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女性ももっと声を上げて パネルディスカッション「JA女性組織の新たな飛躍に期待する!」

 第57回JA全国女性大会1日目のパネルディスカッションは「『JA女性組織の新たな飛躍に期待する!』〜地域・JAにおける"女性パワーの発揮"に向けて〜」をテーマに、JA女性組織のこれまでの活動をふまえ、これからの姿を話し合った。
 とくに東日本大震災後の支援対応の実績から改めて女性の力がJAにとって不可欠であることが示され、今後さらなるJA参画への必要性が強調された。

◆日頃の活動“訓練”に

パネルディスカッション「JA女性組織の新たな飛躍に期待する!」 JA全国女性協副会長の大川原けい子氏は地元福島での震災直後の活動を述べた。
 「JAは食を預かる仕事だからまずは食べ物だ」と声を掛け合い、避難者におにぎりを配った。これには「JA女性組織が日頃地域に根ざして活動している成果だと感じた」といい、「女性部活動」というこれまでの“訓練”がよかったのでは、と話した。
 JA宮城中央会会長の菅原章夫氏は震災の翌日から女性部員それぞれがお米を持ち寄って炊き出しをしていたことや、1カ所のJAを拠点に県内の各JAから毎日女性部が来ておにぎりを被災地に届けていたことなどを挙げ、今回の震災でいち早く被災者に食料が届いたのはJA女性部のおかげであり「常日頃の活動を通した組織づくりと交流によって発揮できた力」と評価した。
 JA埼玉県中央会会長の鯨井武明氏も原発事故によって避難を余儀なくされた福島県双葉町からの避難者に、いまなお女性部が中心となって炊き出しなどの支援を行っていることを挙げ(関連記事)、有事の時もプラス思考で対応できる女性の力が強調された。

       JA全国女性協副会長・大川原けい子氏  JA埼玉県中央会会長・鯨井武明氏  JA宮城中央会会長・菅原章夫氏

 

(写真・左から)大川原けい子氏・鯨井武明氏・菅原章夫氏


◆女性の視点が改革のチャンス

農業ジャーナリスト・榊田みどり氏 男女共同参画の課題について農業ジャーナリストの榊田みどり氏は「女性の力を活かそうと前向きに考えているJAのトップはまだ少ない。男性と対等に議論ができる、自分の意見をいえる女性を育ててJAに参画させようという意識がトップにあるかが非常に大きい」と指摘。会場からも「自分の意見をいえる女性が理事になることが大切。JAの姿勢としてもそういう女性を育てることが重要だ」。「トップの意識が低いとだめ。女性から女性役員の登用を提案する前に男性からそういった声があればいいと思う」という意見があり、共感の拍手が湧く場面もあった。
 鯨井氏は現行定数内で女性理事を誕生させることは難しいため、2名以上の女性を選出してもらうよう各JAに提案しているとして、各県中央会や上層部で女性が出てきやすい環境づくりをすすめることが必要だと述べた。
 また、今後は外から自分の組織を見て改革していくことが求められるとして、これまで役員でなかった女性の視点をJAに取り込む必要性を強調。組織を見直し、外に向かって日本の食の大切さを知ってもらうチャンスにもつながると期待した。
 一方、大川原氏は女性自らが役員になってJA運営に参画したいと声を上げることも必要だと述べた。

(写真)榊田みどり氏


◆正式で具体的な要望を

JA全中常務理事・伊藤澄一氏 最後に榊田氏は女性のJA参画をすすめるためには、女性役員になるための仕組みづくりとして定数を減らさずに女性理事の登用を求めるなど具体的な要望を正式な文書で出してJA側の逃げ場をなくすこと、外部からの活動の評価を集めて外堀を埋めること、の2点を提案した。
 コーディネーターを務めたJA全中常務理事の伊藤澄一氏は「大きな節目の中で女性に大きなスポットライトが当たっている。それぞれの地域の中での運動、活動を通して地域をつくっていってほしい」と呼びかけた。

(写真)伊藤澄一氏

 


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