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【アサヒグループホールディングス、農研機構】
砂糖収量の大幅増が可能に 生産性高める世界初の技術開発  アサヒグループと農研機構

 アサヒグループホールディングスと農研機構は、砂糖とエタノールの「逆転生産プロセス」を開発したと10月9日発表した。

 この新技術を用いると、バイオエタノール生産による食料とエネルギーの同時増産、さらには需要に応じた生産量・比率の調節ができるようになる。
 サトウキビの中には砂糖の原料になるショ糖と、ならない還元糖がある。高バイオマス量サトウキビは多収だが、搾汁の中に還元糖がたくさん含まれることから、ショ糖の多くが結晶化されず、サトウの回収率が悪い。
 また経済状況に応じた砂糖とエタノールの生産比率の調節ができない課題もあった。
 「逆転生産プロセス」では、還元糖だけを選択的にエタノールに変換する酵母(ショ糖非資化性酵母)を用いて還元糖を除去しながらエタノールを生産。その後、ショ糖を結晶化させる。
 サトウキビの搾汁を使った実験では砂糖収率の大幅な向上を実証し、特に高バイオマス量サトウキビを使った場合と同じく搾汁に還元糖を多く含む条件下では従来比4倍の収率となった。
 アサヒビールと農研機構の九州沖縄農業研究センターは、これまで品種改良による高バイオマス量サトウキビの開発と、それを用いた効率的な砂糖・エタノール複合生産プロセスの開発を進めてきた。
 その1つの結果が世界で初めての「逆転生産プロセス」開発となった。今後は、同プロセスの技術的な検証を実施し、2015年をめどに実用化を視野に入れ、技術を高めていくことを検討する。

〈還元糖〉
還元性を有する糖の総称でぶどう糖、果糖などが該当。還元糖はショ糖の結晶化を阻害したりするので、従来の製糖では、その比率の少ないものが良質な搾汁とされている。

砂糖・エタノール複合生産プロセス

 

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