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【特集】どうするのか? この国のかたち ―TPP、その本質を問う

 「未来の食を守ろう!」11月10日の全国集会に集まった人々は、口々にそう叫び国会へ向けてデモ行進を行った。すべての貿易品目について例外なく関税を撤廃するTPP交渉と、日本の食料安全保障が両立し得ないのは明らかであり、集会では「日本の農林水産業と農山漁村を壊滅に追い込み、経済的伸張をめざすTPPは断固許しがたし!」との怒りの声があがった。
 TPPは単純に農業vs輸出拡大をめざす企業という対立では語れない。そこには、国のあり方を丸ごと変えてしまうような数々の問題点が含まれている。集会での冨士重夫JA全中専務の情勢報告を紙上再録するとともに、TPPの持つ問題点を解説する。

TPPと食料安全保障は両立しない
どう立つべきか? 「歴史の分水嶺」

TPPと食料安全保障は両立しない   どう立つべきか? 「歴史の分水嶺」 

◆アジアへの輸出拡大ねらうアメリカ

nous1011220801.jpg TPP(環太平洋パートナーシップ協定、Trans-Pacific Partnership agreement)はどこから出てきたのか。
 2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が全貿易品目の即時または段階的関税撤廃と各種サービスや人の移動なども含む包括的協定(通称「P4」)を結んだ。
 当初は4カ国間のFTAにすぎなかったが、2010年3月、アジア太平洋自由貿易圏構想(FTAAP)を掲げアジアへの輸出拡大を狙う米国と、豪州、ペルー、ベトナムが加わるとともに、米国が主導する形でTPP交渉が始まった。同年10月、マレーシアを加えて9カ国に拡大し、現在カナダが参加を検討中だ。
 米国は2011年11月のAPEC首脳会議までの交渉妥結をめざしている。新たに交渉参加をめざす国は、9カ国の同意とすべての貿易品の関税撤廃について明確な意思表示をしなければならない。

(写真)
11月10日緊急全国集会で情勢報告する冨士専務。怒気をはらみつつ熱のこもった演説で一致団結を呼びかけた


◆TPPと従来のEPA・FTAはどう違う?

 FTAは複数国間での貿易を自由化する協定だ。WTO協定ではその定義を「実質上すべての貿易について、原則として10年以内の関税撤廃」としているが、ここでいう「すべての貿易」とは、「少なくとも貿易量または品目数で9割以上」というのが一般的解釈であり、全品目の関税撤廃はうたわれていない。
 というのも、WTOの理念では各国の多角的貿易の共存をめざしていたからだ。


続きや冨士重夫JA全中専務の情勢報告などは、特集で

(2010.11.22)