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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識2016

果樹カメムシ防除のポイント 飛来確認したら迅速に薬剤散布2016年7月12日

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口木文孝佐賀県果樹試験場病害虫研究担当専門研究員

 この時期は、果樹栽培で大きな被害をおよぼすカメムシ類の防除が、品質の良い果樹を出荷するために欠かせない。そこで、果樹カメムシ類防除のポイントを佐賀県果樹試験場の口木文孝氏にまとめていただいた。

 果樹を加害するカメムシ類(以下、「果樹カメムシ類」と省略、主な種はチャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシの3種)は、成虫が4月から10月頃までの長期間飛来し、果実を吸汁して被害を発生させる。果樹カメムシ類の発生量は年によって大きく異なるうえ、果樹園への飛来時期は年によって異なることから、防除時期および防除要否は発生状況を確認して判断する必要がある。そのため、必ず果樹園をこまめに観察し、果樹園への飛来が確認されたら迅速に薬剤を散布するように努める。

◆発生生態

チャバネアオカメムシ成虫 果樹カメムシ類は成虫で越冬する。チャバネアオカメムシは常緑樹の落ち葉の下、ツヤアオカメムシは常緑樹の樹上、クサギカメムシは樹皮のすき間などが主な越冬場所である。
 春になって活動を開始した成虫は、果樹を含む多くの植物の果実や新梢等を吸汁する。その後、7月頃から毬果が結実したヒノキやスギに移動して毬果を吸汁するとともに、雌成虫は産卵する。幼虫はヒノキやスギ等の毬果の中の種子を餌として成長し、8月中旬頃から新成虫が発生する。
 そのため、ヒノキやスギの毬果の結実量が多い年には、8月中旬以降の果樹カメムシ類の発生量が多くなる。ヒノキおよびスギの毬果の中の種子の養分が果樹カメムシ類によって吸い尽くされると餌として適さなくなるため、ヒノキおよびスギから成虫の分散が始まる。
 なお、果樹は幼虫が成長するための餌としては不適であり、果樹ではほとんど増殖しない。また、近年、発生が増加しているツヤアオカメムシは、カンキツの樹上でも越冬するため、越冬に気付かないとカンキツでは被害が収穫期まで続くことになる。
 他にも、ミナミトゲヘリカメムシ、オオクモヘリカメムシ、クモヘリカメムシおよびマルカメムシなども果樹園へ飛来し、加害する。

◆少発生でも被害

果樹カメムシ類の餌となるヒノキの毬果 果樹カメムシ類は、果実や新梢などに口針を刺して果汁および樹液などを吸汁する。吸汁された果実は、形が変形したり、落果したり、腐敗してしまう。収穫時期の早い果樹、熟期の早い品種では、被害が早くから発生するので注意する。
 また、果樹カメムシ類は、飛来して果樹園に侵入する。そのため、風の吹きあがる尾根沿いや風の通り道に位置する谷筋などの果樹園には、果樹カメムシ類が飛来しやすく、被害が大きくなる傾向が認められる。このような果樹園では、少発生の年であっても被害を受けることがあるので注意する。

◆飛来時期の把握が重要

 果樹カメムシ類は、果樹ではほとんど増殖しないため、山野等で増殖した成虫が果樹園へ飛来してから被害は発生する。そのため、成虫が飛来するまでは薬剤を散布する必要は無く、果樹園への飛来を確認してから薬剤を散布することになる。
 ただし、果樹カメムシ類は、雄が果樹園に飛来し、定着すると集合フェロモンを放出し、同種の仲間を呼び寄せる。そのため、飛来初期に薬剤を散布しないと次から次に成虫が飛来して密度が高くなり、被害が大きくなってしまう。そこで、果樹園への飛来を的確に把握して、飛来初期の低密度時に防除を行う必要がある。薬剤散布が遅くなり、果樹園への飛来量が多くなった場合には、薬剤を散布しても十分な防除効果が得られないこともあるので注意する。
 また、被害は果樹園全体に発生するだけではなく、隅の方などに局部的に発生することもあるため、被害の発生に気付くのが遅くなることも多い。そのため、果樹園を日ごろからこまめに観察して、飛来の有無、飛来状況を把握する必要がある。なお、果樹カメムシ類の発生状況については、各県の"病害虫防除所"などが越冬調査、予察灯およびフェロモントラップ調査、ヒノキの毬果上の口鞘数調査などを基にした、発生量および果樹園への飛来時期の予想をホームページなどで提供しているので参考にする。

◆防除対策

 果樹カメムシ類の防除は、薬剤の散布が中心となる。
 薬剤は、殺虫効果および吸汁阻害効果の高い合成ピレスロイド系殺虫剤のテルスターフロアブル、ロディー乳剤、MRジョーカー水和剤などやネオニコチノイド系殺虫剤のスタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤、ダントツ水溶剤など、殺虫効果の高い有機リン系殺虫剤のスミチオン乳剤などを散布する。
 施設栽培の場合は、開口部に目の細かい防虫網を設置することによって侵入を防ぐことができる。

◆薬剤使用のポイント

 果樹カメムシ類による被害の防止には、果樹園への飛来初期の低密度時に薬剤を散布することが重要である。
 散布した薬剤の残効期間は薬剤ごとに異なり、ネオニコチノイド系殺虫剤および合成ピレスロイド系殺虫剤で10~14日間程度、有機リン系殺虫剤で1~2日程度である。なお、散布後に降雨があると薬剤の効果の残効期間が短くなるので注意する。そのため、飛来が長期間続く場合および薬剤散布後にまとまった量の雨が降った場合は、再散布が必要となる。
 また、散布後に降雨が予想されている場合は、薬剤の耐雨性が比較的強い合成ピレスロイド系殺虫剤を散布する。なお、薬剤散布後であっても果樹カメムシ類の飛来・加害が再確認されたら、効果が無くなったと判断して薬剤を再散布する。
 さらに、合成ピレスロイド系殺虫剤およびネオニコチノイド系殺虫剤を散布した後には、ハダニ類やカイガラムシ類が増加することがあるので、薬剤散布後はこれらの害虫の発生状況にも注意する。
 また、果樹カメムシ類の成虫は飛翔して広い範囲を移動している。そのため、地域全体で一斉防除を実施することによって、その地域における生息密度を低下させることができ、薬剤による防除効果を高めることができる。
 なお、果樹カメムシ類による被害は10月頃までは続くため、収穫直前の果実では散布する薬剤の収穫前使用日数および使用回数などの安全使用基準に注意して散布する。


(写真)チャバネアオカメムシ成虫、果樹カメムシ類の餌となるヒノキの毬果

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