農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

TPP、情報開示の必要性を強調  鹿野農相

 鹿野農相は5月25日の会見で、玄葉外相に米国から自動車分野で10項目の要求が出ているとの報道についての事実関係を確認したことを報告するとともに、TPP交渉について「なあなあということではだめ」となし崩し的な交渉入りにならないよう要望し、情報開示と国民的な議論の必要性を強調した。

◆米国の正式な要求はまだない―農相

 鹿野農相は22日の会見で自動車分野で10項目の要求が米国から出されていることについて玄葉外相に直接、確認したい意向を示していた。
 農相によると、23日には電話で、25日には閣議前に確認し、玄葉外相は「関心は表明されたがリストの提示があったわけではない」と説明した。
 そのうえで農相は外相に対して▽しっかりと情報を把握していく必要がある、▽できるだけ情報は提示していくべき、と強く要請したという。とくに5月8日から18日まで行われた米国ダラスでの第12回TPP交渉会合について政府として情報収集が必要なことを強調した。
 その場では玄葉外相に対して「なあなあということではだめ」と話したことを紹介するとともに、「韓米FTAのように、決まった後でこういうことも中に含まれていた、ということだけはないようにしなければいけない、と常々申し上げている」と話した。
 また、米国はTPPに関する意見募集結果を分析したうえで日本側への要求をまとめるとしていることを鹿野農相は強調し、「そういう回答がなされるなら私にも報告がある。報告がないということは(正式な要求はまだ)ないものだと思っている」と述べた。


◆APECでも会合開催

 外務省によると、ダラスでの交渉会合では▽鉱工業品、▽農産品、▽繊維市場へのアクセスを提供する野心的な関税パッケージを作成するための取り組みが継続されたという。また、サービスと政府調達市場の自由化に向けた議論も行われた。
 そのほか国有企業についてや、環境、デジタル・エコノミー、地域的サプライチェーン開発などもテーマになったという。新規交渉参加国については、各国が行っている二国間協議について情報共有が行われた模様だ。
 次回交渉会合は7月2日から米国サンディエゴで開催予定。
 ただ、6月4〜5日にロシアのカザンで開催されるAPEC貿易担当相会合の際に、TPP交渉国は今後の計画に合意するため会合を開く。外務省によるとその際には、交渉参加を検討している日本、カナダ、メキシコについて意見交換も行われる予定だ。

 

(関連記事)
「正義派の農政論」 TPP参加に反対と賛成の団体一覧表 (2012.05.28)

TPPでなぜ「共済」が問題になるのか?  米国の保険ビジネスの狙い (2012.05.16)

輸入農産物の急増は防げない! TPPのセーフガード協定  JA全中の国際レターが分析 (2012.05.15)

6月21日までに一定の結論 経済連携の基本戦略、民主党が議論開始 (2012.05.09)

TPP、国民の合意形成なし、との考えとりまとめ 日中韓含めた基本戦略の議論へ  民主PT (2012.04.28)

(2012.05.29)