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全国の酪農家から5億円の支援金 東北・関東の酪農再建を願って  中央酪農会議

 中央酪農会議(中酪)は8月3日、東京都内で東日本大震災で被災した東北・関東の酪農家などへの支援金を贈呈した。

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(左から)尾形・中酪副会長、奥澤・関東生乳販連会長、但野・東北生乳販連会長、門谷廣茂・中酪専務

◆廃棄、出荷停止は2万8000トン

 平成23年3月に震災の影響で廃棄または出荷停止となった生乳は全国で約2万8000トン。同月の全受託乳量の2割ほどであり、被害額は20億円以上だった。特に被害の大きかった福島、茨城では全体の6割ほどが廃棄または出荷停止となった。
 中酪では酪農家の廃業や生産基盤の崩壊を防ごうと、全国の酪農家、一般消費者などから支援を募っていたが、8月1日時点でそれらを取りまとめ、東北関東の両生乳販売農業協同組合連合会(生乳販連)へ贈呈した。
 支援金の規模は総額5億円以上。
 全国の酪農家から集まった支援金約4億9400万円のうち、約3億7100万円を東北に、約1億2300万円を関東に贈呈。これらは廃棄した生乳の補償や、東北・関東の生乳のイメージ回復と販売促進のために使われる。また、すでに東北に対しては酪農経営への緊急対策として2億円を先渡ししている。
 酪農家からの支援とは別に、中酪が独自にホームページなどを通じて一般消費者や各関係団体職員から募った義援金約2200万円のうち、1900万円を東北に、300万円を関東に贈呈した。
 贈呈額の割合は、生産施設の損壊や生乳廃棄量など被害の程度に応じて中酪が独自に配分した。なお原発事故による被害については、国と東京電力へ補償を求めているため、今回の被害試算には含まれていない。


◆「生産者に希望の灯を消させない」

 中酪の尾形文清副会長は、「昨年の口蹄疫に続いて、今年もまたこのような大きな被害が出た。いまだ先行き不透明な状況だが、全国の酪農家仲間が力を合わせて、東北、関東の酪農を立て直してほしい」と被災地へエールを送った。
 東北生乳販連の但野忠義・代表理事会長は「全国の酪農家の絆を感じる。東北の酪農家が希望を捨てず、いつか放射能が除染されて住めるようになったとき、全国からいただいた温かい気持ちを酪農再建という形で恩返しできるよう、生産者の希望の灯を消さないように努力したい」と感謝した。
 関東生乳販連の奥澤捷貴・代表理事会長も謝辞を述べるとともに、学校給食の牛乳について父兄から安全性の問い合わせが多いと述べ、「各県とも乳業工場の検査に取り組んでいる。牛乳の安全性の証明に努めていきたい」とした。


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