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2017.06.16 
協同の力で地域を元気に JA伊勢で新世紀JA研究会セミナー一覧へ

・総合JAの価値を確認
・信用事業譲渡の是非で議論

 新世紀JA研究会(代表=八木岡努・JA水戸組合長)は6月15、16日、三重県のJA伊勢で第22回セミナーを開いた。セミナーのテーマは「協同の力で築く“多彩な農業〟と“元気な地域”で、JA事業や改革への取り組みなどについて意見交換した。セミナーでは奥野長衛・JA全中会長、鈴木英敬・三重県知事も参加し、それぞれJA改革の取り組み、県行政におけるJAの役割などで講演した。全国からJA組合長ら約140人が参加し、活発な討議を行なった。

 セミナーでは、八木岡代表が、これまでの新世紀JA研究会の取り組みを報告。このなかで、昨年10月から毎月1回開いている「総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナー」に触れ、「セミナーはやりっ放しではなく、着実な実践によって人・組織・地域づくりにつなげたい」と、セミナーの意義を強調した。同研究会では「危機突破・課題別セミナー」をまとめ、今年7月に「報告・提言集」として冊子を発行する。
 開催地のJA伊勢・加藤宏組合長は、高齢化・人口減少によって地方の活力が失われていくなかで、相互扶助組織であるJAの役割を強調。JAは総合事業を生かして地方を元気にする役目を担っているとして、「このことをもっと広く、国民に知ってもらう必要がある」と述べた。
 JA伊勢は、平成29年に営農自己改革推進室を設け、人づくり・土づくり・ものづくり・販路づくり・支援体制づくり・共感者づくりの「6づくり」の方針を掲げて営農・経済事業に取り組んでおり、その基本に「地域の皆さまとともにJA伊勢はいつも一所懸命です」の理念を据える。同JAの西村隆行常務は、「皆さまの"ために〟では一方通行、請負型の姿勢になる。また地域(所)を守る・大切にするという意味で"一所〟とした。これを全ての事業所で斉唱するようにしている」と説明した。
 地域の農業におけるJAの役割については鈴木三重県知事も強調。「JAがないと地域の農業、県の行政は回らない。行政にとって最大のパートナーだ。そのことにJAは誇りも持っている。だが、県行政と同じように、影響が大きい。それだけに、改善に向けて常に変わり続けなければならない」と、JAへ期待するとともに、改革を促した。
 また、「組合員とともに自己改革」で講演した奥野会長は、JA改革についての考えを示すとともに、新世紀JA研究会の活動にエールを送った。「新しいJAのあり方を研究する集団が必要。こうした動きがないと、新しい協同組合の世界は開けない。JA改革についてみんな迷っており、情報を求めている。全中会長としても有り難いと思っている」と期待する。
 
◆代理店化は慎重に

JA改革、特に信用事業の代理店化で意見交換したセミナー 「農協改革」については、農水省経済局協同組織課経営・組織対策室の清水浩太郎室長が情勢と今後の方向について話した。この中でJAの信用事業は、①主な収益源のうち、貸出金利息の割合が全体の38%と、信用金庫(69%)と比べて低く、奨励金を含む農林中金を中心とした上部団体からの預け金利息の割合が大きい、②国内での運用難から国内投資家が海外投資を増加させた結果、農林中金の外貨調達コストが増加傾向にある、③バーゼル規制の対応も踏まえると、農林中金の収益が悪化し、これまでのような(JAへの)還元水準は維持できない恐れがある、と指摘。
 現に全国の約3割、196JAで信用事業収益が3年連続減少し、JAの信用事業収益は急速に悪化しているとして、信用事業譲渡・支店化を促す。ただ同室長は「事業譲渡は強制ではない。あくまで選択肢の一つ。JAの置かれたそれぞれ地域の条件、経営の状況に応じて判断してほしい。そのための情報は提供する」と、JAの自主的判断を求めた。
 同じくJA全中の太田実常務がJAグループの対応で代理店方式の課題として、①信用事業の本部機能(本店金融部)の削減効果はあるが、農林中金・信連で機能・体制の強化が必要になるため、JAの営農指導事業体制強化は限定的、②営農経済事業への投資、地域のくらし活動への拠出を行なうためには、信連・農林中金からの資金調達が必要(借入金利息も発生)となる、などを挙げ、政府が代理店化の目的としている営農・経済事業への経営資本投入は期待できないと指摘した。
 その上で、JAバンク(農林中金)として、合併を含めたJAの組織再編の推進、および代理店化のスキームを早急に示し、29年度上期中に代理店化の手数料水準を提示することなどを明らかにした。また、新世紀JA研究会企画部会の小委員会で検討した信用事業譲渡・代理店化についてまとめた「提言」について、宮永均・JAはだの専務が報告。「想定される手数料水準では経営を維持できない。代理店は経営を左右するので、安易に踏み込むわけにはいかない」として、連合会・JAの役割を含め、「信用事業をどうするのか、JAグループ全体で考えるべきだ」と、早急な検討を促した。
 最後に農業競争力強化支援法への対応、JA全農改革、JA信用事業譲渡・代理店化等への対応についで、大会アピールを採択した。セミナーではこのほか、JA伊勢の前田政吉常務がJAの自己改革、JC総研の勝叉博三専務が協同組合間提携について話した。なお、次回の23回セミナーは今年の11月、宮城県JAみどりので開く。

加藤宏・JA伊勢組合長清水浩太郎・農水省経営組織対策室長鈴木英敬・三重県知事

(写真)JA改革、特に信用事業の代理店化で意見交換したセミナー、加藤宏・JA伊勢組合長、清水浩太郎・農水省経営組織対策室長、鈴木英敬・三重県知事

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