スウェーデンの農業ケアを詳述 JA共済総研2014年4月11日
JA共済総研は4月、「JA共済総合研究」第68号を刊行した。
この冊子は、同研究所が年2回発行している。毎号、JAグループの共済事業についての研究に限らず、広く農政や協同組合、社会政策、地域づくり、食料問題などについての論稿を掲載している。
今号では、「スウェーデンにおける農を活用したグリーンケア」、「稲作農家の豊かさ観の過去・未来とその影響要因」など4本の研究報告のほか、同研究所の福島喜郎専務理事が東日本大震災について「災害を忘れない」をテーマにした提言を掲載している。
◆障がい者の自立支援を
「スウェーデンにおける農を活用したグリーンケア」は、同研究所の濱田健司氏が、現地で取材・調査してきた内容をまとめたもの。
スウェーデンでは、障がい者や受刑者などに対して農業を活用したリハビリや社会復帰訓練などが行われている。その制度の紹介や、そのサービスを構築するための国と市町村との連携や予算決定のシステム、農場運営や受け入れを支援する協同組合組織の存在、また、障がい者を“守るもの”だとする日本的考え方と、障がい者が“自立するために支援する”とするスウェーデン的考え方の違いなどを詳述している。
それらを踏まえて、このような「農福連携」が、「農林水産業と福祉におけるそれぞれの問題解決…プラス生活・経済にかかる地域課題の解決、さらには社会課題の解決」を描くことができるだろうと結んでいる。
◆JAが豊かさに貢献
「稲作農家の豊かさ観の過去・未来とその影響要因」は、同研究所客員研究員で山梨大学教授の渡辺靖仁氏が執筆した。
同研究所は稲作農家に対して継続的に豊かさ観や将来展望に関するアンケート調査を行っているが、その直近3年間のデータをまとめたもの。その結果、幸福度や豊かさを高める要因の1つにJA職員による相談活動などがあることを紹介。JAなど、農業者と行政とを結ぶ中間組織が有用な役割を果たしていることを明らかにした。
このほか、韓国での協同組合設立ブームとその課題について研究した「協同組合発展のための金融政策の代案」、最近の物価上昇は円安などによる一時的な駆け込み需要であり、仮に賃上げが実現しても景気回復の効果は短期的で企業にとってコスト高・収益悪化につながりかねないなどとする「最近の物価動向について」、の2本の研究報告を掲載した。
『共済総合研究』68号はJA共済総研ホームページで全ページ無料で公開している。
(関連記事)
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