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2019.10.17 
「分析」による酪農学ぶ JA浜中町でセミナー 新世紀JA研究会一覧へ

 新世紀JA研究会(代表=八木岡努JA水戸組合長)は10月10、11日、北海道のJA浜中町で第27回のJA持ち回りセミナーを開いた。北海道では始めてセミナーで、全国から会員JAを中心に約60人が集まり、酪農家(搾乳)160戸ほどで100億円近い生乳の売り上げを誇るJA浜中町の運営を学んだ。

JA浜中町の酪農施設を視察する参加者JA浜中町の就農者研修牧場を視察する参加者

 釧路市のホテルで開いたセミナーのテーマは「持続的な農業・農村と未来ある酪農郷」。JA浜中町の石橋榮季代表理事会長が「農協改革とJA浜中町の取り組み」で報告した。同JAは現在、正組合員288人で戸数203戸、准組合員246人。

 正組合員のうち搾乳を行っているのは平成30年で159戸と小規模ながら、JAの生乳販売高は29年度で約100億円に達する。同会長は「組合員の営農と生活を守り、地域社会の発展に貢献する」の経営理念に沿って、昭和56(1981)年設立の酪農技術センターや就農者研修牧場の開設など、地域の主要産業である酪農経営持続のため、独特のシステムを確立している。

 特に酪農技術センターは、JAとしては全国初の施設で、綿密な土壌分析や生乳検査を通じて、飼料の牧草、乳質の品質向上に効果をあげている。それを踏まえ、浜中町の生乳による4.0牛乳の生産、ハーゲンダッツアイスクリームの原料供給などに取り組んだ。

 同JAは「感覚での酪農から分析に基づいた酪農」への考えで、約1万3400頭の搾乳牛を中心に、牛の個体登録、人工授精、生乳出荷・分析、飼料・土壌分析など、牛に関するデータは全てシステム化し、情報を共有している。石橋会長は「効率的な施肥で牧草力がアップし、コスト削減、効率的飼養が可能になった」と、酪農技術センターの機能を評価する。  

 また、就農者研修牧場は、酪農で就農を希望する人の研修施設で、200頭ほどの乳牛を飼養しながら3年間、酪農を学び、町内で離農した酪農家の牧場を引き継ぐ。現在3組の夫婦が研修中。こうした就農者や酪農ヘルパーから移った人を含め、昭和58年から今日まで42戸が新しく酪農家として定着している。

 浜中町は人口約5700人の小さな町で、生活インフラの面でもJAの存在は大きい。高齢者のためのデイサロンや、JA学習塾・英会話塾を運営している。石橋組合長は「子どもたちに学ぶ機会を提供するなど、生活環境の面でもJAを理解してもらっている」と、地域におけるJAの存在価値を強調した。

 JAには、子会社が運営するJA独自の生活店舗「コープはまなか店」と、フランチャイズによるコンビニエンスストア・セイコーマート浜中店がある。セミナーでは、北海道を中心にセイコーマートを展開する(株)セコマの丸谷智保社長が講演。同社は、採算が合わないと思える地域や場所でも、必要とされれば出店することを社是に、営業時間や休日など、大手のコンビニエンスストアとは異なる、北海道ならではの独自の運営方法をとっている。「店舗運営は商圏の人口密度だけで考えるのでなく、地域資源を活用した商品開発が必要」と、北海道にこだわる理由を説明した。

 セミナーは「大会アピール」と貯金保険制度の掛金引き下げに伴う特別決議を採択。貯金保険制度は、農水産業協同組合貯金保険機構(貯保機構)による、預金者保護を目的とするもので、JAなどが貯金を払い戻しできなくなったときのため、対象の組合が一定額を積み立てる。

 同研究会は10年以上前から農水省や農林中金に貯保機構とJAバンク支援基金の保険料引き下げ・凍結を働きかけており、一部、保険料の引き下げはあったが、さらに減額・凍結を求めている。

 さらに大会アピールを採択。特に日米貿易交渉について、(1)最終合意された牛肉等農畜産物にかかる内容について、「国会審議等を通じて検証するとともに、TPPやEPAと合わせ、発効による国内対策について万全の対策を講じる」、(2)JA信用事業譲渡・代理店化について「引き続き総合JAとして事業展開を行うことを確立するとともに、信用・共済事業の収益に依存しない事業構造を構築する」、(3)頻発する自然災害、人為的災害に対して「バイオマスや太陽光など、再生可能なエネルギーの利活用をすすめ、脱原発に向けた環境型社会の確立に取り組む」ことなど、8項目を挙げた。なお2日目はJA浜中町の酪農関連施設を視察した

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