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【シンジェンタ】
世界20カ所で新戦略をアピール シンジェンタ

 シンジェンタは2011年2月、種子の開発から防除、収穫、流通にいたるまで統合的に生産者を支援するための新たな戦略を策定した。この戦略の方向性をPRするとともに、社員の意識の統一も図ろうと、世界20カ所で内容を統一した「シンジェンタ・クロップ・デモンストレーション」を行っている。日本では7月10日からの3日間、東京に日本、韓国、台湾の農業関連メーカー、メディア、関係団体、研究者など計600人ほどを招いて開かれた。

◆より少ない資源で、より多く収穫

講演するステファン・ティッツェ社長 イベントのテーマは「Grow more from lessを実現する統合クロップ・ソリューション」。「より少ない資源で、より多くを収穫する」という、同社の目標をどう実現するかについて、9つの作物別にブースをつくり、その作物を取り巻く現状と課題、世界各国で現在進められているプロジェクトや研究開発について紹介した。
 シンジェンタ ジャパンのステファン・ティッツェ代表取締役社長は同社の新戦略を、「人口増大と農地不足、環境ストレスの増加、水資源の枯渇などさまざま要因により、世界的に食料需要が高まっている中、育種や農薬だけでなく、農機具やサービスも含めて、生産者ニーズを総合的に満たすことをめざしている」と解説。このイベントについては、「シンジェンタ社が世界各国で、農業に対して新たなアプローチをしており、『植物のちからを暮らしの中に』のキャッチフレーズをどう実践しているかについて、広く知ってもらいたい」と紹介した。

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講演するステファン・ティッツェ社長


◆「パートナーなしでは完成しない」

 イベントで紹介された9作物は、水稲、ヒマワリ(油糧種子)、サトウキビ、スペシャリティクロップ(ジャガイモ、果樹、コーヒー、棉など)、ローン&ガーデン、トウモロコシ、野菜、大豆、麦類だ。
 村田興文シンジェンタ ジャパン会長は新戦略を「パートナーがいなければ完成しない」と評した通り、各発表ともに、生産者や地元の農機メーカーなどと協同開発で収量増、コスト削減などを実現するプロジェクトを進めている事例が目立った。
 例えば、水稲では、インドで小規模農家を支援するため、播種から移植までをトータルでサポートするプログラム「Tegra」を実践している。シンジェンタ社が地元の小売業者や移植の専門家などとともに、より効率的な栽培方法を生産者に提案し、高品質のコメをより多く収穫することをめざしている。
 サトウキビでは、ブラジルで「Plene」プログラムを展開中だ。サトウキビの種茎を2cmにカットし、薬剤を塗布し、ほ場に等間隔で植えていく機械とシステムを農機具メーカーと共同で開発。15%の生産コスト削減を実現している。
 このほか、日本で進められているプロジェクトとしては、糖分の高い高品質トマトの開発や、ゴルフ場経営者と共同で女性ゴルファーを増やすためにゴルフ場の環境美化をめざすプロジェクトなどが紹介された。

新商品や薬剤の成果を紹介するシンジェンタ ジャパン社員(左から)「野菜」ブース、「サトウキビ」ブース

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新商品や薬剤の成果を紹介するシンジェンタ ジャパン社員(左から)「野菜」ブース、「サトウキビ」ブース


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