特集

地域・都民との共生目指す都市型JA

一覧に戻る

【JA世田谷目黒】地域・都民との共生目指す都市型JA

・猛暑の影響管内農産物にも
・地産地消・食農教育の取り組み
・学校田んぼの整備に協力
・自然エネルギーを有効利用
・デジタルサインボードの電源に活用
・事務・管理コストの削減図る

 JA世田谷目黒は、信用・共済事業、資産管理事業を柱とし、正組合員611名、准組合員1920名を擁する典型的な都市型JAだ。本店は、田園都市線桜新町駅前に設置されていて、管内全域が都心に至近の位置を占めている。周辺には住宅街が広がり、生活の利便性は高い。また管内は一大文教地帯でもあり、駒沢大学、東京農業大学、日本体育大学などをはじめ、多くの学校が存在する。そうした立地状況下での都市農地は、地場農産物の供給をはじめ、緑地としての重要な機能も果たしている。同JAのビジョンは「JA世田谷目黒は貴重な農地(緑地)を組合員と共に保全し環境維持に貢献します。」というもの。本紙ではJA世田谷目黒の環境対策・食農教育の取り組みなどを、同JA岡庭正幸理事部長に訊いた。

食農教育・環境対策も出来るところから

◆猛暑の影響管内農産物にも


JA世田谷目黒本店外観 「暑い日が続きますね」。先日、JA世田谷目黒の岡庭正幸理事部長を訪ねた時の、開口一番の挨拶がそれだった。連日猛暑日が続き、気象庁も観測史上最高の全国的な猛暑、と発表した。原因はさまざま指摘されているが、CO2の過剰排出による地球温暖化現象が、顕現化してきたことも否定出来ない。
岡庭正幸理事部長 同JA管内でも、酷暑と水不足により、葡萄やネギなど農産物の品質が良くないという。また「8月は秋キャベツの移植時期だが、天候のせいで先延ばしになっている。畑作物には井戸水を散水しているが、井戸水が涸れてしまった」と岡庭理事部長は語る。

(写真)
左:JA世田谷目黒本店外観
右:岡庭正幸理事部長

 

◆地産地消・食農教育の取り組み


 同JAでは、学校給食の食材に地元の野菜などを供給している。もともとは3年ほど前、世田谷区教育委員会から話があり、太子堂給食センターに地場野菜をおろしはじめた。現在では、その他に多聞小学校、桜町小学校、東根小学校、光明・青島特別支援学校にも供給しているという。
 学校からの注文を受けて、JA職員が直接組合員農家を訪ね、野菜などを提供してもらう。集配・集金・支払いもJA職員が担当する。組合員が協力してくれるのであれば、JA職員も汗を流す、という考えだ。学校側は、給食メニューの説明で、世田谷産の野菜であることを、生徒達に知らせる。
 まさに「よい食プロジェクト」や「フードアクション ニッポン」のコンセプトである地産地消を実践している。地場の農産物を食べることを通して、郷土を理解してもらう。食農教育の原点がそこにある。「生徒達や保護者の評判も良い」と岡庭理事部長。
 また商店街の青果店に産直コーナーを設け、トマト、ナス、キュウリ、枝豆、ジャガイモ、小松菜、カボチャ、トウモロコシなどを随時、販売している。消費者にも好評で即時に売り切れるという。
 地場野菜の評価を落とさないため、組合員からは上級品を出してもらっている。しかも正真正銘の朝穫り野菜であり、鮮度の良さ、品質の良さを消費者は理解し、買い求めているようだ。ここでも協賛農家にはJA職員が出向き、草取りや後かたづけなどの手伝いをする。

 


◆学校田んぼの整備に協力


区立笹原小学校の学校水田 平成21年には「JAバンク協調型事業」の一環として、世田谷区立笹原小学校にミニ田んぼを作った。そこでは整地から、水田用の荒木田土の搬入、苗の提供まで同JAが協力、子供たちに田植えから収穫までの農業体験をさせた。
 同JAには、すぐに他校から問い合わせ・依頼があったという。農業に触れることの少ない都市の子供たちだからこそ、「年1校くらいは、学校田んぼを作っていきたい」と岡庭理事部長は語る。

(写真)
区立笹原小学校の学校水田

 

◆自然エネルギーを有効利用


上から見たハイブリッド式発電機 JA世田谷目黒は今年2月、田園都市線桜新町駅前に、地上4階地下1階の本店ビルを新築したが、竣工に合わせ、表通り前に「小型風力・太陽光ハイブリッド式発電機」を設置した。
 この発電機は昨年1月、先行して同JAファーマーズセンター前に設置された「小型風力・太陽光ハイブリッド式発電機」の2台目に当たる。発電の原理は、アルミニウム製の縦型風車とソーラーパネルで、風力と太陽光を電気エネルギーに転換するもの。
 都市部では場所柄、巨大なプロペラ型風車を廻して発電するわけにはいかない。そこで都市景観にマッチする街灯型のハイブリッド式発電機の設置となるが、発電量は大きくない。ただ自然エネルギーを利用するため、CO2が発生することは無いという大きな利点もある。
 縦型風車は、台風などの強風時には安全装置が作動し、自動的にストップする。騒音も発生しない。また緊急時には外部コンセントを使い、発電源として利用することも出来る。
 岡庭理事部長の話では、JAの環境対策として屋上緑化や雨水利用なども考えたという。しかし環境対応は「出来ることから」の考えで、地域住民や組合員の目にとまるもの、JAの環境対策として関心を持ってもらえるもの、という観点から「小型風力・太陽光ハイブリッド式発電機」の増設を決めた。この発電機を設置してからは、JA職員の環境意識にも変化がみられ、こまめに消灯したり、節電に努める姿が見られるようになったという。

(写真)
上から見たハイブリッド式発電機

 


◆デジタルサインボードの電源に活用


(上)玄関上のデジタルサインボード、 この発電機による高輝度LEDライトの街路灯使用は先行機と同じだが、目新しいのは街灯用LEDライトのそばに防犯灯が装備されていること、本店玄関上にデジタルサインボードが据え付けてあることだ。
 デジタルサインボードには、JAからのお知らせや配信ニュースが流されているが、その電力も発電機から供給されている。また発電機支柱下の外部コンセントを利用し、JA職員の電動自転車の充電に使うことも考えているという。

(写真)
(上)玄関上のデジタルサインボード、
(左)防犯・街路灯、(右)外部コンセント

 

◆事務・管理コストの削減図る


 同JA本店の印刷室には、理想科学工業(株)の高速低コストプリンター「ORPHIS   X7250」が導入されている。プリント速度は、カラープリントでも1分間で最高120枚のプリントが可能だ。
高速低コストプリンター「ORPHIS  X7250」 ダイレクトメールのプリントや、野菜即売会の折込チラシ、会議資料の作成などに活躍している。これにより大幅な省力化を実現し、事務管理コストの削減を実現した。
 ファーマーズセンターにも「ORPHIS」が導入されているが、そこでも月1万枚のプリントをこなしている。JAの業務全体では、大量の印刷物が発生するが、それの省力化・コスト削減を図ることも、環境対応の一つだ。
 同JAの総代会資料の表紙には、ISO14001(環境基準)の認証マークが掲載されている。全国のJAの中でも、早い時期での認証取得だったことが誇らしげでもある。
 ハイブリッド式発電機の問い合わせは、理想科学工業(株)市場開発部TEL03-5441-6683まで。

(写真)
高速低コストプリンター「ORPHIS  X7250」

(2010.10.07)