農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

【新シリーズ】クローズアップ・物流 物流から経済を読む―第1回 荷動きから景気を予測

 「物流」は、生産・出荷・流通・消費などの経済活動を行うときに必ず発生するものだ。農畜産物でも物流を抜きにして消費者の手に届けることはできない。「物流」は生産から消費まで、あるいは投資まで含めた経済活動を支えているものだといえるだろう。そうした「物流」の視点にたって経済を見てみると、いままでとはまた違った世界が見えてくるのではないかと考え、(株)日通総合研究所経済研究部の佐藤信洋研究主査にご協力をいただきこのシリーズは企画された。
 第1回は、貨物の荷動きから景気の動向を予測するという最近注目を集めている日通総研の分析方法に焦点をあてた。

国内貨物の動向から
景気の方向性が見える


◆景気の転換点を知らしめる指標

「荷動きの実績と見通しの『荷動き指数』」
 まず図1をみて欲しい。これは日通総研が独自に行っている調査に基づく「荷動きの実績と見通しの『荷動き指数』」をグラフ化したものだ(ただし2010年2期の実績は「見込み」の指数)。
 この調査は四半期(3、6、9、12月)ごとに、その期の「荷動き」の実績と次期の見通しを調査している。例えば、07年4期(10―12月)の調査では、実績は前年対比+3だが、次期(08年1―3月)は△2の見通しとなっている。グラフを見ると「実績」と「見通し」がほぼ同じような推移をしていることが分かる。つまり、この「荷動き指数」の「見通し」に近い状況で国内貨物輸送量が動いている。
写真:(社)全日空トラック協会より しかもこのグラフは「期によって多少の相違はあるが、実質国内総支出の動きと連動する傾向にある」ことが分かる。
 国内の景気は、内閣府も後に認めたように、景気の山は07年10月に「最後の山を形成し、以降急落していく」。そして「リーマンショック」を経て、09年3月を「谷」に上昇に転じていく。そうした景気の動向をこの「荷動き指数」のグラフがみごとに描いている。しかも、他のさまざまな景気指標より早くにだ。そういう意味で、これは景気の転換点を知らしめる指標だともいえる。
 佐藤さんはこの指数は「景気の水準を示すものではなく」「景気の方向性を示す」ものと位置づける。そのため3カ月ごとに発表される「日通総研短観」(「短観」=企業物流短期動向調査)は、これから3カ月「景気は上向くのか、下向くのか」が予測できると注目を集めている・・・。

写真:(社)全日空トラック協会より


(続きは「クローズアップ・物流」で)

(2010.07.23)