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農業倉庫火災盗難予防月間スタート(24年11月15日〜25年1月31日)

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【農業倉庫火災盗難予防月間】米麦保管管理の基本は人 基本作業を日々繰返し、品質を維持する  現地ルポ・JA菊池七城中央支店(熊本県)

・西日本有数の米産地・熊本県
・県内の全農業倉庫CEを総点検
・菊池川流域は江戸時代からの良質米産地
・食味ランキングで特Aの「七城のこめ」
・倉庫管理のポイントは穀温管理と出庫後の清掃

 農業倉庫はカントリーエレベーターとともに、米麦の販売・流通の拠点施設だ。現在の日本社会では、米麦についても安全・安心は当たり前のこととされ、農業倉庫における「保管履歴」の開示は当然のこととされている。そのため農業倉庫においても細心の品質管理がなされなければ、産地として消費者・実需者から選ばれない時代だといえる。
 11月15日から始まった「農業倉庫火災盗難予防月間」(25年1月31日まで)運動は、火災盗難予防だけではなく、各JAの自主保管体制を再点検し、よりいっそうの充実強化をはかることを目的に実施される。
 今回は、九州では福岡県に次ぐ米の産地である熊本県のJA菊池の七城中央支所管内の低温倉庫に取材した。

美味しい米を消費者の食卓に届けるために


◆西日本有数の米産地・熊本県

倉庫の前に広がる水田 北海道・東北、北陸、そして茨城・栃木・千葉など関東の米産地になじんでいる東日本の人たちにはなじみが薄いかもしれないが、九州の熊本県は、西日本では兵庫県、福岡県につぐ米の作付面積があり(23年産米3万7900ha)、気象条件などで変わるが、毎年ほぼ20万トンの収穫量がある。
 主食用の銘柄は、5割強がヒノヒカリで、次いでコシヒカリ、そして県推奨米・森のくまさんなどとなっている。
 「県内消費者の9割以上が県産米を購入している」(岩永祐治JA熊本経済連米穀農産部長)という県内需要を中心に販売しているが、平成23年は「東電福島第一原発事故による放射能汚染米の風評による西日本産米への需要が高まり、22年産米を上回る収穫前契約の申し込みが殺到するとともに、今まで取引きのなかった県外卸からの打診が相次ぎ、業者の庭先集荷の活発化と農家保有米の増加で、JA集荷量が減少する傾向になった」と中野敬悟JA熊本経済連米穀農産部米穀課長。
 24年産米については、そうした動きも沈静化しており「例年通りの動き」となると考えられているが、阿蘇地域での豪雨による冠水や長梅雨の影響などで作況は県平均で97となっており、生産量は23年産米よりやや減少する見込みだという。

(写真)
倉庫の前に広がる水田


◆県内の全農業倉庫CEを総点検

菊池の米は江戸時代から「天下第一の米」と称されている 九州の米どころでもある熊本県には、138の農業倉庫と25基のカントリーエレベーターがある。農業倉庫のうち低温倉庫が39、準低温倉庫が29となっている。
 米麦の「保管管理の基本は人」(馬場元治JA熊本経済連米穀農産部農産課長)であるとの考えから、毎年2〜3月に県内JAを集め保管管理の研修会を行うとともに、農倉基金などが実施する各種の研修会にJAの担当者が参加している。「基本的なことをきちんと知っていれば、万が一事故が起きたときに、事故を拡大しなくてすむ」から、基本を学ぶために研修を行う。そして何より「1回トラブルが発生すれば解決するのに時間がかかる」ので、「穀温管理など基本的作業を日々繰り返すことで、事故は防げる」ということをきちんと理解し実行してもらうことが大事だと馬場課長は強調する。
 JA熊本経済連では、24年の3月から4月にかけては、県内農業倉庫などの施設すべてを点検し、問題がある施設については改善要請をしたという。しかし、これらの施設は建設されてから30年以上経っているものが多く老朽化が進んでいること。経験を積んだJAの担当者が少なくなってきているなど、当面の対策だけでは対応しきれなくなってきている問題も多いことから、経済連として「連合倉庫を建設する」ことを具体的に検討しているという。

(写真)
菊池の米は江戸時代から「天下第一の米」と称されている


◆菊池川流域は江戸時代からの良質米産地

 九州の米どころ熊本県のなかでも「城北」といわれる北東部は良質米産地として知られている。
 この地域の東部と北部は阿蘇外輪山系を有する中山間地、西部と南部は菊池川・白川流域に広がる台地・平野部と、自然豊かな地域だ。
 この地域の米は、江戸時代に大阪の堂島で肥後藩の蔵米として取引きされており、菊池米は「天下第一の米」と称され、将軍の御供米にも用いられていたという。
 そして現在もその伝統を受け継ぎ、JA管内では主力品種銘柄であるヒノヒカリを中心に、食味豊かで安全性の高い米づくりに取組んでいると、冨田浩敬JA菊池営農部農産課長。そしてJA菊池の安心品質の農畜産物統一ブランドである「きくちのまんま」菊池米として販売されている。

冨田JA菊池農産課長、山下七城中央支所営農生活課長、永松さん、河野JA菊池農産課農産係長(左から)

(写真)
冨田JA菊池農産課長、山下七城中央支所営農生活課長、永松さん、河野JA菊池農産課農産係長(左から)


◆食味ランキングで特Aの「七城のこめ」

 今回取材に訪れたJA菊池七城中央支所管内(菊池市七城町)は、その菊池米の本場で、ここで生産されるヒノヒカリは、平成20年産米から4年連続、通算6回日本穀物検定協会の食味ランキングで最高位の「特A」の評価を得ており(24年産米は11月20日現在未発表)、「七城のこめ」として販売されている。また、菊池川の対岸に位置するJA鹿本の森のくまさんも22年産米から「特A」の評価を得ている。
24年産米初検査のヒノヒカリは全量1等米。新米を入念に検査する農産物検査員(JA菊池HP) 七城中央支所管内の米作付け面積は500ha弱、生産者は380名で、主食用として作付けされているのはすべてヒノヒカリで、毎年6月20日ころから田植えして10月初旬に収穫する。
 この食味ランキングで最高の特A評価を得ている「七城のこめ」は、熊本県の慣行栽培より化学肥料・農薬を50%以上減らしたエコファーマー・特別栽培米として生産・販売されている。

(写真)
24年産米初検査のヒノヒカリは全量1等米。新米を入念に検査する農産物検査員(JA菊池HP)


◆倉庫管理のポイントは穀温管理と出庫後の清掃

 この地域の米を保管する農業倉庫は、ライスセンターに隣接し、メロンやナシなどの選果場と倉庫下屋の屋根が接するように建てられており、一見農業倉庫とは見えない造りになっているのが珍しい。
 倉庫はフレコン用と米袋用に分けられておりいずれも低温倉庫となっている。
 いずれの倉庫も30年以上経っており、保管管理には苦労しているとのことだが、七城中央支所で農業倉庫を管理している山下久雄課長は、農業倉庫管理でもっともポイントをおいているのは「温度・湿度そして穀温管理」だという。
 そして実際に農業倉庫を担当している永松弘樹さんは「農家保有米もあるので毎日農業倉庫に行く、その際、品質管理を含め、火災盗難についても確認している」。火災盗難予防については、警備会社とも契約しているが、隣接して選果場もあり心強い。
 フォークリフトの作業においては、安全面から排気ガス排出用の大型換気扇を設置するなど工夫されている。また、作業中に汚れたりするおそれもあることから「必ず電気掃除機(自走式)などを使って清掃する」ことにしているという。
 出庫する米そのものには問題がなくても、フレコンや米袋がちょっと汚れているだけでクレーム対象になり、場合によってはその出庫ロットすべてが返品されてくることがあるからだ。
 こうした人には見えないかもしれない地道な努力によって、生産者が苦労して栽培してきた米の品質を守っているといえる。そしてこれからも「きくちのまんま」のおいしい米が、熊本県民を中心とした消費者の食卓で輝きを増していくのではないだろうか。

 


万全な火災盗難予防を
JA全農米穀部

農業倉庫火災盗難予防月間ポスター 財団法人農業倉庫受寄物損害補償基金(農倉基金)に登録されている全国の農業倉庫は、約6400棟が設置され、収容力約600万トン(平成24年9月現在)を有しています。農業倉庫は集荷・販売の拠点、そして、国内産食糧の保管・供給という生産者と実需者を結びつける大きな役割を担い、まさにJAグループ米穀事業の物流中核拠点と言えます。
 政府米の保管をめぐる環境としては、平成15年に国の保管管理要領が廃止されて9年が経過し、平成21年度からは国との寄託契約は直接契約となり、契約内容に湿度管理の基準が追加されました。また、政府米保管倉庫は指定制から公募制となり、今まで以上に農業倉庫業者であるJAの役割や責任が大きくなっています。
 また、近年における実需者や消費者の食の安全・安心に係る関心は一層強くなり、信頼確保のため保管米麦の品質管理の徹底が求められています。
 本会では、農倉基金とともに全国4会場で農業倉庫保管管理技術研修会を開催(11〜12月)し、保管管理担当者の技術向上を図るとともに、火災や盗難が多発する冬季に防災・防犯管理の強化・徹底を目的として「農業倉庫火災盗難予防月間」(11月15日〜翌年1月31日)を設定し、全国一斉運動を展開しています。
 近年、JAの合理化の一環として倉庫担当者の兼務業務の増加等により、現場の体制が手薄になる可能性があります。
 この時期は、検査・入庫が進み、倉庫の保管数量は年間で最も多く、また、火災の発生しやすい時期であり、万が一、火災事故が発生すると甚大な被害となる可能性があります。
 近年、倉庫において保管している農作物の盗難事故が多発しており、米穀についても流通の多様化により換金が容易となっていることから、盗難の対象として普段は無人の農業倉庫が狙われる恐れがあります。
 一方で、農業倉庫だけではなく、カントリーエレベーターやライスセンターについても、機械の故障や清掃不足・不適切な人員配置等による火災事故が起きる事例が最近多発しています。
 さらに、カントリーエレベーター・ライスセンターの灯油タンクから灯油を大量に抜き取る盗難事故も発生しており、合わせて十分な対策が必要です。
 農業倉庫関係者の皆様におかれましては、研修会・会議および巡回指導等を通じて防災・防犯意識の高揚を図っていただくとともに、改めて緊急時の連絡体制の確認と施設・設備の点検整備を行っていただき、あらゆる事故の発生防止に向けて保管管理に万全を期していただきますようお願いします。

 

農業倉庫火災盗難予防月間にあたって
久寝正則理事長(財)農業倉庫受寄物損害補償基金 理事長 久寝 正則

 日頃から米麦の適正な保管管理について、ご努力をいただいていることに感謝申し上げます。
 農業倉庫における火災盗難事故は皆様の努力のおかげで最近は少なくなっていますが、一方でカントリーエレベーターやライスセンターでの火災が多くなっています。カントリーエレベーターもライスセンターも乾燥作業には火を使っていますので、必然的に火災発生のリスクはありますが、担当者が機械の自動運転任せにしていたために気付くのが遅れたというケースも見られます。担当者の心掛け次第で火災事故を減らすことも可能なのではないかと思われます。また、近年ではカントリーエレベーターの地下タンクから灯油が盗まれる事件も発生していますので、灯油の管理にも十分留意する必要があります。
 さて、今年も火災および盗難事故を未然に防ぐとともに品質管理に万全を期すために、全農と連携して「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、防災防犯の徹底と併せ適切な保管管理を図る運動を展開してまいります。
 農業倉庫における火災事故の発生は少なくなっているとはいえ、不審火・放火の心配もありますので、倉庫周辺には燃えやすいものを放置しないこと、また不在時は倉庫や事務所敷地出入口は必ず施錠することなどの対策が必要です。また、ライスセンターやカントリーエレベーターでの火災事故を防ぐためには、特にバーナーなど機械設備の日ごろからの点検・整備が不可欠です。
 このような農業倉庫等の火災盗難事故を未然に防止し、保管管理に万全を期すために、この月間において、JA役職員の行動基準など防災体制を確立したうえで、農業倉庫等における火災および盗難事故防止に重点においた取組みが必要です。さらには毎日の倉庫見回りを徹底し、保管米の品質管理に万全の注意を払うとともに、害虫・ネズミ被害にも注意する必要があります。
 このような取り組みは、皆さんが日常的に実施されていることとは思いますが、改めて予防月間において実施すべき事項を確認し、保管管理に万全を期していただきたいと思います。

 

平成24年度 農業倉庫火災盗難予防月間の取り組みについて
―月間のすすめ方―

趣 旨

 冬期にかけては農業倉庫の火災・盗難の多発期を迎える。最近では農業倉庫での火災事故の発生は少なくなってはいるものの、CEやRCでの火災事故は毎年のように発生している。
全国での火災事故全体における出火原因の第1位は放火・放火疑いでその割合は約2割を占めており、農業倉庫においても倉庫周辺に仮置きした木製パレットやその他の可燃物に火をつけられるなど、不審火によるものも時々見られる。
 新米の入庫以降、農業倉庫の南京錠や通用口、シャッターの鍵などを壊しての盗難事故のほかに、最近ではCEやRCの灯油タンクから灯油を大量に抜き取るという盗難事故も発生している。
 ついては、防災・防犯管理の強化・徹底を目的として「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、関係機関の協力を得てJAグループが一体となって全国一斉に運動を展開する。
 農業倉庫業者は、日々適切な保管管理を励行する必要があるが、特にこの月間においては防災意識の高揚を図るとともに、農業倉庫における火災および盗難事故防止に重点を置いた倉庫見回り、施設・設備の整備・点検等を行ない、保管管理に万全を期するものとする。

 

期 間

 平成24年11月15日から平成25年1月31日までとする。


実行項目

 農業倉庫業者は「自主保管マニュアル」、および「消防法令」、ならびに別添「農業倉庫火災盗難事故防止対策」に定める火災盗難予防に関する事項の確認・点検を行ない、必要な対策の実施に努める。

 

火災盗難予防運動の推進方法

(1)JA全農・農業倉庫基金
 必要に応じて関係各機関の協力を得て、次の予防運動を推進する。
ア.全国農業協同組合連合会と財団法人農業倉庫受寄物損害補償基金は、JAおよび県本部・県農協・県連(以下、県本部等)の農業倉庫担当者を対象に研修会を開催し、趣旨の徹底と意識の高揚をはかる。
イ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを全国の農業倉庫に配布するほか、「農業倉庫・かんとりーえれべーたーと防災」誌、新聞等を活用して趣旨の周知徹底をはかる。
(2)県本部等
 必要に応じて関係機関の協力を得て、次の予防運動を推進する。
ア.JAの農業倉庫及び米穀担当者を対象にした会議等においては、火災盗難予防について趣旨徹底を図り、防火・防犯意識の高揚をはかる。
イ.巡回指導班を組織して農業倉庫の巡回を行ない、火災盗難予防設備および消火設備の点検・整備の指導に努める。
ウ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、関係者の意識の高揚をはかる。
エ.県本部等の機関紙・地方新聞等を活用して火災盗難予防運動の趣旨の徹底に努める。
(3)JA
必要に応じて関係機関の協力を得て、次の予防運動の実施に努める。
ア.農業倉庫における米麦保管の重要性を再認識し、役職員の意識・責任感の高揚をはかる。併せて、本庫だけでなく、特に支庫の見回りを行い、防火・防犯の徹底をはかる。
イ.農業倉庫等の火災盗難予防設備および消防用設備等の一斉点検を行なう。
ウ.事務所、農業倉庫、共乾施設等に「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、役職員や関係者に注意喚起を行なう。
エ.この期間中、消防・警察関係の協力を得て、防火・防犯についての指導を受けるとともに、消防訓練等を実施する。
オ.有線放送・ケーブルTV等を利用し、あるいはチラシを配布して、組合員および付近住民に火災発生時における緊急連絡の協力を要請する。


農業倉庫火災盗難事故防止対策

 農業倉庫における火災盗難事故を未然に防止し、保管管理の万全を期すため、次の事項を実施する。


防災体制の確立

1.農業倉庫の防災体制を確立するとともに、災害時における役職員の行動規準を定める。
(1)事故発生時における通報を敏速に行なうため、非常時連絡先表を掲げるなどの連絡体制を整備しておく。
なお、火災事故発生時における初期消火に役立つよう、消火器取扱方法の徹底など平素の訓練に努める。
(2)農業倉庫の総括責任者、上級責任者、現場保管管理責任者および火元取締責任者を定め、各倉庫戸前にその氏名を掲示する。
当該責任者は相互の連絡を密にして事故防止対策の徹底をはかる。
(3) 農業倉庫の鍵の保管責任者を明確にするとともに、保管場所を特定し、厳格に管理する。
(4)警備規程を策定し、これにもとづき庫外・庫内の巡回を行なう。
(5)本庫のみならず、支庫についても、宿直等にかわる常時監視体制の点検・整備を行なう。
(第三者に本庫・支庫の警備を委託する場合も含む。)
2.消防署・警察署の協力を得て、防火・防犯の指導を受ける。

 

施設の点検と整備

火災防火

(1)建物
ア.農業倉庫周辺の建築物の構造・配置を防火上の見地から見直し、改善に努める。
イ.下屋の一部を事務所に利用する時は、火気取扱責任者を定め責任を明確にする。
ウ.ガソリン、灯油、LPガス等の燃料は、必ず所定の危険物貯蔵庫に格納するものとし、農業倉庫には保管しないよう関係者に徹底をはかる。
エ.農業倉庫構内の要所に火気使用禁止および禁煙の標識を掲示し、指定場所以外での火気の使用を禁止する。また、構内は禁煙とし、喫煙場所を設定する場合は、休憩所に水を張った吸殻入れを備え、特定する。
オ.農業倉庫内外の見回りを励行し、庫外の枯れ草・塵芥の吹きだまりは、必ず除去するなど、清掃に努める。また、倉庫周辺には木製パレットなど可燃物を置かない。
(2)電気設備
ア.電気の配線および警報器・電灯等の電気設備について、財団法人 電気保安協会等による絶縁抵抗試験 (1年に1回) を受け、電気火災の発生を防止する。
イ.農業倉庫内には原則として裸電球を設置しない。やむを得ず設置する場合においては必ずグローブを使用する。
ウ.断熱構造の低温倉庫等における天井の照明灯は吊下式とし、断熱材から隔離する。
(3)暖房設備
農業倉庫構内の建物において使用するストーブは、日本工業規格に合格した自動消火装置(耐震自動消火装置、ガスは立ち消え安全装置)付きのものとする。また、ストーブの下敷きには不燃性の資材を使用する。
(4)消火設備
ア.「簡易消火器具の農業倉庫設備における最低基準(別表)」にもとづき、消火器を設置する。なお、消火器は「国家検定合格品」を使用する。
イ.消火器の備え付け場所を明示する。
ウ.消火器の点検は、6ヶ月に一回以上行う。[消防庁告示第9号平16・5・31]
点検を行った結果を維持台帳に記録するとともに、3年に1回消防署長に報告しなければならない。[消防法17条3の3、消防法施行規則第31条の6]
エ.消火器の使用方法等に関する担当者の訓練を実施する。
オ.消火器の規格・点検内容が平成23年1月に改正され、旧型消火器の使用は平成33年12月末が期限とされたので、順次改正後の規格の消火器に交換する。
また、消火器の点検基準についても、蓄圧式消火器の内部及び機能点検開始時期を製造後3年から5年に改め(加圧式は従来通り製造後3年)、製造後10年を経過した消火器の耐圧性能点検が義務づけられたので、基準に沿って点検を実施する。[平22年総務省令第111号、平22年消防庁告示24号]
(5)危険通知
ア.ウレタン系、スチレン系など可燃性断熱材を使用した倉庫では、爆燃現象を引き起こす危険があるので、倉庫出入口に「可燃性断熱材使用」の旨を大書きで表示する。
イ.火災発生の際は、倉庫の出入口、天窓、地窓を密閉し初期消火に努めるとともに、速やかに関係機関に通報する。


盗難防止

(1)構内への侵入を防ぐため、周囲に塀を巡らす等により無用の者の出入りを排除する。
(2)入出庫作業にともなう下屋・検査場所等における米麦の仮置きは、極力短時間に留める。
事情により、仮置きが翌日以降にわたる時は、厳重な警戒体制をとるものとする。
(3)本庫の戸は可能な限り二重戸とする。
扉の外側は鉄製または木製亜鉛板張りとし、難燃性の断熱材を使用する。
(4)錠前は可能な限り複数とりつけるものとし、うち一つは盗難予防効果の高い「隠し錠」または「落し錠」を使用する。
(5)施錠の確認は、確実に実施する。
(6)盗難の集団化に対処し、防犯ベルを設置する。
また、防犯ベルの作動状況を随時検査し、外部配線の露出部分を被覆する等により防犯設備の機能強化を図る。
(7)農業倉庫構内の要所に、外灯を設置する。
(8)休日、深夜における農業倉庫の監視体制を点検・整備する。
とくにJA事務所から離れた支庫については、周到な防犯設備を装備するとともに、在庫品の早期出庫または本庫への集約化をはかる。
(9)保管台帳、荷渡指図書等を常に在庫品と照合する。在庫品の数量確認に当たっては、必ず上級責任者も立ち合うものとする。
なお、米トレーサビリティ法により、米穀等の入出荷の記録を作成・保存(原則3年間)することが義務付けられている。
(10)盗難事故発生の報告を受けた県本部等は、関係機関へ速やかに連絡するとともに、近隣のJAに通報し警戒を促す。


農業倉庫保管管理技術研修会


 保管管理技術の向上をめざして全国4会場で開催

 JA全農と農業倉庫基金は、毎年JAおよび県本部・県連などの農業倉庫担当者を対象に、保管管理体制の強化ならびに保管管理技術の向上をはかるために「農業倉庫保管管理技術研修会」研修会を開催しており、今年も次の4会場で開催されている。
 なお2日間の研修後、受講者には修了証を交付している。
○東日本1(北海道・東北)11月29〜30日仙台市
○東日本2(関東・甲信越)11月8〜9日新潟市
○中日本(東海・北陸・近畿・中国・四国)11月15〜16日大阪市
○西日本(九州)12月6〜7日福岡市
研修内容はのとおり。

研修内容

(2012.12.03)