農政・農協ニュース

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生産者と消費者の懸け橋の新たな拠点 平塚の営農・技術センターが竣工式  JA全農

 JA全農が神奈川県・平塚市に新設していた「営農・技術センター」は5月27日、新しい研究棟が完成し竣工披露式を行った。協賛メーカーやJAグループ関係者など200人以上が参加した。

竣工式での鏡割り(左から)宮下弘JA全農理事長、石井清JA全農神奈川県本部会長、永田正利JA全農会長、赤松光コープネット事業連合理事長、大藏律子平塚市長(写真)
竣工式での鏡割り(左から)宮下弘JA全農理事長、石井清JA全農神奈川県本部会長、永田正利JA全農会長、赤松光コープネット事業連合理事長、大藏律子平塚市長

◆JAグループ販売力強化の拠点

新しいJA全農営農・技術センター本館 JA全農営農・技術センターは農業基本法が制定された翌年の昭和37(1962)年に設立された。農業技術開発や品質管理などJAグループ経済事業の技術的側面を支えるとともに、人づくりの拠点としての役割もあり、のべ13万人以上の人材を育成してきた。
 このたび、施設の老朽化などにともない、旧センターの道を挟んだ反対側に新センターを建設した。敷地面積は2万7440平方mで、研究棟、宿泊棟のほか田畑や温室などのほ場もある。
 竣工式でJA全農の永田正利経営管理委員会会長は、「今年度からの3か年計画で最大の目標に位置づけた国産農畜産物の販売力強化や、消費者への安定供給のため、センターの役割は今まで以上に大きい。組合員や地域に喜んでもらえるセンターになってほしい」と期待を寄せた。
 来賓でJA全農神奈川県本部の石井清運営委員会会長は「これまでも技術開発、人材研修の場として活用させてもらった。農産物の安心・安全・安定供給の要として、消費者にはセンターでの研究や検査などを知ってもらいたい」とあいさつ。コープネット事業連合の赤松光理事長は「所得が下がり続けるなか国産品はなかなか買ってくれなくなり、JA全農の技術商品開発や販売力強化には非常に期待している。このセンターが民間や行政の研究とも連携するハブ機能を発揮してほしい」と、さらなる発展を期待した。

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新しいJA全農営農・技術センター本館


◆生産から販売までの懸け橋機能を発揮

トマト一段密植養液栽培(旧センターほ場で) 竣工式ではJA全農の成清一臣専務が「人づくりや流通、環境なども含めて、生産から販売までをつなぐ懸け橋としての機能をさらに強化した」と、センターの概要を述べた。
 特に今、力を入れている研究として「トマトの一段密植養液栽培」と「地下水制御システムFOEAS(フォアス)」を紹介した。
 トマトの一段密植養液栽培は、通常10aあたり2000株ほどを栽培し年2回収穫するものを、1万株を密植し年4回転させる技術だ。慣行栽培での収量約13tの倍以上となる30tが可能であり、また栽培ベッドの高設化で作業が軽減できる。
 FOEASは、従来の暗渠排水機能を強化するとともに地下水位を自在に調節できる低コストの地下灌漑システムだ。畑作の湿害や干ばつを防ぎ、田畑転換の際の連作障害や病害虫の抑制にも効果を発揮する。国や県などの研究機関での試験では、水稲で平均1.12倍、麦・大豆で平均1.4倍以上の増収効果があった。(FOEASについて詳しくは2009.11.24付紙面から
地下水制御システムFOEAS(フォアス)の仕組み図
 この他にも、昨年7月に販売を開始したイネを原料にしたバイオエタノール混合の「グリーンガソリン」や新たに一般家庭のエネルギー総合提案事業などをめざす「新エネルギー事業推進室」をもつ燃料研究室、品質管理を徹底しJAグループ全体の販売事業を支援する残留農薬研究室など、さまざまな技術開発室を設けている。

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上:トマト一段密植養液栽培(旧センターほ場で)
下:地下水制御システムFOEAS(フォアス)の仕組み図


【新営農・技術センター概要】
〒254-0016 神奈川県平塚市東八幡4-18-1
TEL:0463-22-1023(管理・講習部)
FAX:0463-23-3924
平塚駅北口から車で10〜15分、厚木インターから20〜30分。
総面積 3万7112平方m(場外ほ場9672含む)、センター内敷地面積 2万7440平方m(本館6階建1万685平方m、宿泊棟4階建(156人収容)のべ2888平方m、水田485平方m、畑2890平方m、温室4460平方m、など)

(2010.05.28)