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【鈴木宣弘・食料・農業問題 本質と裏側】グローバル種子企業への便宜供与「4連発」2018年7月12日

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【鈴木宣弘・東京大学教授】

 (1)種子法廃止と種の情報の民間への無償提供、(2)種の自家採種の禁止、(3)「遺伝子組み換えでない」表示の実質禁止、(4)全農の株式会社化、これらは、すべてグローバル種子企業への便宜供与のための一連の措置なので、もう一度まとめて整理しておきたい。

(1)種子法廃止と種の情報の民間への無償提供 

 国民の命の源の食料、その源の種。いい種を安く供給するためにやってきた事業をやめたら、種の値段は上がるに決まっているのに、それを突如廃止する表向きの理由は「生産資材価格の低減」。 これがごまかしで、本当はグローバル種子企業のためだとバレるのが、種子法廃止と同時に成立させた別の法律(農業競争力強化支援法)の8条の4項で、今まで国や県の農業試験場が開発してきたコメの種とその情報を民間企業に提供しなさいと規定したこと。平昌五輪で、イチゴの苗が勝手に使われていたと、あんなに問題にしたのに、コメの種は企業に差し出せという。
 多くの県で、引き続き、県が奨励品種を作成、提供する事業を継続する条例を可決しているのは、その流れに対抗する措置として一定の効果は期待できるが、大きなネックは、グローバル種子企業への種の提供を定めた農業競争力強化支援法8条4項だ。これを執行停止にしないとだめだということを忘れてはいけない。 なお、種子法廃止の付帯決議が何の効力もないことは、その後の農水省通達ですぐさま証明された。この通達は農水省と主要県の担当部署が相談して案を作ったが、上からの命令で、「県が継続して事業を続けるのは企業に引き継ぐまでの期間」と勝手に入れられてしまった。
 付帯決議が何の効力もないことは、TPP11の付帯決議も同じで、「これ以上のアメリカからの要求には応じない」歯止めになるということはあり得ない。国会審議でみんなが頑張ったというアリバイ作り以外の効果はないことを肝に銘じておく必要がある。

 ※詳しくは、当コラムの過去の記事をお読みください。
 ・種子法廃止に備えた「通知」の本質 (17.11.30)
 ・種子法廃止「附帯決議」は気休めにもならない (17.10.05)

 

(2)種の自家採種の禁止

 もう一つは、種苗法の改定で、今後は種の自家採種が原則禁止される。どんな種も買わなくてはいけない。代々、地域の農家が自家採種してきた伝統的な種で、自分の種だと思っていても、品種登録されていなかったら、自分のものではない。
 農家が自身で品種登録するのはたいへんだから、いつの間にか、グローバル種子企業が品種登録してしまう。早い者勝ちだ。そうなると、自分の種だと思って自家採種したら、グローバル種子企業から特許侵害で損害賠償請求されてしまう。
 これは、グローバル種子企業が途上国のみならず、各国で展開してきている戦略(手口)だ。今回の措置は、これを日本でも促進するための「環境整備」である。

 

(3)遺伝子組み換えでない表示の実質禁止

 2018年3月末に、「消費者の遺伝子組み換え(GM)表示の厳格化を求める声に対応した」として、GM食品の表示厳格化の方向性が消費者庁から示された。アメリカの意向に逆行するようなことができるのか、注目していたら、結末は驚き。
 アメリカは「日本のGM食品に対する義務表示は緩いから、まあよい。問題はnon-GM表示を認めていることだ。GM食品は安全だと認められているのに、そのような表示はGMが安全でないかのように消費者を誤認させる誤認表示だからやめるべき」と主張していた。
 混入率、対象品目ともに世界的にも極めて緩い日本のGM表示義務はそのままにして、「遺伝子組み換えでない」(non-GM)という任意表示についてだけ「不検出」(実質的に0%)の場合のみにしか表示できないと厳格化して、実質的に「遺伝子組み換えでない」という表示を不可能にした。
 これでは「GM非表示法」で、厳格化といいながら、「日本のGM食品に対する義務表示は緩いからそのままでよいが、non-GM表示をやめろ」というアメリカのグローバル種子企業の要求をピッタリ受け入れただけになっている。

 ※詳しくは、当コラムの過去の記事をお読みください。
 ・
日米ともに遺伝子組み換え表示厳格化法、実は「非表示」法? (18.05.17)

 

(4)全農の株式会社化

 日本人にもっと遺伝子組み換え食品を浸透させるのに、邪魔になったのが全農グレイン。全農グレインは、遺伝子組み換えでない大豆、トウモロコシを分別輸入している。これが目障りだとグローバル種子企業と商社は考えた。
 でも、ニューオーリンズには世界一の船積み施設も持っている組織だから買収した方が得ではないかと考えた。ところが買収できない。なぜかというと、親組織の全農が協同組合だから。なんだ、簡単なことだということで、日米合同委員会という軍事関係を中心にアメリカからの指令が出る委員会で、「農協解体の目玉項目に全農の株式化を入れろ」という趣旨の指令が出された。協同組合系の組織を株式会社化ののちに買収というストーリーは、すでにオーストラリアをはじめ、いくつもの国で実証済みの手口だ。乗ったら最後。踏ん張らないといけない瀬戸際である。
 すべてに貫徹されている思想は、相互に助け合って自分たちの生活と地域の資源とコミュニティを守ってきた人々から収奪して、あとさきも考えずに、特定の「お友達」企業への便宜供与を徹底することなのである。

 

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

鈴木宣弘・東京大学教授のコラム【食料・農業問題 本質と裏側】

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