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2016.10.31 
都市農協のあり方討議 「ありがとう」いわれるJAに 新世紀JA研究会セミナー一覧へ

 全国のJAの常勤役員らの相互研鑽と情報交換を目的とする新世紀JA研究会(代表=八木岡努・JA水戸組合長)は10月27、28日、東京都JA東京むさしで第21回セミナーを開いた。JA自己改革の推進と都市型JAの役割をテーマに、「ありがとうといわれるJA」づくりに努めているJA東京むさしの報告などをもとに意見交換した。併せてセミナーでは大会アピールを採択し、TPPの情報開示、都市農業振興策などを決議した。約160人が参加した。

都市農協のあり方を探ったセミナー セミナーでは、JA東京中央会のJA改革の取り組みについて同中央会井上和美常務が今年4月に発足した改革推進本部について説明。JA、連合会、中央会から合計19名の人員を出し、「付加価値化」「学校対策」「農地活用」「総務」の4チームを設けて事業に取り組む。各組織から横断的に人を集めたところに特徴があり、担い手サポート協議会の事務局を務めるとともに、来春、東京・新宿にオープンする「JA東京アグリサポート」の運営企画にあたる。
 次いで開催地のJA東京むさし・田中信明組合長が基調報告。同JAは東京近郊の住宅地にあり、農家戸数は約1000戸で、正組合員約3200人に対して准組合員2万4000人の典型的な都市型JAだ。その中にあって、農業振興と資産管理をJA運営の基本に据え、農業所得の向上に努めている。
 直売所や加工品の開発、農業体験や学校給食・地産地消の普及、農地の保全などさまざまな活動を展開。営農販売関係部門で全職員の22.7%、120人の職員を配置している。同組合長は「総合事業をやっているからこうした取り組みができる。JAは総合事業で生きるのだという覚悟をもち、それぞれの農協が、それぞれの地域で、『あって当たり前』の存在になるようにしたい」と話した。
 講演は5つ。JAグループの都市農業振興基本法への対応でJA全中都市農業対策推進室の高塚明宏氏が市街化区域内の体験型農園に触れ、「JA・農家のみならず、今後、日本の社会にとっても重要な要素を持っており、第2の直売所に発展する可能性もある」と指摘した。
 有限責任監査法人トーマツのJA支援室・井上雅彦室長はJA監査法人への移行について話し、監査はJAの事務処理統制の全てを確認するものではなく、みるところはきまっているのでキーコントロールを絞りこむ必要があるとし、「経験者とコミュニケーションしてそれを早く特定し、準備しておく必要がある」と指摘した。
 同じく監査問題で、JA横浜の波多野優常務が公認会計士監査導入に備えた内部統制について報告した。同JAは公認会計士監査に備えて徹底した内部統制整備を進めている。その実績をもとに同常務は、「JAは横のつながりは皆無に近い。全国連の方向性が見えないなか、全国のJAが協力し合ってJA改革に立ち向かいたい」と、JA間の情報交換の必要性を強調した。
 またJA全農の吉永正信専務は、規制改革会議での議論と全農の対応で、(1)協同組合原点に立ち返り、生産者の立場に立って生産資材メーカー、流通業者らに対して影響力を行使する。従って株式会社化の立場はとらない、(2)生産者・JAには全農に結集してもらい、メリット拡大に全力を挙げる、(3)それを実践するためJAグループの機能を見直し、重点施策へヒト・モノ・カネを投入するーの3つの基本姿勢を強調した。
 東京都小平市の学習体験型農園「みのり村」村長の粕谷英雄氏は、「農業を通じて地域コミュニティづくりに挑戦したい」という思いと農園運営について話した。利用者はビニールハウスのなかに黒板や机を並べた「教室」で勉強するなど、ユニークな運営が人気で、JAや行政も後押ししている。

◆TPPは慎重審議を

 セミナーはこれらの基調報告・講演をもとに大会アピールを採択。
 (1)TPPに関する情報開示要請と慎重審議の徹底、(2)農業生産資材の価格引き下げ、(3)都市農業振興基本法の制定に伴う都市農業の振興、(4) 中山間地農業の振興、(5)新総合JAビジョンの確立と力強いJA運動の展開、(6)JA全中の発信力の強化、(7)教育活動、ネットワークづくりの強化、(8)東日本・熊本・鳥取大震災への対応、(9)貯金保険制度の掛金凍結-の9項目を決議した。このアピール実現のため、新世紀JA研究会は近く農水省やJA全国組織、農林中金等へ要請活動を行う。
(写真)都市農協のあり方を探ったセミナー

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