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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識2015

【現場で役立つ農薬の基礎知識2015】現場で実施できる有効な方法を組合わせる IPM(総合的な防除)2015年12月2日

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的確な予防・判断・防除で被害を最小に
・被害程度を見極め適切な防除法を実施
・[予防]病害虫・雑草が発生しにくい環境に
・[判断]発生状況を確認し的確に
・[防除]有効な手段を適切に組み合わせる
・[まとめ]適期に的確な防除を

 化学農薬による防除だけではなく、耕種的防除・物理的防除・生物的防除を組合わせて農作物の被害を少なくするIPM(Integrated Pest Management:総合的病害虫・雑草防除)が提唱されて久しい。すでに積極的に取組んで成果をあげている産地もあるが、改めてIPMの継続的な取組みをすすめるためや、新たに導入をすすめるためのポイントをまとめてみた。

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◆被害程度を見極め適切な防除法を実施

トマトの花 病害虫や雑草の防除を化学的農薬(以下、化学農薬)に頼りすぎると、耐性菌や抵抗性害虫等の発生、また土着天敵の減少などによって防除が難しくなることがある。そこで化学農薬のみを使って病害虫や雑草を撲滅するのではなく、病害虫・雑草の発生被害程度を見ながら、化学農薬や物理的な防除、耕種的防除、生物農薬資材などを上手に組合わせて、経済性も考慮して適切な防除法を実行することがIPMの基本だ。そのことで、病害虫や雑草による農作物被害を防ぐとともに、人の健康へのリスクや環境への負荷を最小限にできるという考え方だ。
 このIPMによる病害虫・雑草の防除を実行するために重要なポイントは「予防」「判断」「防除」の3つだ。


◆[予防]病害虫・雑草が発生しにくい環境に

 まず「予防」では、病害虫が発生しにくい環境を整えることが基本だ。そのためには、健全な種子や苗を確保すること、バランスのとれた土づくりをすること、病害虫の発生源を除去することだ。また抵抗性品種・台木の利用、輪作などの対策も有効だといえる。
 種子消毒や定植時の薬剤施用、水稲育苗箱処理剤の使用は、栽培初期の被害予防につながる。また、病害虫の発生が多い時期を避け、作期をずらして栽培することも有効だ。
 害虫防除では、シルバーマルチや黄色粘着板などの資材を設置することで、害虫の密度を下げることができる。また、施設周辺や畦畔の雑草は害虫の生息地となるので、雑草防除をしっかり行うことで、害虫の発生を抑制することができる。


◆[判断]発生状況を確認し的確に

 病害虫・雑草の防除は、その発生状況に合わせて防除法を選択する必要がある。これをおろそかにすると、効果が低くなったり、場合によっては無駄な防除を行ってしまうこともあり得るので、発生状況の確認は確実に行いたい。
 確認の方法は、まずほ場のある地域の発生予察情報などを参考にすることだ。これによって、時期ごとに注意しなければならない病害虫・雑草のことがつかめるので、その病害虫・雑草を中心に自分のほ場の見回りをしっかり行うことだ。発生状況はほ場ごとに異なることがあるので、周辺で発生が無くても、不幸にして自分のほ場にだけいることもあるぐらいに考えると見落としも少なくなる。
 その上で、指導機関が出している作物・病害虫別「要防除水準」などを参考にして、防除が必要か否かを判断するようにする。


◆[防除]有効な手段を適切に組み合わせる

IPM体系に活用できるおもな防除方法・技術
(表:IPM体系に活用できるおもな防除方法・技術)

 IPM体系では、化学農薬とフェロモン剤や天敵などの生物農薬や物理的防除方法・技術(表)を、適宜組合わせ、体系的な防除を行うことが重要である。
 病害虫の発生が多くなると防除することが困難になるので、できるだけ発生の初期段階で対策を講じるようにしたい。
【天敵】
 天敵は害虫を餌にしているため、餌となる害虫の密度と導入天敵の密度のバランスを保つことが効果を得るために必要だ。天敵の密度を適正に保つのは、導入する天敵ごとに異なるので、使用方法を十分に指導してもらった上で導入するようにしたい。
【フェロモン剤】
 フェロモン剤は、大きく分けて誘引と交信攪乱の2つのタイプがある。現在、多くが交信攪乱タイプのものであるが、これはメスの性フェロモンに似た物質をほ場に漂わせ、オスにメスの位置をわからなくさせて交尾を阻害する。これにより、幼虫が生まれなくなって、作物への加害を防ぐものだ。このため、できるだけ広範囲でフェロモンを設置しないと、よそで交尾したメスがほ場に侵入するケースもある。このため、産地単位で一斉に設置するのが効果を高めるポイントだ。フェロモンの種類によって一番効果的な使い方が異なるので、事前に指導機関ともよく相談しておきたい。
【微生物】
 微生物農薬は、作物に病原性のない微生物を病原菌よりも先に作物上に定着・増殖させて病原菌の生息域や栄養を奪ったり、害虫を病死させる病原菌を害虫に感染させたりして防除効果を発揮する。
 このため、微生物農薬の効果を十分に引き出すためには、主成分である微生物をいかに作物に定着させ、そして増殖させることができるかにかかっている。
 これは、主成分となる微生物の生育条件にほ場環境を合わせてやることが必要なのだが、多くの場合、病原菌にも快適な環境であったりするので、使用する微生物農薬毎に上手な使い方をあらかじめ把握したうえで使用してほしい。
【物理的防除】
 物理的防除は、耐性菌や抵抗性の発達もなく、優れた方法であるが、適用できる場所や作物、病害虫などいろいろと制限があり、効果を得るためのコツがあるので、事前に指導機関等ともよく相談の上、利用するようにしてほしい。


◆[まとめ]適期に的確な防除を

 病害虫の発生が多く化学農薬が必要な状況にもかかわらず無理に化学農薬を削減して被害を大きくすることもある。
 生物的防除や耕種的防除法は地域の条件や天候などの影響を受けやすく、また、物理的防除法は、導入する機械や資材などによっては、コスト高となる場合もある。
 このように、防除方法によって得手不得手、適材適所がある。
 IPMは、これら全ての防除法をうまく組み合わせて、最も環境影響の少ない方法で、最大限の防除効果を得ようとするものである。このため、地域やほ場によって、適切な組み合わせが異なり、それぞれで試行錯誤、創意工夫が必要なことが多い。
 このことが、IPMの導入が大きく普及していかない理由の一つであるのではないかと思うが、幸いなことに、国や県のホームページにはIPM実践のための手法が紹介されている。
 こうした情報も活用しながら、生産者、指導者、そして消費者を含めてコミュニケーションを図り、総合的な防除への取組みを進めていくことが大事ではないだろうか。
(写真)トマトの花

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