農業協同組合新聞 JACOM
   

紙面審議会

農協運動の発展にどう寄与するのか
「農業協同組合新聞」紙面審議会(上)

 「農業協同組合新聞」は創刊以来、一貫して日本の農業と農協運動発展のために寄与することを目的としてきました。爾来、50余年が経ち、日本の農業そして農協を取り巻く環境は大きく変化してきました。とくに、昨今は、「JA改革」が大きなテーマとなり、農協のあり方そのものが問われています。
 そうしたなかで、従来からの本紙のあり方を見直し、今後どのような視点をもって編集していくべきかを考えるために、別掲のような方々にお集まりいただき「紙面審議会」を開催し忌憚のないご意見をいただきました。本紙は、その内容を本号と次号の2回に分けて公開することで、読者の皆様のご意見・ご感想をいただき、今後の紙面づくりの参考にさせていただきたいと考えました。

◆紙面審議会委員(五十音順)

◇座長・梶井  功 東京農工大名誉教授

◇安 澄夫 福岡県・JAおんが組合長
◇阿部 長壽 宮城県・JAみやぎ登米組合長
◇石田 正人 長野県・JA北信州みゆき組合長
◇今村奈良臣 東京大学名誉教授
◇上山 信一 農林中央金庫元副理事長
◇太田原高昭 北海学園大学教授
◇北岡 修身 高知県・JA高知春野組合長
◇小島 正興 農林中央金庫監事
◇坂本 多旦 みどりの風協同組合代表、日本農業法人協会元会長
◇日和佐信子 全国消費者団体連絡会元事務局長
◇増田 佳昭 滋賀県立大学助教授
◇松下  久 静岡県・JAとぴあ浜松組合長
◇三嶋 章生 島根県・JA雲南組合長
◇山地  進 内外食料経済研究会代表


<現在の紙面についての意見・感想>


◆新聞でありながら雑誌的な編集・紙面づくり


梶井功氏
梶井功氏

 梶井 農協協会の規約第4条に「本協会は、農村における協同組合運動実践者の同志的結集を図る」とあります。「農業協同組合新聞」は、協同組合運動という観点にたち、それをさらに発展させるような役割を果たす新聞になっているのかについて、いろいろな側面から率直に語りあいたいと思います。
 まず新聞編集のベテランでもある山地さんいかがですか。

 山地 新聞発行から50年余が経っているそうですが、新聞というのは明治以来、吸収合併の多い分野で、制度的な放送とは違って紙面で生きていますから本質的に融通無碍なところがあります。それがうまくいけば非常に伸びるわけです。この新聞は、農業分野の新聞では直球で一番切れのいい球を投げている新聞だとみています。
 したがって、あまり型にはまった編集をしていなし、めくっていかないと何が出てくるか分からないというのもいい。見出しも、かなりまともに自分のいいたいことを出していますね。

 梶井 形式的な枠にはまっていないところがいい…

 山地 何が、誰が現れるか分からないというのは、編集者は大変でしょうが、いいと思いますね。

 梶井 小島さんは新聞の批評を随分されていますが、いかがですか。

小島正興氏
小島正興氏

 小島 第一に新聞の性格が一番問題だと思います。農協協会の主張を浸透させるための新聞なのか、そうではなくて会員に対するサービスとして協同組合に対する理解を深めるとか時々刻々変化する環境に対する知識をもってもらうためなのかをハッキリさせないと、これでは売れない新聞だと思います。読んでもらうということになれば、協同組合に対しての内外からの批判を積極的に出さないと、全然、面白くないし、政府の官報のようになってしまう。
 それから第二に紙面構成ですが、ある程度安心して読めることが必要で、どこに何が出てくるか分からないというのは、落ち着いて読めない。対談なりインタビューにしても、本当に2頁も使う必要があるのかなと思いますね。2段か3段でまとめられるはずだし、その方がよほど読みいいと思う。新聞でありながら、雑誌的な編集をしていますね。

山地進氏
山地進氏

 第三に、新聞はニュースなり変化なり、読者に提供していかなければいけないことがたくさんあるわけですが、この新聞を読んでいると、ニュース的なものとか、各地の農協でどういう問題があるのかといったことが、ほとんど、載っていない。会員のネットワークが活かされていないのではないかと思います。そして、全国連の動きをもう少しキチンと出さないと、農協全体としての機関紙的役割もなかなか果たせないのではないかという感じがします。
 最後に新聞として、一番、重要なことは、読者の変化を頭の中にキチンと入れて紙面づくりをしないと売れないということです。それにおもねる必要はありませんが、市場の変化にキチンと対応した紙面づくりやっていかないといけないと思いますね。

  「新聞でありながら、雑誌的な」というより、雑誌なのに新聞の形をとっていると考えましょうや。(笑)

 上山 私は現役のときから、この新聞は、小さいけれど他の新聞とは違った切れ味があると思っていました。それは、この新聞がわりあいに自由に編集していますので頑張って欲しいという気持ちがあったからです。また、文化面で「農協人文化賞」をやっていますので、応援したいという気持ちもありました。


◆ニュース性か解説重視か


松下久氏

松下久氏

 梶井 小島さんからご指摘があった3番目の「ニュース性」については、松下さんはどう思われますか。

 松下 この新聞は日刊紙ではありませんから、ニュースを取り上げるのは難しい面があると思いますが、新聞である以上、その時代のものは取り上げなくてはいけないとは思います。
 紙面構成をみていると、雑誌と新聞の中間的な存在かなと思っています。「農業協同組合新聞」という名称ですから、農協を中心にして、その人たちに関心があるものを解説していくことだと思います。そのときに気になるのは、内容が分からないままに言葉を使っていることが結構あると思います。農協には専門用語がたくさんありますから、それらを間違わないようにシッカリ説明することが必要ではないかと思います。
 小島さんからネットワークについてのご指摘がありましたが、地方版的にネットワークをつくり、各地の情報を伝えることができないかなと思いますね。
 それから、日刊紙ではありませんから、農業協同組合のことを解説的に詳しくやっていく。いまは農業と一緒くたになっているような感じがしますね。

阿部長壽氏
阿部長壽氏

 阿部 この新聞は、農協の役職員層を対象にしていると思います。ニュース的なものは、他にたくさんあります。それらとは違った味のある新聞で私は大変に重宝しています。例えば、谷口信和東大教授の「“集落営農”は本当に担い手としてみとめられたのか」(4月22日号)を読んで、なるほどこういう論調もあるなと思いました。いろいろな面でタイムリーに問題点を掘り下げて解説し議論してくれているのは、現場の人間にとっては論点整理ができます。
 それから1面下の「ニュースファイル」も要領よくまとめられているので活用しています。まあ、もっと簡便にまとめてもいいのではと思うものもありますが…。

 三嶋 パッと見た感じ紙面が硬いですね。農業関係のいろいろな新聞を取っていますが一番硬いですね。逆にいえば真面目だという印象を受けますが、取っ付きにくいですね。
 ニュース性よりもどちらかといえば企画に重点を置いているので、タイムリーな問題では物足りない面はあります。しかし、BSE問題のときには、タイムリーに突っ込んでキチンとまとめていたと思います。他紙はニュース性を重視しているので、少し時期が遅れても落ち着いて問題をまとめて整理しているのは他にはなかったですね。そういう意味では役に立っていると思いますね。

三嶋章生氏
三嶋章生氏

 梶井 私が感心をしたのは、有明干拓について、そもそものところから説き起こして問題の所在をまとめていましたが、これは地元紙ではありましたが、他ではみたことがありません。それから、青森と岩手県境の不法投棄についての記事も記憶に残っていますね。こうした腰を落ち着けたニュース解説をしているのは、非常にいい点だと思いますね。

 坂本 この新聞を読みますと相当に詳しく分析してあり、たいしたものだなと思います。経営者としてみてみると、早い情報は他にありますから、この新聞を読むことで、もう少し深く入れるなと直感的に思いました。

 今村 私は、この新聞に時々書かされており、そういう人物は本来、紙面評価委員になるべきではないと思っているのですが、それはさておき、農業関係の新聞がいくつかありますが、役職員に対するメッセージとか問題提起はこの新聞が一番やっていると私は思っています。

北岡修身氏
北岡修身氏

 太田原 私も何度か書かせていただいて、自由に意見がいえる貴重な場だという感想をもっています。発行間隔からいうと週刊誌の性格をもっているので、いい意味での週刊誌的ゲリラ性を売り物にしたら歓迎されるのではないでしょうか。

 北岡 この新聞は日刊紙ではないのでニュース性は遅れた部分があると思います。それを補完する内容で一歩踏み込んだ内容が欲しいと思います。新聞の販売面から見て、JAグループの内側への、役職員への情報発信のスタイルだと思います。
 国の政策に対してある程度詳しい解説を入れることが必要で、それに対して、どのような人がどのように考えているかなどコメント取材を行うことで、期待と興味がもてるように頑張って欲しいと思います。

安澄夫氏
安澄夫氏

  私とこの新聞の出会いは、忘れもしません。昨年10月9日の朝でした。ひょんなことからホームページ(HP)を覗き、JAひたちなかの先崎さんが書かれたJA大会を批判する提言に出くわしたのです。いまからJA全国大会のために上京という急いでいるときでした。赤い糸でしょうか。直感的に読みもしないで印刷だけして空港へ行き、飛行機のなかで読み「これは凄い」と思いました。羽田に着いて中央会職員に20部コピーを頼み、一緒に上京した県内の組合長さんや県連幹部に渡しました。大好評でした。大会イベントの間、退屈しなかったそうです。
 10日の大会当日、NHKホールの前でこの新聞を配っていたじゃないですか。感激しました。駆け寄って数部いただきました。そのときに新聞代を払いたかった。いまから払ってもいいですか(笑)。
 先崎さんの提言も含めて、この新聞のHPでは、バックナンバーすべての記事が全文手に入るから凄いです。新聞は旬刊だからニュースが遅いといわれましたが、HPに載る論文と考えれば、時事問題に対する論評が早くて鋭いと思っています。私にとっては、新聞よりもHPの方が圧倒的に便利です。気に入った記事があるとWordファイルにコピーして印刷したり、保存したり、メールに添付したりと便利に利用しています。だから、HPから削除された1月20日の「論壇―風」も私のパソコンの中には残っていますよ。 

石田正人氏
石田正人氏

 石田 他の農業関連新聞もありますがニュース性や解説性とかではなく、各農協それぞれの運動の歴史と対応の違いはありますが、いま農協としての方向性をいろいろな面から指摘し課題を提起してくれる、農業・農村・農協を知り尽くされている日本を代表する先生方の意見が他にはない形で紙面に反映されています。多少の時代変化はあるとしても、大きく構成を変える必要はないと思います。

 増田 日刊紙との対比では、「速報性」か「解説性」か、また、「農業」か「農協」かという問題があると思います。速報性は日刊紙に譲りながら、問題を当事者や専門家がやや詳しく解説するといったスタンスが求められていると思います。また、農業全般というよりも、農協にこだわったテーマ設定が期待されているのではないでしょうか。私も全国連の当事者の解説や対談を興味深く読んでいます。


◆論点整理に役立つ紙面


 梶井 消費者の立場から、日和佐さんいかがですか。

日和佐信子氏

日和佐信子氏

 日和佐 最初にこの新聞を読ませてもらったときの感想を率直にいうと、機関紙的な性格が強いな、新聞とはいわないのではないかと思いました。
 ただし、普通の新聞だと紙面構成を重視しますから、不都合だと思っても無理やりまとめてしまいますが、この新聞には、それがないわけです。ですから十分に記述がされていますので、私は、大変に勉強をさせていただいています。それは、農業問題について、農水省が提案していることでいいのか、それに対して農協がいろいろいっている、それでいいのか。もっと違う立場で解説がないのか。いろいろな立場でのご意見を伺ったうえで、自分の意見を整理しなければ、うかつにものが言えないなと思っています。そういう状況の中でこの新聞は、私の役に立っています。
 十分に記述されていることはいいのですが、ある場面では、余分なことが書かれ過ぎていて結果的に何が言いたかったのか分からなくなることもあります。そのあたりは、もう少し整理をした方がいいと思います。
 消費者の観点といわれても…

 梶井 消費者の観点から取り上げた記事は、そもそもありませんね。

 日和佐 そういう意味合いでは、ちょっと残念ですね。
 もう一つ気になるのは、全体の主張はそれでいいのですが、コラムなどでときどき科学的なことを根拠が不明確なまま言い切ってしまっていることがあるんですね。それは信憑性につながるので、気をつけて欲しいと思いますね。主義主張はあって然るべきで、明確に書いてもらった方が分かりやすいのですが、科学的なことは一定の科学的なバックグランドがあって書いて欲しいと思います。


<今後取り上げるべきテーマ>


◆農協のあり方について

 梶井 現在の紙面についてのご意見や感想を伺ってきましたが、今後、この新聞で取り上げていくべきテーマについてはいかがでしょうか。

今村奈良臣氏
今村奈良臣氏

 山地 今後の展開として一言いっておきたいのは、農協事業の内容が変わってきているので、現場の良い例を発掘し、みんながそれを見て自分のところでもこなしていく。その試行過程とか実験過程が紙面に出るという積み重ねができると良い新聞になっていくのではないかと思いますね。

 今村 私は農協改革などについて「農協のあり方についての研究会」の座長をはじめいろいろなことをさせられてきました。しかし、いま、一番力を入れているのは、JA−IT研究会、つまり農民塾の農協版、農協改革塾です。いま、70ほどの単協を中心に勉強会を手弁当でやっていますが、ここでは内発的なエネルギーに富んだ改革への議論がすすめられています。ここでの問題提起された論点などを大いに広く紹介してほしいと思います。
 そして、こういう内発的な活動がJAの中で広がることを心から願っています。

 梶井 この新聞で取り上げるべきテーマとして、今村さんから内発的な改革への議論をというご意見がありました。山地さんからは、JAが取り組んでいる内容やそのなかでどういう問題があり、どういう議論があったか、組合員がどう評価しているのかを、もっと取り上げるべきではないかというご指摘がありました。また、先ほど小島さんから全国連についても的確に伝えるべきではないかという指摘もありましたが。上山さん…。

上山信一氏
上山信一氏

 上山 私の農協に対する想いを少し述べさせていただきたいと思います。
 私たちの世代は、戦争中はサツマイモなどを作っていましたが、戦後は商品作物をつくるというので、イチゴとか大根とか商品化率が高い作物を作り、収穫して大八車を曳いて鳥取の小さな市場に出すわけです。2、3日雨が続くと一斉にみんなが出て行きますから、哀れな値段になってしまいました。20世紀梨などは、仲買商人に値段を決められ、良い梨、悪い梨の区別なくて山ごと売ってしまうという状態でした。
 いまは、農協が大きくなり力を持つようになったので、共同選果場で農協が良い梨は良い梨として市場の値段を見ながら売ってもらえるようになりました。イチゴも農協で全部集荷して出荷している。
 いまいろいろ農協に対する批判があり、農協自身が考えなければならないことが山ほどありますが、農協を軸にして仕事をしていかないと、農村を守っていけないということも、非常に大事なことだと思います。
 そういう立場で農協をもう一度キチンと見直して、当時、私たちがイチゴや梨を売るのに苦労していたのが、農協がやるようになって販売事業が確立したわけですが、時代の変化にともなっていま何がダメになったのか。運動として、何を改革しなければならないのかを、紙面でもう少し議論をしてもらいたいという思いがあります。

 阿部 私は「農協運動」という言葉が最近はなくなってしまい、使うのが農協内部でも恥ずかしいような気がして大変寂しい思いをしています。協同組合をもう一度、原点から考え直さないと協同組合がなくなったしまうのではないかという危機感にさいなまれています。私どもの地域は農村地帯のなかの農村で、まだまだ担い手もいます。法人化しなくても、まだまだ農民がおります。その農協運動に徹したいと思います。


◆多様な経営形態にあわせた組織のあり方


 梶井 農協について問題提起がありましたが、坂本さんはどうですか。

坂本多旦氏
坂本多旦氏

 坂本 法人として地元の組合員になっていますが、実際には、自分の組織を守るのが精一杯で、活動をなかなかお手伝いできないという恥ずかしい立場になっています。ただ、阿部組合長がおしゃった「農協運動」という言葉にはジンとくるんですね。農業者として現場で、牛と付き合い、米や花と付き合い、生き物と付き合えば、何が牛が喜ぶ、お米が喜ぶ、果樹が喜ぶシステムなのか、法人でも家族経営でも兼業であろうとそういう視点が重要だと思います。
 戦後の農地改革で1haという共通した組合員が生まれ、農協が中心的な役割を果たし、日本の復興に大きな貢献をしたと思います。そして、豊かな社会になって、経営構造が多様化したという現実があるわけです。多様化すれば、法人、専業経営体、兼業経営体それぞれの組合活動への期待は必ずしも同じではない。組合長さんはそれを平均化してみんなに文句がないように組合運動をされている。これは大変なご苦労だと思いますね。
 私は、ここまで日本の農業者が多様化したからには、一つの組織でまとめること自体が無理ではないのか、矛盾が出てくる可能性があるのではないかと、経営者として感じています。農協界は必要ですが、そのなかに、組織が3つくらいに分かれていて、必要なときには共同戦線を組む。それが、農協活動への私の想いです。
 しかし、戦後の1haの農家を束ねる式の運動をすると、いろいろな問題が絶対に出てくると思いますので、新しい農民運動、農業協同組合運動をどなたかが、ぜひ立ち上げていただきたい。そして、結集していきながら、必要なテーマについては組んでいくというように、農協運動を根本から見直して再出発していくことを期待したいですね。

 梶井 坂本さんは農業経営者として法人の強化をはかりながら、同時に、消費者とのタイアップを強化するために、消費生活協同組合まで組織されたわけですよね。そういう点では、従来の農協運動はちょっと幅が狭すぎたんですね。

 坂本 戦後直後は、協同ということで立ち上がらないと日本の国は守れなかったと思います。


◆時代に対応したあり方を


 梶井 しかし、先ほど小島さんがいわれたように、相手が変わっているのに、それに対応した活動が弱かった…

増田佳昭氏
増田佳昭氏

 坂本 転作が始まった頃が、大きな変革の時だったわけですが、これだけ大きな組織ですからしかたがないでしょう。でも、まだ遅くはないです。市場が求めるものをどうわれわれは供給していくのか、ということを真剣に考える中で取り組まなければいけないと思います。
 
 安高 昨年10月にJA改革を決議し、農協は変わらなければならないと宣言しました。でも、JAグループには危機感がないですね。だから私は、分かりやすく申しますが、いまの農協はいらないのです。生き残れないのです。生き残ってはならないのです。だから、生き残るに値する農協に変わるのです。これがJA改革だと思っています。
 危機感のないJAグループに、ものをいう機関が必要なのです。それをこの新聞に期待したいのです。

 石田 農協運動の改革期に農業協同組合発足以来、下部的な組織として農家組合が存続してきました。時代の大きな流れでその役割が形骸化してしまい、また多様化した農村においても必要としなくなってしまいました。私たちの農協では時代に対処しなくてはならない組織と、組合員に必要であろうと思われる新しい農協組織をつくろうとこの2年間、大学教授にも参加していただき研究会を開催してきました。戸から個への組織、子どもから老人、女性、すべての人が参加することにより地域の話題などが家庭の共通の話題となる。そして、参加の意義も分かりやすくするため世代別に整理し活動することで、地域とともに元気の泉が掘り出せるようにしていくJA会として、モデル集落を各地区に設定していく取組みが始まります。

太田原高昭氏
太田原高昭氏

 増田 協同組合のあり方も時代とともに変わってきています。農協が何もかもやるのではなくて、地域の農業者と地域住民を広く包含する従来の農協と、産直や直売所、グリーンツーリズムなど、農業者有志がつくるさまざまな自立的な協同組織とが、つかず離れずの関係で協力する関係が重要だと思います。そうした先端的な動きを紹介し、理論化していくような試みもおもしろいのではないでしょうか。
 
 太田原 いま消費者の国内農業への期待は大変熱いものがあり、それにキチンと応えることが農協の生きる道であろうと思います。ところがキチンと応えようとする生産者が旧態依然たる組織風土の中で異端者扱いされる。大変に悔しい思いをすることがあります。役員に若い人や女性を入れただけではダメで、その発想を活かそうとする姿勢が大切です。 (以下次号へ つづく)

関連記事 「農業協同組合新聞」紙面審議会(下)

(2004.6.21)

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