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【千葉大学教授】
小林 正弥 氏

 「市場原理主義の行き着く先」と題した当紙のインタビュー企画に登場。
 米国ハーバード大の政治哲学者、マイケル・サンデル教授が学生との対話で進める講義「正義」は「ハーバード白熱教室」として8月には日本にも来日し東大で講義。今、なぜ日米で注目を集めているのか? NHKの同番組で解説も務めた氏に聞いた。

 サンデル教授はとくに市場主義が、社会の各領域にどんどん広がっていて、さまざまな価値や理念を押しつぶしていくことに批判的です。米国は市場主義のもっとも徹底している国ですから、福祉や教育などの領域に市場主義が入っていった。それによって従来もっと人びとが共有できたもの、公共的に利用できたものがなくなっていることを非常に問題視しています。
 その本質的な論点のひとつはモラルの問題です。
 彼の言葉では「善」です。「何が善いことなのか? 何が善く生きることなのか?」といった問題を考えることなしには「正義」を考えることはできない、というのです。たとえば教育においては善く生きるための人格形成が大事ですが、教育の場に市場主義が入り込むと、それができなくなるわけです・・・。

PROFILE
(こばやし・まさや)
1963年生まれ。東大法学部助手を経て、2003年千葉大法経学部教授。04年から同大人文社会科学研究科・公共研究センター共同代表、06年から地球環境福祉研究センター長。著書『政治的恩顧主義論―日本政治研究序説』(東大出版会)『友愛革命は可能か?公共哲学から考える』(平凡社新書、本年3月15日刊)ほか。

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(2010.10.19)