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米国産牛肉に脊柱混入〜出荷工場からの輸入停止

−厚労省、農水省 (4/23)

 厚労省と農水省は23日、昨年8月に輸入し食品加工業者に転売された米国産冷凍牛肉700箱(約17t)のなかに、米国農務省発行の衛生証明書に記載されていない特定危険部位の脊柱(背骨)が含まれる1箱が混入していたと発表した。輸入した伊藤忠商事(株)からの報告で分かった。700箱はショートプレート(バラ肉)として輸入されたが、このなかに背骨を含むショートロイン(腰部の肉)が1箱混じっていたという。出荷施設は、ナショナルビーフ社ブリーリー工場(カリフォルニア州)。見つかったのは(株)吉野家の加工工場。同社によれば、昨年8月に買い受けたブリーリー工場製の段ボール箱を4月21日に開梱したところ、目視確認で...

 厚労省と農水省は23日、昨年8月に輸入し食品加工業者に転売された米国産冷凍牛肉700箱(約17t)のなかに、米国農務省発行の衛生証明書に記載されていない特定危険部位の脊柱(背骨)が含まれる1箱が混入していたと発表した。輸入した伊藤忠商事(株)からの報告で分かった。700箱はショートプレート(バラ肉)として輸入されたが、このなかに背骨を含むショートロイン(腰部の肉)が1箱混じっていたという。出荷施設は、ナショナルビーフ社ブリーリー工場(カリフォルニア州)。見つかったのは(株)吉野家の加工工場。同社によれば、昨年8月に買い受けたブリーリー工場製の段ボール箱を4月21日に開梱したところ、目視確認で発見し、関係機関に届け出たという。「実際の商品の原料に混入することはないので、安心して弊社牛丼を食べてください」と吉野屋のお客様相談室は話している。
 厚労省と農水省は同日、当該工場からの輸入手続きを一時停止し、米国農務省に対して詳細な調査結果を報告するよう要請した。在京米国大使館からは、当該貨物は日本向けでないものであり、詳細について調査中と報告があったという。また、関係自治体の調査では、それ以外の貨物には特段の問題はなかったという。
 農水省は、米国政府から詳細な調査結果の報告を受けるまで、当該施設からの輸入手続きの停止を続ける。また、輸入業者に対し貨物の倉庫搬入時と国内流通段階での検品の徹底を再度指導する方針。現在問題が発生していない施設から輸入される米国産牛肉については、輸入実績に応じて動物検疫所での輸入時検査の抽出率を緩めているが、当面抽出率を上げて検査を行う。
 危険部位を含んだ牛肉が見つかったのは、平成18年7月の米国産牛肉の輸入再々開以来初めて。

◆抽出率6倍へ引き上げ

 農水省の白須事務次官は、24日の定例記者会見で質問に答え「輸入業者が検品し、問題があれば行政に通報するという現在のシステムが今回機能したので、全箱検査をする必要はないと考える。当面は安全性を重視し、24日から抽出率を約6倍に引き上げた」と話した。また、米国からの要請による牛の月齢引き上げ交渉については、あくまでも科学的知見にもとづいてすすめるので、「見直しへの影響があるとはまったく考えていない」とした。

(2008.04.25)