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業務用・加工用野菜(4)

JAに「業務用・加工用専門部会」を
千葉青果(株)

 業務用・加工用野菜を生産・流通させるためには、産地と実需者との間をコーディネートする「中間業者」の役割が大きいといわれている。実際に多くのコーディネートを行ってきている千葉市中央卸売市場の青果卸会社・千葉青果(株)の執行役員である渡辺浩明野菜部長・営業開発室長に取材した。

◆生産者からも実需者からも評価高い鉄コン

葉市中央卸売市場 このシリーズの2回目で鉄コンテナー(鉄コン)を使ったキャベツ産地・JA愛知みなみ常春部会の話を紹介した。実はこの鉄コンの仕掛人が、千葉青果(株)の渡辺部長だった。
 初めは業務用の大玉キャベツが段ボールにうまく入らないので、カボチャなどを運ぶスチールコンテナーを使ったが、もっと効率よくするためにはと鉄コンが考え出されたのだという。それは平成10年ごろだという。
 その後、北海道だけではなく、千葉や茨城の大根などで使われるようになり、さらにキャベツ大産地のJA愛知みなみに持ち込んだということだ。
 「出荷で大変なのは収穫・梱包などの労力だから、それを集約して、1日畑1枚とか2枚できるようにするためには、鉄コンしかない」。段ボールでもできるが、畑に持ち込むと風が強いときには飛ばされるし、紙だから水気に弱いなど弱点がある。そういう心配がないということで生産者から喜ばれている。そして実需者側でも、いちいち段ボールを開梱する手間がかからないことや、使用後の段ボールの始末がないなど、作業効率や後処理が楽だと評判が良いという。


◆安定した取扱量を安定した価格で安定的に供給する

千葉青果(株) 渡辺部長は、キャベツだけではなく、大根・ニンジン・タマネギなど多くの品目で、業務用加工用のコーディネートをしてきた経験から、業務用加工用産地の条件として次のような要件が必要だという。
 業務用・加工用野菜は、契約で決めた期間の間に、定額・定量で出荷できなければいけないから、それなりの面積と物量が必要。そしてほ場が1カ所だと風とか不慮の事故が起こったときのリスク対応ができにくいので、広域のほ場があるなど、「ある程度の規模をもっていないと対応できない」という。
 農水省が野菜を原材料として使っている食品製造業者や外食産業者にアンケート調査した結果をみると、国産野菜の使用量を増やす意向を80%の業者が持っているが、国産を増やす条件として9割の業者があげたのが、次の3点だった。
1.中・長期的に安定した取扱量が確保できること。
2.中・長期的に安定した価格で取り引きできること。
3.年間を通して安定的に供給されること。
 これをみると、渡辺部長の言葉が裏付けられているといえる。


◆365日平穏無事ではない

業務用・加工用野菜? 市場からみていると、かつては、規格外や市場で売れなかった品物の売り先が加工業者だったが、最近は「週に80トン使っているうちの25トンはこのくらいの価格で契約に」という方向になってきているという。
 つまり、業務用・加工用は長期的な契約をする取り引きになったということだ。品目としては、キャベツ、大根、ニンジン、ジャガイモ、タマネギなどの基礎野菜から最近はコネギとか軟弱野菜などにも広がってきている。
 実需者は長期的に安定した価格で安定した量が欲しいから、供給期間が短いものの場合は、リレー式に産地を切り替えていくことになる。しかし「1年365日平穏で終わることはない」。気象災害や火山の噴火や地震といった天災などが起きる。それで産地が被害を受け出荷できなくなることもある。
 これは「不可抗力」といえるが、そのときに、産地、千葉青果などの荷受業者や中間業者、そして実需者がそれぞれどう対応するのかを、ある程度事前に取り決めをしておくが、それでもカバーしきれない事態になることがある。
 また、その産地が大きな産地だと、そこからの出荷がなくなれば市況が高くなる可能性もある。そのとき価格はどうするかなど、さまざまな問題が起きる可能性がある。
 このような「不可抗力」については、おおよそをパターン化し、文書化しておくが、最終的には「お互いに善意をもって解決する」ことにしているという。


◆不可抗力には「風評被害」もある

 「不可抗力」のなかには「風評被害」とか「倒産」もあると渡辺部長はいう。コロッケは冷凍食品やスーパーの惣菜売り場の売れ筋商品だが、ミートホープ事件のあと、冷凍のコロッケが売れなくなっただけではなく、スーパーのフードコートとか惣菜売り場のコロッケも売れなくなった。
 千葉青果は、ある業者と1月200トンジャガイモを取り引きしていたが、コロッケが売れず7割になってしまった。産地にも痛手だが、そのときは「これは風評被害で不可抗力だ」と認めたが、次の年にその産地は契約をしなかったという。
 業務用・加工用野菜は、契約で安定的な取り引きができると同時に、そうしたリスクもあるということを産地側もしっかり認識しておく必要がある。


◆スーパーよりも厳しい品質基準

 最後に渡辺部長は産地に対して「基本的に業務用・加工用は品質がいいものでなければだめ」だということを強調した。「形状(規格)は甘くしても品質はよいもの。スーパーで売るものより品質的な基準が厳しい場合が多い」からだ。
 だから産地が、業務用・加工用需要に合うものをつくる気持ちがないとうまくいかないし、そういう「認識がないと基本的な契約の継続は不可能になる」とも。
 規格は、機械で加工するすることが多いので、機械に入ることが条件となる。ものによっては、太いのはいいが曲がりはダメとかということになる。だから、最初から加工の需要に合った規格あわせが大事になる。


◆複数契約先でムダをなくす

 しかし、「同じ作物でも、太いのはこういう契約。細いのはここ。1回手を入れてカットしなければいけないのはこういう契約、大根おろしなら形状は関係ない」とか、複数の契約をもっていれば幅が広がり、無駄がなくなる。
 そして業務用・加工用に取り組むJAとしては、これに取り組む生産者を募り、通常の生産部会とは別に「○○加工部会」をつくる能力がなければ難しいのではないかと指摘する。JA愛知みなみは大きなキャベツ産地だが、20人で鉄コン部会(常春部会)をつくったようにだ。

(2009.11.09)