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【土づくり推進フォーラム】
生産性向上に貢献する土づくりの最新資材  土づくり推進フォーラム

 農産物の生産性向上に役立つ最新技術や土壌改良資材・肥料などを紹介する土づくり推進フォーラム(事務局:日本土壌協会)は7月25日、東京で講演会を開き、全国から250人が集まった。今回は、東日本大震災からの復興に関連する発表が2件、農作物の生産性向上にかかわる発表が2件の計4件の発表があった。このうち、後者2件の発表を中心にその内容を紹介する。

◆新開発のセシウム吸着材「ナノプルシアンブルー」

nous1207300901.jpg 震災からの復興に関連した発表を行ったのは、松本聰・東大名誉教授(日本土壌協会会長)と、吉野石膏(株)の三浦真一氏だ。
 松本氏は福島県など放射性物質によって汚染された土壌の汚染について発表した。そのうちの一つとして、最近開発され、量産化に成功した新たな吸着資材「ナノプルシアンブルー」を紹介。まだ開発されたばかりなので1kgあたり2000円と高価だが、セシウムの安定的な吸着材として今後の普及に期待したいという。
 三浦氏は、塩害農地の除塩対策資材として、主に土壌改良資材として同社が系統を通じて受注販売している半水石膏(CaSO4・1/2H2O)を紹介。石膏は土壌中のナトリウム飽和度を低下させるとともに、塩害によって単粒化した土壌を団粒化させる効果があり、震災の津波被害地だけでなく、「高潮被害やハウス内のナトリウム障害対策などにも利用してほしい」と述べた。

(写真)
松本聰・東大名誉教授(日本土壌協会会長)


イチゴ炭疽病を抑制する機能性堆肥 「いちごいちえ」
富士見工業(株)有機資源開発研究所 金田雄二 氏

nous1207300904.jpg JA全農を通じて昨年全国発売された「いちごいちえ」は、放線菌が入った機能性堆肥だ。
 イチゴ炭疽病は雨の水はねや飛沫、土壌残さ、空気伝染などで感染するため、もっとも防除が難しい病害の一つで、苗床、親株、定植苗など、いずれの段階でも発生し、全国各地で被害が報告されている。全体に占める発生株数の確率は約1割程度だが、潜在的な感染株は2つに1つと言われており、全国累計で約170億円の減産被害が報告されている。
 その防除は、これまで殺菌剤のローテーション散布などが唯一の手段だったが、必ずしも効果的な対策とは言えなかった。
 「いちごいちえ」は、イチゴ炭疽病の病原菌を直接殺菌する効果はないが、病原菌の活性を抑制する効果のある土壌中放線菌を増殖させた堆肥を原料としているので、土壌や定植苗の健全な育成をしながら、同時に病原菌の障害発生を抑えることができる。病害の発生が抑えられるため、農薬の使用回数を減らすことができ、生産コストの削減にもつながる。
 静岡での実証試験では、堆肥のみのほ場では病害が拡大したが、「いちごいちえ」のほ場ではまったく発生がなかった。
 また、殺菌剤との併用でも影響が出ないことが確認されており、汎用性が高いのも魅力の一つだ。


竹粉を使った肥料、生産コスト減で事業化が可能に
NPO法人グリーンネットワーク理事長 佐野孝志 氏

nous1207300903.jpg 九州から西日本を中心に竹の増殖と被害が広がっており、適切な竹林整備が求められている。
 この発表はこうした竹林整備を進めるとともに、その竹で地域に新規事業を起こすことができないか、という提案。「竹炭、バイオエタノールなどは生産コストが高くてとてもできない。唯一、低コストで製品化できるのが竹発酵微粉末だ」という。
 竹発酵微粉末とは竹を平均粒度400μほどの大きさに破砕した多孔形質の粉末で、発酵させることによって、竹でありながら乳酸菌やアミノ酸を多く含有するようになるため、さまざまな用途で使える資材だ。とくに堆肥と混ぜることで、より効率的な肥料をつくることができ、これを混ぜた肥料を施用したほ場では、堆肥のみを施用した場合と比べて倍、有機資材を使ったほ場と比べても約1.5倍の微生物活性値を示した、という実験結果もある。
 この竹粉はすでに5年ほど前から、家畜の飼料添加物や土壌改良資材として数社から商品化され、高い評価を得ているが、竹粉を作る機械の作業効率が悪く販売価格が高いため、一般的にはあまり普及していない。
 今回の発表は、こうした生産コストの課題を克服した新たな竹粉製造機(MBP-I型)によって、4mの孟宗竹ならば、従来機では8〜15分ほどかかっていたが、2分半〜5分ほどでカットすることができ、生産コストと効率が大幅に削減され、現在売られている各竹粉商品の価格のおよそ半額となるkgあたり200円で販売しても、十分収益をあげることが可能になるという。
 すでに栃木県茂木町では、町営の堆肥センターにこの機械を導入し1日約1tの竹粉を生産。地域内に竹粉を普及しているという。
 佐野氏は「竹林整備に役立ち、土づくりに効果を発揮し、ビジネス化も可能。竹の伐採から生産・販売、そして利用まで含めて、地域での6次産業化の一例として検討してはどうか」と提案した。

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