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「次代へつなぐ協同づくり」をテーマに検討 第26回JA全国大会議案

 JA全中は今年10月に開催する第26回JA全国大会に向けた大会議案を検討しているが、組合員の世代交代が迫るなか、引き続きJAの役割を発揮するため「次代へつなぐ協同づくり」をテーマに検討が進められている。
 JA全中の谷口肇常務が2月16日にJC総研が開催した「人事労務トップセミナー」でJAの課題を中心に議案策定状況を説明した。

◆第二世代対策が重要に

 大会議案は、将来にわたって組合員との「協同」と消費者・地域社会との「絆」のもとに「循環型地域社会」をめざし、(1)地域ごとの持続可能な農業の構築、(2)地域のライフラインとしての機能を発揮した豊かで暮らしやすい地域社会の実現をJAグループの課題とし、今後めざす方向を打ち出す。
 ただ、現状では70歳以上の正組合員が42%を占める。JA全中の予測では何も対策を講じなければ正組合員は10年後には約16%減(393万人→331万人)になり、世代交代による出資金の払い出しも増加する。また、貯金の流出、共済保有契約者の減少も進む。
 こうしたことからJA経営のめざす方向としては(1)リストラ型経営から事業基盤強化・組合員の利用度伸張型経営への展開、(2)食と農・くらしを基軸とした第2世代・准組合員・地域住民へのアプローチによる「協同」の拡大、(3)総合力を発揮する経営態勢の確立と役職員の意識・行動改革による協同の実践、をあげて議案が検討されている。
 とくに今後3年間の戦略となる大会議案で重要となりそうなのが「組合員の世代交代に対する戦略」だ。


◆実態をしっかり把握

 これまでの議論ではまずJAごとに▽年齢階層別に出資・事業利用実態を把握、第一世代とその後継者に関する情報を整理、▽世代交代対応に向けて焦点とする対象層を明確にする必要があるのでないかとされている。
 そのためには組合員情報を把握する必要があるが、総合データベースを構築済みのJAは全中の調べでは12%にとどまっている。組合員の実態を把握するための体制づくりも求められそうだ。
 そのうえで第二世代への戦略として「日常的にJAとして接点を持つ」ことが重要で、そこを意識した訪問活動が大切になるのではないかとも提起されている。さらに具体的には第二世代のニーズは(1)農地・資産の相続、(2)農地の管理、(3)親の介護、など多岐にわたるため、JAの各事業からのアプローチをどうはかるかが課題だとしている。
 また、組合員の第二世代がJA管外に住んでいる場合も多く、第二世代への働きかけを第一世代を通じて行うことや、ダイレクトメールなどによる情報発信、あるいは「第二世代が居住しているJAとの事業連携・協力体制の確立」も必要になるのではないか、といった課題もあげられている。
 同時に組合員加入促進に向け、とくに准組合員のメリットを一層明確にする必要もある。総合ポイント制度や金利・価格・手数料の優遇、事業の垣根を越えた優遇などを構築し、PRに取り組むべきではないかとされているほか、准組合員の経営参画についても今回の大会議案に盛り込むことも検討されている。 そのほかJAの総合経営にふさわしい経営態勢の確立も課題で、地域実態やJAの経営体力に応じた「JA戦略」の策定、中央会・連合会との連携による支援なども課題となっている。
 大会議案は4月の議案審議会を経て5月の全中理事会で組織協議案をまとめ、8月まで組織協議を行う。9月に大会議案を決定する。


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