農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

利用権設定面積、大幅に増える

−農水省調査 (4/4)

「戦後農政の大転換」といわれる水田・畑作経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策を改称)が、担い手への農地集積を大幅に進めていることが4月4日公表の農水省調査で分かった。 18年1月から12月までの農地の「利用権設定面積」は16万2000haで17年より4万1000ha増えた。16年と17年ではわずか1000haの増加にとどまっていたことからすると、18年では大幅に伸びたことになる。増加率は33.4%。 地域別にみると北海道の前年比9670ha増を筆頭に、九州(同7372ha)、関東(同6153ha)、北陸(同5437ha)、東北(同3025ha)で伸びが大きく5地域計で全国の増加面積の8割を...

「戦後農政の大転換」といわれる水田・畑作経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策を改称)が、担い手への農地集積を大幅に進めていることが4月4日公表の農水省調査で分かった。
18年1月から12月までの農地の「利用権設定面積」は16万2000haで17年より4万1000ha増えた。16年と17年ではわずか1000haの増加にとどまっていたことからすると、18年では大幅に伸びたことになる。増加率は33.4%。
地域別にみると北海道の前年比9670ha増を筆頭に、九州(同7372ha)、関東(同6153ha)、北陸(同5437ha)、東北(同3025ha)で伸びが大きく5地域計で全国の増加面積の8割を占める。増加率では関東で64%増、北陸で54%増などが高い。
一方、水田・畑作経営所得安定対策の19年産申請経営体の面積は全国で112.2万ha。このうち利用権設定面積が大きく増えた北海道をはじめとする5地域の合計は、102.4万ヘクタールと9割以上を占めることから、水田・畑作経営所得安定対策の導入にともなって農地利用集積が進んだ、と農水省は分析している。
同対策では加入に必要な面積要件(都府県原則4ha、北海道同10ha)を設定しているが、経営規模別の動向をみると、都府県では借受面積から貸付面積を差し引いた数値がプラスに転じる分岐点が2ha経営層以上で、経営規模の大きな経営体に農地利用が集積している傾向が示された。
3ha以上層でのプラス面積は4万8000haと前年より1万5000ha増加、このうち7.5ha以上層では前年より1万ha増の2万6000haとなっている。
また、北海道では7.5ha層を分岐点にプラスに転じ、30ha以上層では昨年より5000ha増えて2万2000haの農地利用が集積した。こうした傾向からも水田・畑作経営所得安定対策の導入が「利用権設定の動きを大幅に加速した効果・影響がみられる」としている。
新対策を機に集落営農の組織化も各地で進められているが、任意組織では利用権設定ができないことから、任意組織による農地利用集積の動向は調査結果に反映されていない。

農地の権利移動面積の推移・表

(2008.04.07)