポジウムと受賞記念パーティーを催した。

受賞者と主催者(前列中央2人)の記念撮影

表彰式

◆15氏の功績讃えて


表彰を受ける紅一点の池田陽子氏 この賞は創設以来32年の歴史を持ち、受賞者は今年で294氏にのぼる。一昨年からは表彰候補者推薦枠を広げて「農協運動の仲間達が贈る」賞とした。また表彰部門に厚生福祉事業を加え、6部門に拡充した。
 今年の特徴は、宮城県の河北新報社の一力雅彦社長が一般文化部門特別賞に輝いたことで、言論人としては初めての受賞者となった。
 また農作業事故防止に取り組んで来た三廻部眞己氏(神奈川県)も、この賞としては初めての労災予防分野での受賞となった。
 農協と関わりのある外部団体からは生活クラブ生協連合会の河野栄次前会長が一般文化部門特別賞を受賞した。
 表彰式に先立って受賞者同士の交流会が開かれ、夢とロマンを農協運動に託した受賞者たちの熱い思いが次々に語られた。交流会には農協人文化賞選考委員会も加わった。
 受賞者は座右銘などを書いた色紙を持ち寄って体験や所信を語ったが、共通点としては農協のあり方を運動論として捉えている論旨があった。
 表彰式では選考委員会の今村委員長から賞状などが手渡され、受賞者の功績を讃える拍手が大きく響いた。
 来賓祝辞ではJA全中の土屋博常務が宮崎県の口蹄疫対策に全国から支援が寄せられていることに全中として感謝し、経営再建に取り組む課題を挙げたあと、受賞者にお祝いの言葉を贈った。
 続いて「JAは地域の生命線ー人を生かす、資源を生かす、ネットワークを拡げるー」をテーマに記念シンポジウムが開かれた。

(写真)表彰を受ける紅一点の池田陽子氏

 

記念シンポジウム

明日の農協はどうあるべきか

地域の特性から「めざすこと」を考える

営農・教育・福祉などを
テーマにディスカッション

         今村奈良臣・農協人文化賞選考委員会委員長    石田正昭・三重大学教授

 表彰式後には受賞者をパネリストにした記念シンポジウムを開催。第30回までは体験発表だったが、受賞者の体験をふまえ参加者とともに農協をめぐるさまざまな課題をディスカッションする場とした。今回は営農、福祉、教育、組織のあり方などが話題の中心となった。コーディネーターは今村奈良臣・農協人文化賞選考委員会委員長(東大名誉教授)と石田正昭・三重大学教授が務めた。

(写真)
今村奈良臣・農協人文化賞選考委員会委員長(左)/石田正昭・三重大学教授

  受賞者の体験をふまえ参加者とともに農協をめぐる課題をディスカッション

(写真)受賞者の体験をふまえ参加者とともに農協をめぐる課題をディスカッション

◆福祉
組合員の力を引き出す

JAあづみ福祉課・池田陽子氏 JAあづみ福祉課の池田陽子氏(厚生福祉事業部門受賞)は、高齢化が進むなか「将来への不安を安心に変えていく」ため、介護保険ではカバーできない人も対象に助け合いで福祉事業を行う組織『あんしん』と、組合員自らが地域づくりに取り組む『生き活き塾』の実践を報告した。
 池田氏はこの取り組みを「農業を基軸にし人と人との絆をつくりながら暮らしを豊かにする。農協らしい事業をめざした」と位置づけている。
 『生き活き塾』は組合員の学習の場だ。テーマは農、食、健康など。その狙いを「学びながら自分が安心して暮らせる里をつくる」ことにあると解説。会場には塾のメンバーも駆けつけており、「学んだことをまず家庭で実践、それから地域へ。直売所活動が盛り上がってきた」、「介護が必要な親を抱えながらも朗読ボランティアを実践。介護はJAのデイサービスを利用。最初はとてもできないと思ったが生きがいに。女性理事にもなり今は組合員とのパイプ役」などと報告した。
シンポジウム風景 組合員の活動とJAの事業が「相乗効果を持つように展開」(石田教授)されている実践として注目を集めた。

(写真)
JAあづみ福祉課・池田陽子氏


◆地域
重要なトップの意識

JAえちご上越・小林春芳前副会長 高齢化の進行はどの地域でも課題だ。
 会場からは「どう対応するか、リーダーの意識にかかっている。福祉事業はJAの出番だ」との指摘や「できることは自分たちでやるという組合員の自主性を引き出すことも大事」といった感想もあった。
 JAえちご上越の小林春芳前副会長(信用事業部門受賞)は率先してホームヘルパー資格を取得したことで「職員の意識が変わった」と紹介したほか、自らの集落で毎日夕方に散策する「一歩の会」をつくったという。「歩ける人はだれでも集まろう」と呼びかけ住民が顔を合わせる場づくりをしている。
JA富山県厚生連審査役・大浦栄次氏 また、JA合併にともなう店舗の統廃合では、福祉事業の拠点なども兼ね備えるなどの「多機能型店舗」を視野に入れた再編も行ったという。信用事業など既存の事業は縮小されたが「最初は反対していた組合員も地域の人たちが集まる場ができて便利でいいと評価している。JAは組織全体の信頼をどう上げるかが課題。信頼の上に地域が輝き組織が輝く」と強調した。
 地域づくりには「健康・環境調査活動」もきっかけになることを強調したのは、JA富山県厚生連審査役の大浦栄次氏(厚生福祉事業受賞)だ。
 大浦氏は県内農家のみそ汁塩分調査を実施したが「一杯一杯みそ汁を運んできてくれたのは生活指導員。そのおかげで調査だけではなく減塩運動が大きく進んだ」と紹介。
 また、地下水の自噴量調査や水質検査ではJA青年部がデータ収集を申し出た。
「データは穴ぼこだらけ(で不備)になるのでは、とためらったが逆に水を守ろうという運動が広がった。科学は誰のためのものか考えさせられた。調査は『いつでもどこでもだれでも参加できる』ことが大切。地域を変えるエネルギーになる」。
 調査=地域自らの実態分析、と捉えれば、調査に参加することで改革意識を共有できる、という貴重な示唆だった。

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JAえちご上越・小林春芳前副会長(上)/JA富山県厚生連審査役・大浦栄次氏(下)


◆営農
次世代へ引き継ぐ

JA阿新代表理事組合長・二摩紀昭氏 JAあづみの池田氏は「あんしんの里」づくりなどの取り組みは、そこに暮らすことを次世代も選ぶようになることも目標だと強調したが、同様にこうした次世代への働きかけが大切だと話したのはJA阿新の代表理事組合長の二摩紀昭氏(経済事業部門受賞)。
 人口減に悩む集落が多いのは事実だが、最近では年に4〜5人の新規就農者があり「家族も含めれば年に20人増えることも」。仁摩氏は「和がないと集落は崩壊する」として「集落の住民たちは新しく来た人を大事にしている。交流のための運動会なども盛んだ。JAは集落維持も仕事だが、同時に新規就農者を呼び込むには儲かる農業を提案しなければならない」と強調した。
 茨城県のNPO法人アグリやさとはJAやさとの農業体験事業などを支援するNPO法人だ。代表はJA職員だった柴山進氏(営農事業部門受賞)。
NPO法人アグリやさと代表・柴山進氏 JAやさとは昭和60年代から「地域総合産直」をキーワードに生協との産直に取り組んできた。その中心となった柴山氏は「一部の生産者だけの産直では地域農業は残らない」との考えで多品目での取り組みを進めた。
 産直をきっかけに有機農業部会の立ち上げ、食農体験の受け入れ、さらに本格的な就農をめざす研修農場へと発展させた。有機農業部会の3分の2は都会からの新規就農者だという。産直というJAの販売事業確立によって「毎年のように若者が入ってくる」。都市農村交流や新規就農者によって、地域農業を守っている。
 
(写真)
JA阿新代表理事組合長・二摩紀昭氏(上)/NPO法人アグリやさと代表・柴山進氏(下)


◆教育
運動者を育てているか

 JAは組合員、地域のために事業を展開する――。言うまでもないテーマだがシンポジウムではこれを実践するための職員への「教育」の重要性も改めて指摘された。
 JAグリーン近江常務理事の岸本幸男氏(共済事業部門受賞)は共済事業が重点にしている3Q訪問活動(全戸訪問活動)は、「組合員との接点活動」であり「これは農協運動の礎だ」と強調した。ただし、これまではJA広報誌の配布活動も「組合員が家にいるのに、ポスティングですませている実態もあった。これで運動の先頭に立てるのか」と職員に指導、意志統一を図ったことも紹介した。
シンポジウム風景 JA中札内村代表理事組合長(営農事業部門受賞)の山本勝博氏は就任以来、早朝にデスクに座り職員を迎えることを心がけてきた。今では職員の言動が大きく変わったという。また、主力品目の枝豆販売では各地の商談会に必ず代わり代わり職員を同行させ販売最前線を学ばせている。「トップがしっかりすれば必ず職員は変わる」と強調した。
 職員教育担当のJA常勤講師という全国でもまれな役職を経験したJA菊池地域の川崎盤通氏(一般文化部門で受賞)は、着実に実践に結びつける職員教育に力を注いできた。
 教育の成果を役職員が共有するなかで、JAが掲げるべき統一理念の策定にも結びつけた。
 ただし、最近の傾向として「ノルマ主義、実績主義に傾き、運動者としての職員という面が見失われていないか」と提起した。

 

     JAグリーン近江常務理事・岸本幸男氏  JA菊池地域非常勤講師・川崎盤通氏  JA中札内村代表理事組合長・山本勝博氏(右)

(写真)
JAグリーン近江常務理事・岸本幸男氏(左)/JA菊池地域非常勤講師・川崎盤通氏(中)/JA中札内村代表理事組合長・山本勝博氏(右)

 


◆組織
合併をどう評価する?

 受賞者には半世紀近く農協運動に関わってきた人も少なくない。そのため小規模なJAからスタート、近年はリーダーとしてJA合併JAに関わってきた農協人も多い。シンポジウムではJAの事業は組合員との接点からどう生み出すかが大切と強調される一方で、JA合併をどう評価するかも議論になった。
 JA長野八ヶ岳前代表理事組合長の薩田行和氏(経済事業部門受賞)は、高原野菜の大産地であることなど地域内JAは「農業生産農協」であることを基本に合併をまとめた。合併によって、たとえば生産資材高騰の際には総合的な農家支援策を打ち出すこともできたという。「組織がしっかり対応すれば組合員の納得は得られる」と話した。
シンポジウム風景 JA愛媛中央会会長の石川迪士氏(一般文化部門受賞)は「JA経営が成り立たなければ組合員の負託に応えられない」としながらも、営農指導と経済事業を軸にアグリセンターの集約化をはかり新たな農家支援体制を打ち出したり、店舗等の統廃合の一方、デイサービスセンターなど福祉事業の拠点を生み出す取り組みも進めてきたことを報告した。
 一方、JA中札内村をはじめ十勝24JAで組織する十勝農協連は「JA合併はしないが経済事業は1つ」をめざす連合組織で、合併ではなく「JA間提携」による事業再編という視点も提起された。
 合併問題についてJA広島中央会の前専務の黒木義昭氏(一般文化部門受賞)は「規模が大きくなったら、地域のなかに小さな協同活動をいかに多くつくるかが課題になる。地産地消運動も生産者と消費者の協同運動づくりをめざしたはず。その哲学をなくし利益追求の手段になっていないか」と問題を投げかけた。
 そのほか、農作業事故防止運動に先駆的に取り組んできた労災予防研究所長の三廻部眞己氏(一般文化部門受賞)は地域農業の組織的な安全管理が今後重要になるとして「JAが組合員の命を守るという気概を持って農作業事故防止に取り組むべき」と改めて強調するなど、多様な角度から農協運動への期待と課題が提示された。

 JA長野八ヶ岳前代表理事組合長・薩田行和氏JA愛媛中央会会長・石川迪士氏JA広島中央会前専務・黒木義昭氏労災予防研究所長・三廻部眞己氏

(写真・左から)
JA長野八ヶ岳前代表理事組合長・薩田行和氏/JA愛媛中央会会長・石川迪士氏/JA広島中央会前専務・黒木義昭氏/労災予防研究所長・三廻部眞己氏

 

記念パーティ


受賞記念パーティには約200人が集まり盛況だった 受賞記念パーティーは約200人が集まる盛況となってお祝いムードが盛り上がった。
 今村委員長が簡潔に経過を述べたあと、改めて受賞者15氏を紹介し、会場からは拍手が続いた。
 次いで来賓の全国連代表らが次々に祝辞を贈り、またJAグループの各事業が当面している課題などの指摘もあった。
 この中でJA宮城中央会の駒口盛・元会長(昨年の受賞者)は公務多忙で欠席した受賞者の一力氏と、宮城・JA栗っこの菅原章夫組合長に代わって2氏の業績を紹介した。
 引き続いて祝杯を重ねながら受賞者を囲む懇談が続いた。
 今年は2012年の国際協同組合年に向けて組合員教育、役職員教育の重要性を指摘する発言がシンポジウムなどを通じて目立った。
 このため乾杯の音頭をとった東京農工大学の梶井功名誉教授は、農協法から消えてしまった「組合員教育」の文言を「復活させるべきだ」と改めて強調した。
 中締めでは農協協会の佐藤喜作副会長が「すべての協同組合運動が手をつなぎ、子孫のため協同の輪を広げて幸せな人生を送れるようにがんばる必要がある。今日はそのヒントをたくさん教わった」とあいさつした。

(写真)受賞記念パーティには約200人が集まり盛況だった

 

来賓あいさつ(抜粋)


土屋博 JA全中常務土屋博
JA全中常務


 わが国は経済、社会また政治の面でも閉塞的な状況にあります。しかし協同組合組織であるJAグループはこうしたわが国社会が抱える様々な不安の解消に向けて貢献できる大きな力を持っていると私は確信しています。
 国連は協同組合が社会的弱者の協同の力によって貧困の根絶などに寄与していることを高く評価して2012年を国際協同組合年とすることを宣言しました。 今後それに向けた取り組みが具体化される中で、本日の受賞者の大きな功績に改めて敬意を表する次第です。


前嶋恒夫JA全中常務前嶋恒夫
JA全中常務


 協同組合の価値が国際的に評価される一方で国内では政府の行政刷新会議が規制・制度改革分科会で農協への独禁法適用除外の見直しなどを検討しています。選挙後もさらに攻撃が来ると思います。JAグループはこれに対してきちんと反論すべきはしていきます。 また農協運動の理念と価値に対する確信を広げていくためにJA全中は組合員の学習活動と役職員の研修活動に取り組みます。ご指導、ご支援をよろしくお願いします。


加藤一郎JA全農専務加藤一郎
JA全農専務


 利益至上主義とか市場原理主義の中で企業が本来持っていた社会的な責任が希薄化しているといわれ、また都市と地方の格差が広がって日本国民が誇るべき地域のコミュニティさえが崩壊しようとしています。
 そうした中で受賞者は組合員の負託に応えることで、そういう流れを打破する起爆剤になっておられます。
 全農としては全職員がもう一度、経営理念を問い直し、国産農畜産物の販売拡大に全力を挙げていきます。


前澤正一JA共済連常務前澤正一
JA共済連常務


 共済事業部門の受賞者2氏に共通する点はJAと組合員、JAと地域住民の接点、密着であろうと思います。
 私は共済事業の使命の1つに組合員組織の拡充があると考えていますが、昨年度は全国で50万人にのぼる新しい仲間、ニューパートナーを生み出すことができました。
 今、新たな試みとしては、ふるさとのJAと都市のJAを結ぶネットワークをつくりながら、地域を超えた新しい仲間づくりを進めています。


榎本進全国厚生連理事長榎本進
全国厚生連理事長


 この賞の中に厚生福祉事業部門を新設していただいたのは30回目からです。この事業の重要性を再確認していただいたことに感謝申し上げているところであります。
 今回受賞の大浦さんは富山県で組合員はもとより地域住民の健康管理や農作業事故、農薬中毒などの予防対策一筋に取り組んでこられました。
 この賞の趣旨である“隠れた功績者”としてまことにふさわしい方であると推薦について自負しております。


禰宜谷恭治家の光協会常務禰宜谷恭治
家の光協会常務


 一般文化部門での受賞4氏には当協会としても大変お世話になっております。
 石川さんは協会の監事であり、また教育文化活動について長年ご指導をいただいております。川崎さんには熊本県下で女性部などを中心にご講義をいただくなどし、黒木さんにはいろいろな協会の事業についてアドバイスをいただいております。三廻部さんには4月に農作業事故の防ぎ方と労災補償の単行本を協会から出していただきました。


山田俊男参議院議員山田俊男
参議院議員


 私は4月26日の参議院決算委員会で農協への独禁法適用除外問題で質疑を行い、内閣府の動きに対して牽制球を投げました。
 その時、わかったのは、担当の大塚耕平副大臣は農協だけが適用除外されていると思っていたことです。協同組合全部が除外されていることを日銀出身の大塚さんは知らなかったのです。
 民主党はすべてが選挙目当て。この際農協たたきをやっておこうという戦略であったこともわかりました。


駒口盛JA宮城中央会元会長駒口盛
JA宮城中央会元会長


 特別賞の一力さんは農協人の仲間でも、また農協運動をやってきた人でもないので心配していました。しかし河北新報の歩みや、ご本人の人柄、私よりも農業や農協運動を愛している思いをよく知っているので、それを理解してもらったことを嬉しく思っています。
 今日は、協同組合運動とは何を目指し、何をなすべきかなどの議論がありましたが、国際協同組合年に向けてこのことを改めてよく考えようではありませんか。


野口好啓JAさが組合長野口好啓
JAさが組合長


 私は昨年、受賞しましたが、果たして私が該当者なのか、その後も反省していました。しかし、その後、反響があり、表彰を通じて農協運動のすばらしさをわかっていただくという面があることなどもわかりました。
 今日は農協大合併についての議論も出ましたが、農協は組織の大きさではないと思います。組合員の視点で、実際にどういう運動をするかが一番重要です。組合員が「おらが農協」の意識をもってやっていくことが大事です。


村田興文シンジェンタ ジャパン社長村田興文
シンジェンタ ジャパン社長


 日本農業を活性化させていくには海外にもっと目を向けるべきです。アジアの富裕層だけでなく、これからはアメリカやヨーロッパのことも考えていかないといけません。
 日本農業は東京や大阪など人口密度の高いところばかりをみていますが、国内需要だけでなく海外に出せる農産物も作っていく必要があります。
 これからは世界で戦うことができる農業を考える人材をどのように育成するかが日本農業の勝負です。



村田武愛媛大学教授村田武
愛媛大学教授


 JAの若手職員は、自分が何で農協に入ったのか自覚していません。先日私は愛媛県の2JAで職員教育の講師を務め、改めてそのことを痛感しました。
 “学び合う”“助け合う”ということを学んでいない若い世代を“異星人”だと思って教育問題に取り組まないといけません。
 協同組合について、JA綱領を教えるだけでも大きな意味があると思います。組合員教育と並んで職員教育について考えていく必要があります。

(2010.07.02)