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平成23年度JA共済優績組合表彰特集

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【JA共済大賞に輝く3JAに聞く】JAの総合力発揮でくらしの保障に輝かしい実績

・JA横浜―協同組合精神を踏まえて全支店のレベルアップ図る
・JAあいち豊田―支店一丸の推進体制構築で4度目の快挙
・JA兵庫六甲―「支店」を重視した信頼づくりで地域に推進の輪を

 平成23年度のJA共済大賞の受賞3JAに共通していえるのは、組合員・利用者との信頼関係を重視した推進を第一としている点だろう。そのため、共済事業だけでなく、支店のあらゆる事業との「横の連携」がみられる。
 また担当職員の育成も独自の体制を敷くなどして重視している。こうした取り組みは共済事業だけでなく今後JAがめざすべき姿といえる。

JA横浜(神奈川県)JA横浜(神奈川県)

協同組合精神を踏まえて全支店のレベルアップ図る


JA横浜本店 石川久義組合長は受賞の要因を「組合員から信頼いただいたことが第1」と話す。
 信頼を築いたのは、職員たちによる組合員訪問の積み重ねだ。JA横浜は3Q訪問活動などを通し、地域密着を進めて来た。
 訪問といっても、共済の推進は1度や2度で契約に至るものではない。職員たちは日ごろから地道に訪問活動を積み重ねて信頼を積み上げて来た。
 そして組合員個々の生活スタイルなどをよく知った上で保障の提案をするといった提案型推進に取り組み、信頼関係の中で成果と結びつけた。
 「東日本大震災では、その翌日に全職員体制を取り、組合員宅全戸の安否や被害状況を確認した。こうした迅速な活動も信頼関係に大きく結びついていると思います」と吉野仁副組合長は語る。

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JA横浜本店


◆創立10周年での受賞

 横浜市は人口約368万人の大都市。そこを管内とするJA横浜は典型的な都市型JAだ。共済、信用事業に限らずJA事業の展開においては、厳しい競争は避けられない。その中で地域住民は「JA共済を選んでくれたわけです。それがJA共済大賞の受賞に繋がっており、この点でも受賞は大変な喜びです」と石川組合長は喜びを語る。
 JA横浜は平成15年4月に横浜北、横浜南、横浜中央、鶴見、保土ヶ谷の5JAが合併して誕生。今年は10周年記念の年にあたり、節目の年での受賞に「今年度の推進にも大きくはずみがついた」と喜びもひとしお。
 『絆を深めて10周年』を合い言葉に出足よく今年度の活動をスタートさせた。
都筑中川直売所 JA横浜の推進の特徴は、職員全体のレベルを上げる、底上げを図るという考え方を実行していること。「みなさまから信頼されるJA」「地域から必要とされるJA」「社会に誇れるJA」という3つの大きなスローガンを掲げ、常に職員に周知徹底し、行動規範としている。
 「協同組合運動の意識を持つことが大事。そうでないと成績主義や個人プレーに陥り、長続きしません。組合員のための推進活動に取り組んでいるとわかれば成績は後からついてきます」と石川組合長は力説する。

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都筑中川直売所


◆チームプレーの意識を徹底

 ライフアドバイザー(LA)は198人で、新契約実績占有率は93.4%。LAは本店からの個人別の目標設定ではなく、全48支店の目標を達成するという意識を共有し、協同組合精神をもって推進に取り組んでいる。
 これを各支店は「支店全体の目標と捉え、職員一人ひとりがモチベーションを高く持つことでチームワークの良さを活かし、実績に結び付けました」と池田正人常務は話す。
 全支店の目標達成に向けて、スタートダッシュとして「5・40運動」を実施して5月末に年間目標の40%達成を目指し、年度計画の総仕上げに向けた「9・80運動」では9月末に年間目標の80%達成を目指す運動も展開している。
 23年度は両運動に積極的に取り組み、9月22日に新契約の年度目標の2500億円を達成し、年度末には3354億円まで上積みした。
総合農協として組合員の生活をサポート
 23年度は保有純増にも力を入れ、純増目標の意識付けを支店長会議などで徹底。その結果、合併後初めて32億5000万円の純増となった。
かながわブランド横浜キャベツとみなとみらい地区 JA横浜は1兆5000億円弱の資金量を誇り、特に競合の激しい金融事業の成果は経営に大きく影響する、と石川組合長は話す。
 そこで金融事業の運営については、さらに組合員の信頼を得るためにも、ALM(資産・負債の総合管理)委員会におけるシナリオ設定やストレスチェック、リスク管理の重要性など経営管理機能を強化する必要性を強く認識している、とのことだ。
 最後に今後の事業展開について、「営農・経済・指導事業についてもバランスよく、安定的に取り組んでいくことが重要であると考えています。今後も総合農協としての機能を発揮して、多様化した組合員の生活をサポートし、期待に応え、地域に必要とされるJAを目指します。共済事業についても、組合員一人ひとりが安心して暮らせるように、生活に合った提案型推進に取組み、協同組合の輪を広めていきたいと思います」と石川組合長は決意を語っている。

     石川久義組合長    吉野仁副組合長     海沼正雄専務    池田正人常務

(写真)
上:かながわブランド横浜キャベツとみなとみらい地区
下:(左から)石川久義組合長、吉野仁副組合長、海沼正雄専務、池田正人常務

JAの概要
(平成23年度末)
●地帯:都市近郊
●組合員数:5万4896人(正1万1922人、准4万2974人)
●職員数:1532人(うち正職員1355人)
●推進形態:恒常推進(共済担当職員数343人、うち恒常総合外務職員198人)
●共済事業実績:○生命共済・建物更生共済保有契約高16万2872件/3兆1684億円○生命共済新契約高1万1305件(うち医療系共済4343件)/1122億円○建物更生共済新契約高5672件/2232億円○年金共済新契約高1906件/40億円(年金年額)○自動車共済新契約高2万7540件/11億9669万円○自賠責共済新契約高8127台/1億6821万円
●信用事業:貯金1兆3603億円/貸付金5830億円
●購買事業:40億円
●販売事業:27億円

 

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toku1205180109.gifJAあいち豊田(愛知県)

支店一丸の推進体制構築で4度目の快挙

 

◆地域にあった推進方法で

JAあいち豊田本店 JAあいち豊田は今回で4度目の大賞受賞という偉業を成し遂げた。
 柴田文志組合長は「各地域で必要とされる『ひと・いえ・くるま』の必要なニーズを掘り起こし、バランスよく推進した結果が大賞につながったと思います」と語る。
 同JAの管内面積は愛知県の5分の1を占め、平坦部と中山間部からなる。こういった土地条件の違いから、その地域にあった推進をしてきたことがよい結果につながったといえる。

(写真)
JAあいち豊田本店


◆チーム意識芽生える体制

 推進体制の特徴として挙げられるのは平成22年度から始めた「LAトレーナー制度」だ。LAトレーナーは現在6人。推進実績など優れたLAのなかから選定している。その下に12人のLAリーダーを置き、さらにその下には67人のLAがいる。
 トレーナーを置くことでLAを引っ張っていく”リーダー的存在”ができたと須賀伸人常務は話し、「LAを育てるトレーナーをとくにしっかりと指導していくことが重要です。組合員の立場に立って必要なものを共済仕組の中から提案していくことが基本だと強調して指導しています」と宇野幸伸専務はいう。トレーナー制度をはじめて「個人」から「チーム」で目標を達成しようという意識が生まれるようになった。
 また支店全体での推進体制も築き上げてきた。それが「共済クラブ員制度」だ。金融渉外や支店管理職などの職員を「共済クラブ員」、共済部職員や他部署の管理職を「共済準クラブ員」としてLAとの連携を図っている。柴田組合長はLAはもちろん、LAが動きやすい体制や仕組みづくりも大賞受賞の理由として評価している。
 昨年からは全職員による組合員宅の訪問活動を復活させた。5月から6月にかけて9日間地域を回り、組合員との絆づくりに努めている。
 「昔は一匹狼的なLAが多かったですが、支店とうまく連携し、チームとして目標を達成できるLAが増えてきました」と水野充人共済企画課長はいう。


◆支店と連携した取り組み

共済感謝の会2日目(2009年9月) 特に力を入れているのは自動車共済だ。その普及体制で強化しているのがLAと共済窓口担当者「スマイルサポーター」との連携だ。
 宇野専務は「LAによる3Q訪問活動などとあわせて、自動車共済の推進に向けたスマイルサポーターとの協力体制が実を結んだ」と振り返る。
 店舗に来店した顧客の待ち時間を活用した見積もりキャンペーンの積極的な実施や月1回のスマイルサポーター会議によってスマイルサポーターのレベルも上がっているという。

(写真)
共済感謝の会2日目(2009年9月)


◆次世代対策と新人教育

次世代対策 ニューパートナーづくりではグリーンセンターでの産直市や営農部門のイベントにLAが出向き、キャンペーンなどを実施して来店客に積極的な声掛けを行っている。「これはLA1年生にとってはお客さんと話す度胸がつきます」と清水宏明共済部長は話す。そこでアンケートに記入してくれた人には後日お礼の訪問をし、次のチャンスにつなげる工夫もしている。
 同JAは今年合併10周年を迎え、さまざまなイベントを計画している。とくに各地域ごとでのイベントに力を入れ、そこにもLAが積極的に参加して組合員や地域住民との交流を図っていく予定だ。


◆10年先を見据えたJA像

 今後は共済の推進だけでなく、地産地消や食育などと組み合わせて、地域の人たちに少しでもJAをイメージアップできるような取り組みを目指していきたいとする。AコープやSSなど幅広いJAの事業を強みに、横の連携強化を図りながらそれらの利用者をターゲットにしていきたい考えだ。
 「これからは加入してくれる人のためだけでなく、今契約してくれている人のためにもJA共済の輪を広げていかなければだめ。それが本来のJA共済が目指すところだと思います」と清水部長は語る。
 柴田組合長は「合併10周年を機に、1、2年後という目先だけでなく、10年先をイメージしたJAの全体像に各職場の職員が向かっていけるようなJAを目指していきたい」との決意だ。

         柴田文志組合長   宇野幸伸専務     須賀伸人常務

(写真・左から)
柴田文志組合長、宇野幸伸専務、須賀伸人常務

JAの概要
(平成23年度末)
●地帯:都市・中山間地混在地帯
●組合員数:3万4437人(正1万4819人、准1万9618人)
●職員数:1073人(うち正職員695人)
●推進形態:恒常推進(共済担当職員数118人、うち恒常専任外務職員63人)
●共済事業実績:○生命共済・建物更生共済保有契約高12万6427件/1兆5720億円○生命共済新契約高9205件(うち医療系共済4062件)/482億円○建物更生共済新契約高4734件/924億円○年金共済新契約高1318件/61億円(年金原資)○自動車共済新契約3万9695件/17億4197万円○自賠責共済新契約1万5533台/3億3284万円
●信用事業:貯金6310億円/貸付金1553億円
●購買事業:130億円
●販売事業:35億円

 

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JA兵庫六甲(兵庫県)JA兵庫六甲(兵庫県)

「支店」を重視した信頼づくりで地域に推進の輪を


◆組合員の「くらし」基本に

JA兵庫六甲本店 JA兵庫六甲は平成17年度に続き2度目の受賞。同JAは「人・感動・緑のまちづくり」を経営理念に掲げ、JA運動の推進者として社会に求められる人づくり、心の琴線にふれるような事業活動、自然と調和したまちづくりを目指した協同組合活動に職員が一丸となって取り組んできた。この理念をもとにした取り組みが共済事業の実績にもつながっている。
 北畑親昭組合長は「建更の保障点検活動を中心に医療共済、年金共済、自動車共済など共済事業全体をバランスよく推進してきた。それが組合員・利用者に理解いただけた結果だと思います」と述べる。
 立花政弘副組合長は今回の受賞を「『くらしの相談員』による長年の地道な努力の結果」と評価する。「くらしの相談員」とは同JAの推進担当者のこと。相談員は管内55支店に218人いる。1人あたりおよそ200戸を担当し、共済推進だけでなく、JAの「総合渉外」として信用、営農、くらしの活動への呼びかけ、介護の相談など、組合員のくらし全般に関わる用件を聞いて回る。そこで得た情報は各担当部署の職員につなぐ、まさに組合員・利用者の声の橋渡しを担っている。
 組合員のくらしを活動のベースとするのは県下でも農業生産量が多いという地域特性から。組合員の生活にもっとも必要な農業面の支援を重視した総合的な渉外活動を基本に据えている。

(写真)
JA兵庫六甲本店


◆若い世代との関係づくり

 直売所に設置されている総合相談窓口「めぐみひろば」 次世代対策で特に力を入れているのは「こども共済」。23年度には子育て世代を対象に出産・子育てを応援する「JA兵庫六甲こどもくらぶ」を発足した。年度末の会員数は900人にのぼり、2年目となる今年度も地域でしっかり推進し、若い世代にJAをアピールするきっかけにしたいと考えている。
 今年2月には直売所「六甲のめぐみ」に信用・共済事業の相談窓口「めぐみひろば」を設置して、地域住民との関係づくりに取り組んでいる。

(写真)
直売所に設置されている総合相談窓口「めぐみひろば」


◆支店中心の活動を重視

支店中心の活動を重視 「大きくなっても身近なJA」をモットーとする同JAの体制は、本店の各事業部、3ブロックからなる地域事業本部、そして支店の3段階が基本。しかし合併後も組合員の活動拠点は支店であることから、ふれあいまつりや組織活動は基本的に支店単位で行っている。
 生活文化事業部の高塚登志代ゼネラルマネージャーは「これからは支店を中心に活動していくことがJA本来の姿だと思います」と語る。


◆人材育成の環境づくり

ファーマーズマーケット くらしの相談員の育成を担うのは各支店のリーダー(いわゆる課長職)で、4〜5人の相談員を指導する。一方、研修会やFST(フィールドセールストレーニング)は本店にいる12人のLAトレーナーが担当している。LAトレーナーはかつて現場で実績を上げた優秀な相談員。専任の講師ではなく、内部のトレーナーを指導員にあてることで相談員の近い目標となり、モチベーションの向上につながっているという。
 また階層別に学べる場としてJA全中が主催するトップ層向け「経営マスターコース」、25〜35歳の職員を対象とした県中央会主催の「みどり塾」のほか、JAとして独自に「創経塾」を開いている。「創経塾」の参加者からリーダーやマネージャーとして活躍する職員も生まれ、人材育成に役立っている。


◆5カ年計画の初年度として

 今年度は5カ年計画の初年度として「大地のめぐみ、豊かなくらし、夢ある地域。私のJAから」をビジョンとして掲げている。北畑組合長は「地域に根ざした活動を通じて組合員や地域住民にもう一度JAへの認識を新たにしてもらえる取り組みにしていきたい」と抱負を語る。

  北畑親昭組合長    立花政弘副組合長    吉田康弘専務    大内山典武常務

(写真・左から)北畑親昭組合長、立花政弘副組合長、吉田康弘専務、大内山典武常務

JAの概要
(平成23年度末)
●地帯:都市近郊地帯
●組合員数:8万8098人(正3万559人、准5万7539人)
●職員数:1222人(うち正職員1132人)
●推進形態恒常推進(共済担当職員数154人、総合外務員218人)
●共済事業実績:○生命共済・建物更生共済保有契約高14万1537件/2兆1326億円○生命共済新契約高1万1493件(うち医療系共済3524件/555億円○建物更生共済新契約高6954件/1276億円○年金共済新契約高2095件/107億円(年金原資)○自動車共済新契約3万1703件/13億6603万円○自賠責共済新契約8063台/1億6746万円
●信用事業:貯金1兆1048億円/貸付金4214億円
●購買事業:48億円
●販売事業:147億円

(2012.05.18)