専門知識いらず 有害線虫を一度に解析2016年10月25日
農研機構は10月21日、有害線虫の多種同時診断技術の開発を公表した。DNA鑑定用い、畑に生息する有害線虫13種類を、線虫分類の専門知識がなくても、一度に判定できる。
同じ作物を頻繁に栽培していると、有害線虫の増殖が起こり収量が激減するなどの被害があった。線虫は種類で防除法が異なるため、発生した線虫の種類を知ることが効果的な防除対策につながる。
これまで、線虫種の判定には専門的な知識が不可欠で、農業現場では種を区別せず化学農薬で画一的な防除が行われる傾向が強かった。
線虫判定の工程は、土壌から分離した線虫群衆からDNAを抽出。1回のPCR(少量のDNA断片を多量に増やす)と電気泳動(DNAの電気的性質で異なる大きさのDNA断片を分離する技術)で有害線虫13種を同時に検出。うち10種を1枚のゲル上に複数のバンドとして検出できる(このうちアレナリアネコブセンチュウとサツマイモネコブセンチュウ、ジャワネコブセンチュウはバンドの位置が同じで種の特定ができない)。DNA抽出から種の判定までかかる時間はおよそ9時間で、1検体あたりランニングコストが約600円かかる。
この技術で、専門的な知識がなくてもマニュアルに基づいて操作するだけで線虫種を高精度に判定できる。
今後はまた検出できないアレナリアネコブセンチュウなど3種も同時に判定できる技術開発を目指すとしている。
実施マニュアルは農研機構北海道農業研究センターのホームページからダウンロードできるほか、電気泳動に使う「種判定用マーカー」を同センターが無償提供してくれる。
検出・判定できる線虫はネグサレセンチュウとネコブセンチュウの計13種で詳細は次の通り。
・キタネグサレセンチュウ、ミナミネグサレセンチュウ、ノコギリネグサレセンチュウ、ムギネグサレセンチュウ、モロコシネグサレセンチュウ、クマモトネグサレセンチュウ、ニセミナネグサレセンチュウ、チャネグサレセンチュウ、クルミネグサレセンチュウ
・アレナリアネコブセンチュウ、サツマイモネコブセンチュウ、ジャワネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウ
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日