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2019.07.23 
准組合員の役割を提言 「農業振興クラブ」に組織化 新世紀JA研究会全国セミナー一覧へ

 新世紀JA研究会は7月18、19日、東京都内で全国特別セミナーを開いた。「JA運動に新たな潮流を」のテーマで農水省、JA、JA全中、監査法人、農林中金、生協、学者などが、それぞれの分野から今日のJAが抱える課題や今後の進むべき方向で報告。それをもとに准組合員のあり方や中央会組織の役割などについて意見交換し、同研究会が提案した「新総合JAビジョン確立のための提言」内容を確認した。全国のJAの組合長を始めとする常勤役員や幹部職員など約130人が参加した。

准組合員の位置づけで議論する参加者准組合員の位置づけで議論する参加者

 

 新世紀JA研究会は平成18年の発足以来、毎年2回のJA持ち回りセミナーのほか、平成28年から今日まで25回、JAの組織・事業・経営に関するさまざまなテーマを設定した課題別セミナーを重ねてきた。今回のセミナーは、この課題別セミナーの中間締めくくりとしての性格を持つ。
 提言は、これまでの研究成果と、同研究会の企画部会小委員会が検討を重ねてきたもので、「農と食を通じた豊かな地域社会の建設」という「新たなJA理念」の確立を掲げ、次の7つの目標実現への取り組みを提起した。
▽農業生産・所得の向上と食料主権の確立
 当面、食料・農業・農村基本計画の見直しの中で、食料自給率45%を確実に実現する。
▽安全・安心な農畜産物の提供
 プレ・ポストハーベストなどによる農薬の過剰使用、遺伝子組み換え農案物・食品表示の規制緩和を是正するとともに、主要農産物の種子、および自家採種の確保やGAP・有機農業などを推進する。
▽農業を通じた地域社会への貢献
 農福連携による福祉・高齢者対策、農と住の調和したまちづくりなど、食を通じた地域社会の建設に取り組む。
▽新たな准組合員対策の推進
 准組合員を「食とJA活動を通じて農業振興に貢献する者」と位置付け、農(正組合員)と食(准組合員)が一体となって農業振興に取り組む。
▽事業・経営体制の確立
 信用・共済事業の収益に依存せず、かつ事業縦割りを排した組合員主体の自立経営による事業・経営体制を確立する。
▽SDGsの推進
 競争一辺倒にならない協同組合や公的機関の役割発揮のため,国連が決議したSDGsの理解を促進する。
▽地域住民・消費者と連携した自主・自立のJA運動(国民運動)の展開
 閉ざされた政・官・団体のトライアングルを排する。
 この中で、特に准組合員対策で、准組合員による「農業振興クラブ」(仮称)の結成を提起。これは准組合員600万人を農業振興の旗印のもとに組織化しようというもので、「正組合員よし、准組合員よし、JAよし、国民的理解(准組合員のJA事業利用規制阻止)よし」の四方一両得を狙う。
 その上で「農業振興は食を育み、くらしを潤し,地域社会を繁栄させるものであることを再認識し、これからのJA運動の糧としたい」としている。
 セミナーでは、来賓として出席したJA全中の須藤正敏副会長が「JAがあって地域が元気になる。セミナーの成果を生かし、一層の自己改革を進めていただきたい」と呼びかけた。また農水省協同組織課の日向彰課長が基調講演で、「このままでは農協は立ち行かなくなる。現実をよく見て手を打ち、特に経済事業の改革に務めてほしい」と、一層の自己改革を促した。
 このほか、JA島根の万代紀夫・元組合長が「貯保機構の掛金引き下げと農業振興」、JA改革推進課の山田剛之課長が「今後のJA改革」、JA鳥取中央の栗原隆正組合長が「農業生産法人による自己改革への挑戦」で報告した。
 2日目は有限責任監査法人トーマツの水谷成吾シニアマネジャーが「農協を変える真の改革」、農林中金の河本紳常務執行役員が「信用事業運営体制のあり方検討の取り組み結果」、パルシステム神奈川ゆめコープの渡邉たかし専務理事が「食と農を通じた協同組合間提携~包括協定による地域づくり」、法政大学大学の栗本昭教授が「SDGsの意義と協同組合の役割」でそれぞれ話した。

 

◇          ◆

 

畑・食卓の両面で

 新世紀JA研究会は7月19日、全国特別セミナー終了後、記者会見を行い、准組合員の位置付けに関する提言を公に明らかにした。この中で八木岡代表は、准組合員を「食とJA活動を通じて農業振興に貢献する者」とし位置付けることの意義について「単なるJA事業の利用者、農業の応援者ではなく主体的に関わってもらおうというもの」と強調した。
 JAの准組合員は、これまで協同組合運動に共鳴する安定した事業利用者として位置付けられていた。そうではなく、生産者と同様に消費者の役割をもって農業生産力の増進(農業振興)に貢献してもらおうというもの。提言では「重要なのは、生産者に対する消費者という対義ではなく、消費とは『食』を表し、いわば畑と食卓の両面から地域農業振興に貢献する者をJA組合員として定義すること」としている。
 その上で、「農業振興は食を育み、くらしを潤し、地域社会を反映させるものであることを再認識し、これからのJA運動の糧としたい」と言う。准組合員をメンバーとする「農業振興クラブ」は、その推進母体となるもので、新世紀JA研究会では、各JAに組織づくりを呼びかけている考えだ。

 

(リンク)
新世紀JA研究会ホームページ

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