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【クミアイ化学、イハラケミカル工業】
独創的な農薬開発めざし 30年間の業績まとめる ケイ・アイ研究所

 クミアイ化学とイハラケミカル工業が設立した(株)ケイ・アイ研究所は今春、創立30周年を迎えた。それを記念し、これまでの業績をまとめた論文集を発行した。

30周年記念論文集 昭和44年、クミアイ化学は除草剤「サターン剤」を上市。国内水田面積の6割を占める超大型商品となったが、それ以降、大型商品の開発が進まなかったことに懸念を抱いたクミアイ化学とイハラケミカル工業の両社が、研究開発の強化と新たな独創的な農薬の開発をめざし、資本金15億円を出資して設立したのが(株)ケイ・アイ研究所だった。
 昭和55年12月に設立し、57年1月から現在の静岡県磐田市に研究所を構えて研究業務をスタート。今春、創立30周年を迎えた。
 研究所では59年にピリミジンカルボキシ(PC)除草剤を発見したのをきっかけに除草剤3剤を立て続けに開発上市。さらに殺菌剤メパニピリム(商品名「フルピカ」など)、植物成長剤プロヘキサジオンCa(同「ビビフル」など)、除草剤「ノミニー」、同「ステイプル」など30年間で計11の新規農薬を開発。昨年は水稲用除草剤ピリミスルファン(商品名「ベストパートナー」、「ヤイバ」、「マイウェイ」など)、畑作用除草剤ピロキサスルホンを上市し、さらに今後も園芸用殺菌剤ピリベンカルブ、水稲用除草剤フェノキサスルホン、など次代を担う剤の上市が予定されている。
 本文集では、こうした過去の研究成果の論文を34本収録したほか、近年発表された5剤の開発の経緯を紹介している。
 イハラケミカル工業、ケイ・アイ研究所の望月信彦・代表取締役社長は、「産みの苦しみを多く味わった」とこれまでを振り返るとともに、「今では研究活動も順調に進み種々の系統が創出された。これからも世界の安心安全な食料生産に貢献していきたい」と抱負を述べている。
 また、クミアイ化学の石原英助・代表取締役社長も「創立30周年を契機に、Black Boxの解明とマーケットイン志向という創製研究の理念に今一度立ち返り、ケイ・アイ研究所、イハラケミカル、クミアイ化学が三位一体となり、切磋琢磨しながら社会に貢献する新製品を継続的に送り出していきたい」とコメントを寄せている。
 論集の問い合わせはケイ・アイ研究所業務管理室(TEL:0538-58-0141)まで。

 


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