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JAで女性パワーの発揮を JA女性役員等研修会

 JA全中とJA全国女性組織協議会(JA全国女性協)は「JAで女性パワーを発揮するには」をテーマに、第16回全国JA女性役員等研修会を9月13〜14日都内で開いた。

あいさつする瀬良会長 JAグループは女性の参画目標の1つに「女性役員等2名以上」を掲げている。全国の女性役員数は835人(平成23年7月現在)と年々増加しているものの、女性の登用に対する取り組みが浅い県では女性役員を対象とした研修が行われていないなど、県域やJA間格差の広がりが課題の一つとなっている。
 そこで今回の研修会は、今年度、県独自に女性役員を対象とした研修会の実施を予定していない県の役員や新任役員を対象に呼びかけ、約100人が参加した。
 JA全国女性協の瀬良静香会長は「女性役員数は着実に増えている一方で女性役員が就任していないJAは全国にはまだまだある。また、一人でも多くの女性に正組合員や総代にもなってもらい、地域の声をしっかりと事業や活動に結び付けていくことが大切。経営の末端を担っていることを心に入れ、ステップアップしていきましょう」とあいさつした。
 情勢報告したJA全中の伊藤澄一常務は、東日本大震災というこれまで経験したことのない大災害に見舞われ、「真にいのちと食を守る」べき時代を生きていくうえで女性が担う役割の重要性とその発揮に期待した。
 また、役員の最大の役割は「人を育てること」であるとして、「JA組織にも女性管理職の登用が進むよう女性職員にチャンスを与え、活躍の場をみなさんの手で広げていってほしい」と述べた。

(写真)あいさつする瀬良会長

平成23年度のJAの女性参画実績

◆機関決定が目標達成の要

JAおちいまばり常勤監事・芥川享子氏 1日目は「正組合員比率25%以上、総代比率10%以上、役員等2名以上」の女性参画3目標を達成している愛媛県・JAおちいまばり常勤監事の芥川享子氏(写真)が「役員として役割を発揮するには」と題して講演した。
 同JAの女性の参画状況は正組合員30.2%、総代21.6%、女性役員3名。また、広域合併後、支店ごとに設置した地区検討委員会のメンバーも208人中42人が女性でその割合は20.2%となっている。
 女性の正組合員の拡大にはJA全国大会で目標数値が掲げられたと同時に取り組み、支店間の差が出ないよう全支店の目標値を「25%以上」に統一、支店長を責任者とすることで達成した。
 また、全国目標を10%も上回る女性総代の実現は、経営管理委員会による総代ルールの決定が背景にある。
 管内には定員数が10人の地区があり、10%の全国目標ではその地区の女性総代は1人となり「初めて女性が参加するのに1人では相談も発言もできない」ことから、どの地域も「女性2人以上、定員の20%以上」となるよう経営管理委員会での協議で決定した。
 芥川氏は「経営管理委員会や理事会での決定事項は絶対。雰囲気ではなく機関決定ですすめる工夫もしてほしい」とアドバイスし、役員の役割として重要なことは企画段階から事業計画に関わり、意見を反映することだと強調。そのほか▽必ず数値目標を設定すること▽経営者であるという自覚を持つこと▽女性職員の育成▽1期で終わるのではなく継続することが大事だとして、「女性役員になることは女性の代表ではなく組合員の代表。女性である前に1人の人間として謙虚に自分を高めていく努力が女性参画を花開かせる第一歩」と話した。
 その後はグループ別交流でテーマについて話し合い、2日目にはNHKエデュケーショナル制作主幹の坂上浩子氏、東京大学工学部教授の中尾政之氏、文芸アナリストの大金義昭氏による講演があった。


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