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脱原発、震災からの「復旧」など要請  新世紀JA研究会

 新世紀JA研究会(代表:鈴木昭雄(福島・JA東西しらかわ代表理事組合長))は1月24〜25日、福島県のJAあいづ管内で第11回セミナー「東日本大震災と協同の力―復旧・復興に向けての取り組み―」を開き、現状回復と復旧をベースにした震災からの復興対策、東京電力と国の責任を明確にした原発事故被害対策、など7項目の大会アピールを満場一致で採択。研究会代表らは2月24日、このアピールを基に都内でJAグループ全国連や政府などに対して要請活動を行った。

◆「政府による土地の買い上げも視野に」平野復興相

平野復興相(左)に要請書を手渡す代表団ら。 要請活動に参加したのは鈴木代表のほか、藤尾東泉副代表(岩手・JAいわて中央代表理事組合長)、足立武敏副代表(福岡・JAにじ代表理事組合長)、古谷茂男氏(神奈川・JAはだの代表理事組合長)、萬代宣雄氏(JA島根中央会会長)、宮本幸男氏(JA土浦会長理事)ら。
 民主党の平野達男復興相を訪問した代表団らは、原発事故による農産物への風評被害対策や、福島県民が差別を受けている問題などへの対応を求めた。平野復興相は4月から食品に含まれる放射性物質の暫定基準値が1kgあたり500Bqから100Bqに引き下げられることについて、「世界的にも相当厳しい基準であり、農業者は非常に困難な対応を迫られていると思う」との理解を示し、「政府としては、しっかりモニタリング調査を継続して行い、放射線が出ていない地域のケアにも力を入れていきたい。(福島県の農業については)政府による土地の買い上げなども頭に入れながら、復興をすすめていきたい」との対応策を示した。
 自民党農林部会長の山田俊男参議院議員にはTPPへの反対運動の継続などを中心に要請。山田氏は「地方の医師連や建設業界などとも連携すべきだ」とした。また山田氏は政府が進めている農業の6次産業化について、「方向性には賛成するが、農外企業の農地取得や生産者の囲い込み、うまくいかなかった時の経済的、人的損失への対策なども考えなくてはいけない」と私見を述べた。


◆洋上研修で全国の仲間づくりを

山田氏(右)への要請活動。 JA全国連に対しては、国際協同組合年の記念行事として「農業青年の船」のような洋上研修を実施し全国に協同組合運動の仲間を広げること、国民に向けた協同組合運動のアピール、脱原発のエネルギー政策、などアピールに基づいた具体的な提案以外にも、JA全国連8組織の部課長クラスのヨコの連携強化などの要望も訴えた。
 JA全中の伊藤澄一常務は、「脱原発や統一広報などは第26回JA全国大会の議案とも一致している。全力で実現に向けて動きたい」とし、JA全農の吉永正信代表理事専務も「JA全農で、メガソーラー計画や小水力発電などに取り組んでいる。新しい職員研修についても企画をすすめていきたい」とアピール内容に賛同した。
 JA共済連の横井義則代表理事理事長は協同組合の対外的アピールについて、「震災を契機に、国費などに頼らずすべて組合員の掛け金で賄うという協同組合ビジネスのモデルが注目されてきた。生協や労連などとも協力して、協同組合のネットワーク作りを進めたい」とした。
 農林中央金庫の河野良雄理事長は職員研修について、「金庫職員の研修だけでなく、全国JAの組合長、金融担当役員のレベルアップのために何ができるかについて、昨年新設した系統人材開発部で研究を進めている。3年ほどかけて全国の全JAでの研修を実施したい」と金庫の取り組みを紹介した。


(写真)
上:平野復興相(左)に要請書を手渡す代表団ら。
下:山田氏(右)への要請活動。


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