農政・農協ニュース

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水生昆虫を使った農薬の試験法開発
マニュアルの活用呼びかけ

−農業環境技術研究所

「コガタシマトビケラ1齢幼虫を用いた農薬の急性 毒性試験法マニュアル」 (表紙の図は、コガタシマトビケラ1齢幼虫の水流刺激に対する伸身開脚反応) 水稲用の農薬の影響評価に水生昆虫のコガタシマトビケラを使う急性毒性試験法を(独)農業環境技術研究所が開発。このほどマニュアルを公開した。 農薬登録制度ではOECD(経済協力開発機構)のテストガイドラインに準拠する3種の生物種(魚類、ミジンコ類、緑藻類)が試験の対象になっている。 だがミジンコ類は湖沼に生息、河川の汚染が懸念される水稲用農薬の毒性試験に最適な生物とはいえない。 農環研は日本の河川生態系の中で藻類を食べる代表的な生物としてコガタシマトビ...

「コガタシマトビケラ1齢幼虫を用いた農薬の急性毒性試験法マニュアル」の表紙
「コガタシマトビケラ1齢幼虫を用いた農薬の急性
毒性試験法マニュアル」
(表紙の図は、コガタシマトビケラ1齢幼虫の水流刺激に対する伸身開脚反応)

水稲用の農薬の影響評価に水生昆虫のコガタシマトビケラを使う急性毒性試験法を(独)農業環境技術研究所が開発。このほどマニュアルを公開した。
農薬登録制度ではOECD(経済協力開発機構)のテストガイドラインに準拠する3種の生物種(魚類、ミジンコ類、緑藻類)が試験の対象になっている。
だがミジンコ類は湖沼に生息、河川の汚染が懸念される水稲用農薬の毒性試験に最適な生物とはいえない。
農環研は日本の河川生態系の中で藻類を食べる代表的な生物としてコガタシマトビケラに着目。その1齢幼虫を用いた試験法を開発した。繁殖させないと試験に使いにくいため飼育法の研究成果もまとめた。
現行の「農薬の影響評価制度にこの昆虫を追加試験生物種として組み入れることによって環境に与える農薬の影響をいっそう低減できる」ものと農環研では期待している。
マニュアルは試験法と飼育法の2冊を作り、各試験機関などに活用を呼びかけた。ホームページでも公開している。
その1部を紹介すると「ミジンコ類に比べ1齢幼虫の急性毒性は、殺虫剤によって千倍から10万倍も高い…この結果からコガタシマトビケラは河川生態系に対する農薬の影響を評価する際に有用な試験生物である…」など。 問い合わせは029(838)8191。

(2008.04.18)