農政・農協ニュース

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重イオンビームで新品種「白いナデシコ」を作成
初の白花「オリビア ピュアレホワイト」を商品化

−理研・北興化学

(独)理化学研究所(野依良治理事長、以下「理研」)はこのほど、仁科加速器研究センターの理研リングサイクロトロンで発生する重イオンビーム(注1)を用いて、従来の育種法では10年近くかかっていた育種年限を、わずか3年というわい性ナデシコの花色改良に成功し、白花の新品種を作出した。 仁科加速器研究センター生物照射チームの阿部知子チームリーダーと北興化学工業(株)(丸山孝雄社長、本社:東京都中央区、以下「北興化学」)開発研究所バイオサイエンス研究部植物バイオグループの共同研究の成果。 重イオンビームを使った突然変異誘発法は、従来の品種改良手法に比べ、植物に障害を与えない処理条件での遺伝子変異率が高い...

オリビア ピュアレホワイトと元品種の比較

(独)理化学研究所(野依良治理事長、以下「理研」)はこのほど、仁科加速器研究センターの理研リングサイクロトロンで発生する重イオンビーム(注1)を用いて、従来の育種法では10年近くかかっていた育種年限を、わずか3年というわい性ナデシコの花色改良に成功し、白花の新品種を作出した。
仁科加速器研究センター生物照射チームの阿部知子チームリーダーと北興化学工業(株)(丸山孝雄社長、本社:東京都中央区、以下「北興化学」)開発研究所バイオサイエンス研究部植物バイオグループの共同研究の成果。
重イオンビームを使った突然変異誘発法は、従来の品種改良手法に比べ、植物に障害を与えない処理条件での遺伝子変異率が高いとともに、傷つく遺伝子数が少ないことから、変異の固定にかかる期間が短いという特性をもっている。
共同研究グループは、北興化学がナデシコ育種家と共同開発したわい性ナデシコ「オリビア」シリーズの「オリビア ホワイト」(商品名)の腋芽(えきが・注2)に理研リングサイクロトロンで炭素オインビームを照射し、花色が単色で白色の変異系統を選抜した。
そして、変異系統の形質の安定性を確認した上で「オリビア ピュアレホワイト」と命名し、昨年末、農水省に品種登録出願を行っている。特徴は元品種の特性を受け継いだまま、草丈が約10cmと極めて低く、分枝性に優れ、さらに四季咲き性(注3)であること。
3月から、カネコ種苗(株)(麻生潔社長、本社:群馬県前橋市)と提携し販売されている。
(注1)重イオンビーム 原子から電子をはぎ取って作られたイオンの中で、ヘリウムイオンより重いイオンを重イオンと呼んでいる。加速器を用いて高速に加速したものが重イオンビーム。
(注2)腋芽(えきが) 茎の節にあって、やがて伸長して側芽となるもの。
(注3)四季咲き性 1つの季節のみではなく、四季にわたって開花する性質。この品種は、開花に対して日長の影響を受けない中性植物で、暑さや寒さに耐えられれば、いつでも開花できる。

(2008.04.18)