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福島県青果物の安全・安心な取組みを説明 大田市場でJA全農福島など

 JA全農福島県本部とJA福島中央会は6月12日、東京の大田市場で「福島県青果物安全・安心な取組み説明会」を開催した。大田市場では2回目となるこの日、雨天にもかかわらず市場関係者や首都圏の量販店関係者ら約160名が参加。熱心に福島の取組みについて聞きいっていた。

市場関係者や首都圏の量販店関係者ら約160名が参加した 説明会では福島県農林水産部園芸課の安部充副課長が、今回の原発事故がなくても私たちは「ずっと昔から、自然の放射線のなかで生活して」きており、自然放射線の日本の平均は2.09ミリシーベルト/年であることや天然の放射性物質にはどのようなものがあるのか、そして放射線の量とその影響など、放射線についての基本的な知識や通常がんになるリスクは放射線より生活習慣の方が大きいことなどを説明。
 そのうえで、福島県で生産段階、流通・消費段階で実施されている放射線検査の方法などを説明し、「県と産地の2重チェックをしっかりすすめており」集荷された青果物は安全だと語った。
 また、JA全農福島の皆川旨康園芸部長は、コープふくしまが実施している「陰膳調査」の結果などを踏まえて「安全は確保されている」と報告した。
 その後、飯田純也県農産物流通課主幹、東瀬英治全農福島東日本園芸販売事務所長を交えて会場と意見交換をした。
 参加者の8割が市場関係者で、市場関係者には福島県産青果物が安全で安心だということは理解されたといえるが、会場からの意見にもあったように「取引先の生協の反応は必ずしも芳しくない」ことや、首都圏に避難してきている「福島県民のなかには、福島県産を忌避する」傾向がある。
 こうした地道な努力はもちろん今後も必要だが、市場関係者の理解が得られても、その先にいる量販店や生協のなかには、「消費者ニーズ」「組合員ニーズ」に応えるためと称して、国の基準よりも厳しい「独自基準」を設けたり、いかなる科学的な根拠に基づくのか不明だが「放射能ゼロをめざす」と店頭に掲げている量販店が存在しいる。
 この壁をいかに乗り越えて消費者に「福島県産農畜産物は安全で安心」だと理解してもらえるのか。そのためにどのような方法があるのか。それがこれからの大きな課題ではないかと考えさせらる説明でもあった。

(写真)市場関係者や首都圏の量販店関係者ら約160名が参加した

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