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【JA帯広かわにし 代表理事組合長】
有塚 利宣 氏

 「十勝は1つ」。有塚組合長は力強く言った。北海道十勝地区の24JAは、合併という選択肢を採らず、JAネットワーク十勝という形で連携している。JA組織は違えど、財務や電算などの限定された機能を合併して組織基盤の強化に取り組んでいる。

 有塚組合長はJAを「地域農業に携わる組合員の生活と経営を守る砦だ」という。
 十勝と一口に言っても広大だ。海岸部、山岳地帯、都市近郊、平野部ではそれぞれ気象も特性も違うので、一括りに語ることはできない。「十勝には開拓して130年の歴史があり、それぞれ地域特性を活かした農業を展開して組合員を守ってきた。だから営農指導を合併してもうまくいかない」というのが、JA合併を選択しない理由だ。しかし営農事業は統合できなくても、そのほかで合併・提携できる部分は統合すれば、財務体質を改善して地域に貢献し、農畜産物を含めて流通コストの削減を実現できる。
 そのネットワーク化を指して、「究極的には、誤解を受けるかもしれないけど、十勝の農協は1つ」だと語った。
 今の農業・農村・農協を取り巻く環境については、「昭和の初めからいる人間だから、今はあらゆる困難を乗り越えてきたという幸せを感じている」と述べる。「昔は統制物資だったから、農業やっても食べものがなく、お金も肥料も農薬も物資もなかった。農業はそういう時代にすごい壁を乗り越えてきた。だから、また高い壁がそびえ立っても乗り越えられると思う」と期待を抱く。そのためにも、「若い人たちと想いを共有したい」というのが有塚組合長の今の願いだ。

(JAは地域の生命線【拡大版】 北海道「食料自給率1100% 日本の食料庫からの挑戦」

(2010.10.29)