農業協同組合新聞 JACOM
   

特集 微小害虫の物理的防除が産地に活力「サンクリスタル乳剤」


作付け面積日本一のピーマン産地の

「安全・安心」をバックアップ

現地レポート 茨城県神栖市・JAしおさい管内


◆「食品」を作る意気込みを支える

JAしおさい・地図
 茨城県のJAしおさい管内はピーマンの作付け面積が日本一。太平洋と利根川にはさまれた温暖な気候と水はけのいい砂地を利用した周年栽培で、JAの農産物販売額40億円のうちピーマンは約8割の30億円強を占める。生産者部会のJAしおさい波崎青販部会は300人もの部会員がいる。
 10月から7月まで出荷する温室ピーマン、春から夏に出荷する春ピーマン(半促成栽培)、そして秋から冬に出荷する秋ピーマン(抑制栽培)と1年中、収穫・出荷される。
 出荷期間の長い温室ピーマンに代表されるように苗を定植して1回の収穫で生産が終わりになるわけではないため、安定した出荷のためには適切な防除が重要になる。
 しかし、出荷期間は長くてもピーマンの栽培回数としては1回とされることから、農薬の使用回数制限は厳しいものになる。そこで生産部会ではフェロモントラップや誘蛾灯、天敵昆虫などを導入した病害虫防除に取り組んできた。
 ただ、そうした防除方法でも実際には課題はあるという。70aを栽培する安藤照夫さんは「温室栽培と夏場には、やはり害虫の発生が問題になる。ヨトウ虫、スリップス、それから最近一番困っているのはコナジラミが増えることです」と話す。
 今年の夏も多くの生産者がハダニとコナジラミの発生に悩まされていた。そんなときJAから情報を得て試しに使ってみたのがサンクリスタル乳剤だった。使用回数制限もなく、収穫前日でも使える。500倍希釈で散布してみたところ「害虫の密度が落ちる」ことを実感したという。
 波崎営農経済センターの指導販売担当、小松浩司さんによると、地域全体としてとくにコナジラミの発生が新たな問題になっていて「かなり収量を減らした生産者も出ていた」という。何か防除に役立つ資材はないかとの相談は多く、この夏に導入したサンクリスタル乳剤のことを伝えると、試験をして散布したほ場と散布をしていないほ場で比較し、効果を確かめる生産者も出てきた。
 「病害虫はコナジラミのほか、スリップスやうどんこ病など種類は多くしかも抵抗性・耐性菌がある。そのうえ発生の仕方はその年によって違うため生産者にとっては大きな悩み。そんななかサンクリスタル乳剤には抑制効果があり、薬剤
JAしおさい波崎青販部会が作成した消費者向けのパネル
JAしおさい波崎青販部会が
作成した消費者向け
のパネル
耐性も出ないというお互いの情報交換もあって次第に使う人が増えてきました」。
 安藤さんは今後の使用法について「コナジラミが発生していない時期にはサンクリスタル乳剤を単剤でていねいに散布する。初期防除に活用したい。その後、発生した場合は、既存の殺虫剤と混用するのが効果的ではないか。使い勝手もいいです」と語る。
 部会では今年、8月から農薬の管理、収穫ハサミの洗浄、生産物の衛生的な管理など、いくつかの指標を定めたGAP(生産工程管理手法)に取り組み始めた。
 「私たちが作っているピーマンは食品であり、商品であるという意識を生産者みんなが持とうということです。安全・安心な農産物を、という消費者ニーズをしっかりつかむ責任があると考えています」。

JAと卸が連携し普及推進。小松さん(右)と及川(岩渕農薬)さん(左) 安藤さんのピーマンハウス
JAと卸が連携し普及推進。
小松さん(右)と及川(岩渕農薬)さん
安藤さんのピーマンハウス

◆ミニトマト「3ねん2くみ実のる君」の人気急上昇

テレビでも取り上げられたミニトマトの「3ねん2くみ実のる君」
テレビでも取り上げられた
ミニトマトの
「3ねん2くみ実のる君」

 同JAで最近、市場の評価を高めている農産物にミニトマトがある。春ピーマンの収穫の後作として7年ほど前に地域で取り組みが始まった。
 8人で始まった生産も今はJAしおさい波崎トマト部会に45人が集まっている。部会の技術部長の長谷川一夫さんは「糖度は常に8度以上。ただ甘いだけでなくほどよい酸味があるのが特徴です」と話す。
 同部会では、出荷するミニトマトを「ミニ=3・2」ともじり、さらに部会長の名前を付けて「3ねん2くみ実のる君」のネーミングで販売している。味の良さとユニークなネーミングからテレビ、ラジオでも取り上げられるようになった。
 産地の大黒柱はピーマンだが、夏から秋にかけての抑制ピーマンは産地も多くなったことから、生産者の経営にとってもこのミニトマトは新たな作物として期待が高い。ミニトマトの後には再びピーマンを作るが、最近ではピーマンとミニトマトの輪作で土壌病害の防止になることも分かってきたという。
 しかし、ミニトマトは通常のトマトに比べて登録農薬が少ない。温室ピーマンのような長期間の栽培ではないものの「栽培中期までは既存の農薬で防除できるが、それ以降、コナジラミなどが発生したときは薬剤が限られているため対応が難しい」と長谷川さんは話す。
 今年もコナジラミの発生が多かったが、JAや仲間の生産者からちょうど地域に導入されたサンクリスタル乳剤のことを知って散布した人は「かなり助けられたのではないか」と話す。
 長谷川さんはサンクリスタル乳剤について「既存の農薬が使用回数、希釈倍
「甘味とほどよい酸味」を強調する長谷川さん
「甘味とほどよい酸味」を強調する長谷川さん
数、散布時期など厳しく決められている。それを守って使用するのは当然だが、病害虫が発生したときの、最後の切り札も必要になる。それを残すためにサンクリスタル乳剤は活用できるのではないか」と話している。
 安全・安心な農産物づくりが当たり前になっている今、その信頼を獲得しさらに消費者ニーズに応えるおいしく新鮮な農産物を安定して提供しようと産地は努力している。消費者に支持される産地になるためにも適切な防除はますます重要になる。サンクリスタル乳剤への期待も高まるだろう。

「サンケイ化学・野村光幸普及推進本部部長に聞く」へ)

(2007.11.7)

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