農薬 シリーズ詳細

シリーズ:現場で役立つ農薬の基礎知識 2017

2017.12.02 
土づくりが決める品質と収量一覧へ

 水稲の収穫も終わりほっとしているころではあるが、そろそろ来年の豊かな収穫を目指して“土づくり”に取り組む季節となった。農業生産にとって、土は最も大事な要素であり、土の良し悪しが農作物の品質や収量に大きく影響する。また、連作が続くようなほ場だと、土壌病害虫の被害が多くなる場合が多いので、土壌病害虫が多いようなほ場では、土壌消毒などの対策も合わせて必要である。

1.土づくりの必要性
 作物はいうまでもなく、土を介して根から養分を吸収して生育する。このために、豊かな収穫を得るには良い土をつくることが絶対条件になる。良い土とは、つくる作物によって条件が異なってくるが、一般的には次のようにいわれている。(1)十分に根が張れる、(2)通気性と排水性がよい、(3)水持ちがよく、肥料をよく保つことができる、(4)適正なpH(中性からやや酸性)、(5)微生物が多い、(6)腐植に富む、(7)異物の混入などがなくきれいである ことである。
 これらの良い土の条件が満たされれば、より良い作物の生育と多くの収量が得られるようになるので、まずは田んぼや畑の土の状態をしっかりと把握することからはじめ、その状態を良い土の条件に近づけるよう、しっかりと土づくりを行いたい。

圃場


2.土づくりの方法
(1)養分補給
  まず、土壌分析を行い土壌中に含まれる栄養分の量を把握する。その上で、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった主要要素や鉄やマンガンなどの微量要素を、つくる作物に合わせて足りない分を補う。その際、作物別の栽培暦などに成分ごとの施用量が示されている場合には、それに従うようにする。
(2)pHの調整
  つくる作物によって適正なpHが異なるので、土壌分析結果に基づきpH調整をする。土壌が酸性(pH値が7より小さい)の場合は、消石灰や苦土石灰、有機石灰、石灰窒素といった石灰を含む資材を投入することで中和することができる。石灰窒素は、副次的に根こぶ病の防除にも効果があるので、アブラナ科野菜の作付で根こぶ病に困っている場合に活用すると良い。
  アルカリ性(pH値が7より大きい)の土壌を中和する場合は、硫黄華やピートモス、鹿沼土の細粒を施すと良い。
(3)有機物の施用
  水はけが良く通気性が良い土壌は、根の環境を良くし、作物の生育も良くなる。
  このような土壌は、有機物を施用することによってつくられる。有機物を栄養源とする微生物の働きで細かい土壌粒子が結びつき固まる団粒化が起こる。この団粒が多くなると土壌中にすき間ができるようになり、結果として通気性や排水性が良くなる。
  主な有機物資材は、ナタネ粕や大豆粕、堆肥であるが、特に堆肥は毎年施用するようにしたい。堆肥には、牛糞堆肥や乾燥鶏糞、腐葉土、バーク堆肥などがあり、作物や目的に合わせて施用するようにした。

    
3.土壌病害虫の防除
 土づくりとともに豊かな収穫に向けて注意が必要なのが、土壌病害虫である。土壌病害虫は、土壌に潜んでいる病原菌や線虫などの害虫が作物に品質低下や収量減などの被害を及ぼす。特に、連作ほ場などで発生が多くなる。もし、土壌病害虫が多くて困っているようなほ場では、一度、土壌消毒を行い、土壌病原菌や土壌害虫の密度を下げる必要がある。土壌消毒には、熱を使うものや、土壌消毒剤を使うものまで様々なものがあるが、地域や土性によって利用できる方法が異なる場合があるので注意したい。
(1)土壌還元消毒法
 この方法は、フスマや米ぬかなど、分解されやすい有機物を土壌に混入した上で、土壌を水で満たし、太陽熱による加熱を行うものである。これにより、土壌に混入された有機物をエサにして土壌中にいる微生物が活発に増殖することで土壌の酸素を消費して還元状態にし、病原菌を窒息させて死滅させることができる。この他、有機物から出る有機酸も病原菌に影響しているようだ。このため、有機物を入れない太陽熱消毒よりも低温で効果を示す。
(2)蒸気・熱水消毒
 文字通り、土壌に蒸気や熱水を注入し、土壌中の温度を上昇させて消毒する方法である。病害虫を死滅させる原理は太陽熱と同じで、いかに土壌内部温度を60℃にまで上昇させるかが鍵である。
(3)土壌消毒剤による消毒
 効果の安定性やコスト面から考えても、現在の技術で最も一般的なのが土壌消毒剤の使用である。土壌消毒剤は、長い間主流であった臭化メチルが廃止され、その代替として、土壌消毒剤を使用した土壌消毒技術が開発された。各土壌消毒剤の特性や効果の範囲を別表に整理したので、それらを良く把握した上で、効率よく安全に利用願いたい。
 主な土壌消毒成分の特性を示す。

主な土壌消毒剤の特徴一覧(上の表をクリックするとPDFファイルが開きます)

 
○クロルピクリン(商品名:クロールピクリン、ドジョウピクリンなど)
 揮発性の液体で、土壌に注入することで効果を発揮する。激しい刺激臭がするので、防護具等の使用が必須である。ガス抜けが早く、ガス抜き作業が基本的に不要なのが特徴である。
○D-D(商品名:D-D、DC油剤、テロン)
 主に、土壌センチュウに効果を発揮する。クロルピクリンに比べ、ガス抜けが悪いので、丁寧に耕起して、ガス抜き期間3~4日を確実において作付けに移る。ガス抜きが不十分だと薬害が起こるので注意が必要。
○クロルピクリン・D-D剤(商品名:ソイリーン、ダブルストッパー)
 クロルピクリンとD-Dを効率的に配合し、両成分の長所を活かした製剤である。刺激臭もやや少なく扱いやすいが、ガス抜き期間はきちんと守る必要がある。
○ダゾメット(商品名:ガスタード微粒剤、バスアミド微粒剤)
 微粒剤を土壌に均一散布し、土壌の水分に反応して、有効成分であるMITC(メチルイソシアネート)を出して効果を発揮する。そのため、処理時には適度な水分が必要であり、ガス抜きも10~14日と比較的長い期間が必要である。主に土壌病害に効果を示す。
○ ホスチアゼート(商品名:ガードホープ液剤)

 
 栽培作物の生育中、および栽培後半期にも効果を発揮するセンチュウ防除剤。高い殺センチュウ力を有し、安定した効果を示す。土壌条件の変動による効果への影響はほとんどない。

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